「三月大歌舞伎」が3月3日に東京・歌舞伎座で開幕した。ステージナタリーでは、昨日3月5日に行われた夜の部をレポートする。
今年2019年は、「盛綱陣屋」「雷船頭」「弁天娘女男白浪」の3演目が披露される「三月大歌舞伎」夜の部。
夜の部の幕開けを飾る「盛綱陣屋」は、敵味方に分かれた兄弟と、親子の情愛を描いた時代物だ。兄・高綱の子である小四郎(勘太郎)を生け捕りにした盛綱(仁左衛門)は、兄を思う気持ちから、小四郎に切腹をすすめるよう母・微妙(
仁左衛門が肚芸で盛綱の心情を見せるのが、本作の眼目の1つ。長袴に着替えた仁左衛門扮する盛綱が、静寂の中で首の返り血を拭い、苦笑を浮かべ、何かを悟るまでの一連の動作を、観客は息を呑んで見守る。また勘太郎は、父のために命を投げ捨てるという大役を勤め上げ、盛綱の子・小三郎を演じた眞秀は、鎧姿で勇ましく登場し花道で見得を切る。そんな2人の健闘に、観客からは温かい拍手が送られた。
2演目目の「雷船頭」は、女船頭(猿之助)と雷(
そして夜の部の最後の演目は、幸四郎と猿之助が日替わりで弁天小僧を演じる「弁天娘女男白浪」だ。この日弁天小僧を勤めた幸四郎は、「知らざあ言って聞かせやしょう」と、はだけた赤襦袢の下に入れ墨を覗かせ、客席を沸かせる。日本駄右衛門役の白鸚は、無言の佇まいにも貫禄のある存在感を放ち、“白浪物”の世界観をぐっと深めていった。また「盛綱陣屋」で伊吹藤太役を演じた、
「三月大歌舞伎」は3月27日まで。昼の部には「女鳴神」「傀儡師」「傾城反魂香」が上演され、「女鳴神」では片岡孝太郎が鳴神尼を初役で演じるほか、中村鴈治郎が雲野絶間之助と佐久間玄蕃盛政の2役に挑む。
「三月大歌舞伎」
2018年3月3日(日)~27日(水)
東京都 歌舞伎座
昼の部
「女鳴神」「傀儡師」「傾城反魂香」
夜の部
「盛綱陣屋」「雷船頭」「弁天娘女男白浪」
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