来年2019年2月から3月にかけ、京都、愛知、神奈川で上演される
「糸井版 摂州合邦辻」は、木ノ下歌舞伎とロームシアター京都による共同制作企画「レパートリーの創造」の第2弾。第1弾「心中天の網島ー2017リクリエーション版ー」に続き、FUKAIPRODUCE羽衣の糸井が上演台本・演出・音楽を務め、監修・補綴・上演台本を木ノ下が担当する。
会見冒頭でまず、ロームシアター京都の
続けて木ノ下が挨拶。「糸井さんと作品を作るうえでいろいろ演目を探し、『摂州合邦辻』しかあり得ないというところにたどり着きました」と言い、その3つの理由を説明した。「まず糸井さんは歌と演劇を絡ませて作品を作るので、歌の要素がある作品であること。そして生や性の問題が不可欠であること。さらに、生や死を取り囲む大きな世界が描ける作品であるかということを考え、最終的に“これしかない”と思って『摂州合邦辻』を選びました」と話す。
また「京都で腰を据えて作品を作れるのがうれしい」と言い、「ただ出来上がった作品を上演するだけでなく、スピンオフプロジェクトなどによりお客さんと創作の過程を楽しんでいこうということも含めて、今、木ノ下歌舞伎がやりたいことが実現できるプロジェクトでもあります」と笑顔を見せる。
糸井は昨年のクリエーションを振り返り「本当に創作に専念できて、(作品を)作る側としてはありがたい環境で稽古させてもらいました。木ノ下さんとは何度となく一緒に作品を作らせてもらっていますが、今回もまたこうやって一緒にできるということ、そしてロームシアター京都にも愛着が湧いきたので、このような安心できる環境で創作できることが楽しみ。これは失敗できないです(笑)」と語り、会場を和ませる。台本については現在製作中で、「“思念”が浮かび上がるような作品になるのでは」と構想を明かした。
内田は今回、木ノ下歌舞伎作品に初出演する。糸井作品には過去に数作出演経験があり、その1つで2012年に京都で上演された、糸井主宰の別ユニット・ぐうたららばい「観光裸(かんこーら)」を振り返る。「今思い返すとそれが木ノ下さんとの出会いで、そこから現在につながっていると思うと感慨深いです」と語った。共演者については「皆さん手練の、心の扉がバーンと開かれたメンバーたちなので、みんなでいろいろ意見を出しながら作品を作っていけたら」と期待を込める。自身が演じる玉手御前については「側から見たら理解できないような言動だったとしても、彼女にとっては信念とか思うことがあるはずで、それに寄り添い、向き合いたい」と意気込みを述べた。
100名を超える応募の中からオーディションで俊徳丸役を勝ち取った田川は、「(合格と知り)驚きとうれしさが同時に襲ってきて、家族みんながその日1日、興奮し続けていました(笑)」とエピソードを語る。さらに「稽古はこれからですが、皆さんと作品をどうやって作り上げていけばいいか、どれだけ力強く自分が作品に臨めるか、挑戦です」と真摯に語った。
記者から木ノ下に「全幕上演か」と質問が寄せられると、木ノ下は「頭から全幕を順番に通すかはわかりませんが、基本的に通し上演と同じで、全幕の要素を入れた作品になります。観終わったあとに『通して観たな』という感覚になっていただけるような作品になるのでは」と返答。また「『摂州合邦辻』の背景にある能『弱法師』や説経節『俊徳丸』の台本も参照しながら作品を作り上げます」と言い、「非常に太い幹の作品になると思います。タイトルは『糸井版 摂州合邦辻』ですが、『摂州合邦辻』とそれをめぐるさまざまな物語の集大成、というような作品になると思います」と言葉に力を込めたあと、「でも全部をやると上演時間6時間以上になってしまいますから、2時間ぐらいで収めようとしております!」と説明を続けて、会見場は笑いに包まれた。「糸井版 摂州合邦辻」のチケットは、京都公演が発売中、豊橋公演は11月24日、神奈川公演は12月8日に一般前売りを開始する。
木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」
2019年2月10日(日)・11日(月・祝)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール
2019年2月15日(金)・16日(土)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
2019年3月14日(木)~17日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
作:菅専助、若竹笛躬
監修・補綴・上演台本:
上演台本・演出・音楽:
音楽監修:manzo
振付:北尾亘
出演:
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