KAAT近現代戯曲シリーズ「春のめざめ」「恐るべき子供たち」の製作発表会が、本日2月6日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場で行われた。
製作発表会には、両作の演出を務めるKAAT芸術監督の
続けて白井は「『春のめざめ』から連続する形で、思春期の子供たちの葛藤を描く『恐るべき子供たち』を、若き俳優と共に上演します。若い頃から愛読していたジャン・コクトーの小説を演劇にできないか?と思い、ノゾエ征爾さんに上演台本を依頼しました」と経緯を述べ、「ノゾエさんの視点も取り入りつつ、南沢さん、柾木さん、松岡さんと一緒に創造できたら」と決意を新たにした。
「春のめざめ」でメルヒオール役を演じる伊藤は「舞台は今回で2度目なので、白井さんやキャストの皆さんの胸を借りるつもりでしっかり演じていきたいです」と挨拶。ヴェントラ役の岡本は「前回の『春のめざめ』を客席で観劇させていただき、その日の日記に“ヴェントラ役がやりたかった”と書いてありました」とエピソードを明かしつつ、「ヴェントラは清潔な心を持った女の子なので、彼女の繊細な気持ちを表現できたら」と意気込む。
初演に続きモーリッツ役を演じる栗原は「どんなに時代が進んでも、思春期に起こる身体の異変は誰もが経験する苦痛だと思います。白井さんの演出では、美しさと人の醜さが前面に出ていて、初演はすごく楽しんで演じていました。キャストが変われば新作になると思うので、いちから再構築していく気持ちで作っていきたいです」と真摯に述べた。
白井は「春のめざめ」を再演するにあたり、「少年少女が社会と隔絶され、実験のプラスチックボックスに閉じ込められたような窮屈さを感じながら青春期を送っているというコンセプトは変えないつもり。しかし、新たなキャストと作っていくので、稽古中に新しいアイデアが浮かんでくるかもしれません」と語る。
「恐るべき子供たち」でエリザベート役を演じる南沢は「白井さんの演出は初めてですが、実はずっとご一緒したかったので、お話をいただき、うれしさと緊張感があります。原作を読みましたが、すごく難しいなという印象がありました。私も年齢が三十代に近づいてきて、『大人っぽくなってきたね』と言われ始めたところでの子供役ですが(笑)、子供の複雑な心境を表現できたら。白井さんからも『大変だと思うけど、覚悟しておいてください』と言われたので、心して挑みたいです」と決意を固めた。
エリザベートの弟・ポール役を演じる柾木は「僕は最後の舞台出演が3年前で、経験も浅いですが、繊細なポールを一生懸命演じて素敵な作品にできたらと思います」とコメント。ポールの友人・ジェラール役の松岡は「白井さんの演出を受けられるので、役者として喜びを感じています。緊張していますが、本番までしっかりがんばっていきたいです」と言葉に力を込めた。
記者から「恐るべき子供たち」の上演台本をノゾエに依頼した理由について尋ねられた白井は、「ノゾエさんは戯曲の中に必ず演劇的な仕掛けを入れてくるので、彼がこの原作小説をどう読んで台本に書き起こすのか、そこに興味がありました。現時点で上がってきている台本には、ノゾエさんの視点が含まれているので、楽しんで読んでいます」とノゾエに期待を寄せた。
「春のめざめ」は4月13日から29日までKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演され、5月に広島と兵庫を巡演。「恐るべき子供たち」は、5月18日から6月2日まで同じく大スタジオで上演される。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「春のめざめ」
2019年4月13日(土)~29日(月・祝)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
2019年5月6日(月・振休)
広島県 東広島芸術文化ホール くらら 大ホール
2019年5月11日(土)・12日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
作:フランク・ヴェデキント
翻訳:酒寄進一
構成・演出:
音楽:降谷建志
出演:
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「恐るべき子供たち」
2019年5月18日(土)~6月2日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
原作:ジャン・コクトー(コクトー 中条省平・中条志穂:訳「恐るべき子供たち」/ 光文社古典新訳文庫)
上演台本:ノゾエ征爾
演出:白井晃
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- 『春のめざめ』|KAAT 神奈川芸術劇場
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