珠城&愛希の集大成、月組「エリザベート」東京へ「この作品でよかった」

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本日10月19日、東京・東京宝塚劇場で宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」の東京公演が開幕。初日を前に同日、同所にて通し舞台稽古が行われた。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、左から珠城りょう、愛希れいか。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、左から珠城りょう、愛希れいか。

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「エリザベート」は、ミヒャエル・クンツェが脚本・歌詞、シルヴェスター・リーヴァイが音楽を手がけたウィーン発の人気ミュージカル。19世紀後半のオーストリアを舞台に、自由な生き方を求めた皇后エリザベートと、彼女を愛する黄泉の帝王トートの物語が描かれる。日本では1996年に宝塚歌劇団小池修一郎の潤色・演出により初演を行ってから、これまでに1000回以上の上演を重ねてきた。今回は2016年の宙組公演以来、10回目の公演となる。

物語は煉獄の裁判所に始まる。エリザベートが殺害されてから100年あまりたってなお、暗殺犯ルキーニへの尋問は続いていた。ルキーニは「エリザベートは“死”と恋仲で、彼女自身が死を望んでいた」と主張し、彼女の物語を語り始める。

バイエルンの王女として自由を謳歌していたエリザベートはある日、綱渡りに挑もうとして落下し、意識不明の重体に陥って冥界へ迷い込む。冥府の王トートはエリザベートに一目で惹きつけられ、愛を得るまで彼女を追い続けることを決意。その後エリザベートは若き皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められ、オーストリーの皇后となる。しかし結婚式でフランツとワルツを踊り、幸せな笑みを浮かべる彼女のもとにトートが現れ……。

本作ではエリザベートの人生に焦点を当てながら、ルキーニの狂言回しでオーストリアの歴史が語られる。政情不安やその中で民衆が募らせる王宮への不満などの史実が描かれつつも、エリザベートに危機が迫るたび、“死”の象徴であるトートが現れて彼女を黄泉の世界へと誘うというファンタジックな要素が、ストーリーを力強く推し進めた。

さらに視覚的な美しさや印象的な楽曲も本作の魅力の一つ。鏡を用いた舞台装置をバックに繰り広げられる幻想的なダンスや、当時のヨーロッパをイメージした豪華絢爛な衣装、「最後のダンス」「闇が広がる」「愛と死の輪舞」といった名曲を、ぜひ劇場で堪能しよう。

珠城は神秘的な立ち姿で冥府の王トートの存在感を示しつつ、時折見せる切ない表情でトートがエリザベートに恋焦がれる様子を表現する。トートがロングコートをはためかせながら黒い衣装のダンサーたちを率いて歌い踊る場面では、パワフルなパフォーマンスで観客を魅了した。愛希はエリザベートのおてんばな少女時代から、夫とすれ違い、孤独を抱えてヨーロッパ中を旅する晩年までを巧みに演じ分ける。皇太后ゾフィに虐げられたエリザベートが歌う「私だけに」では凛としたまなざしで力強い歌声を響かせ、客席から盛大な拍手を送られた。

皇帝フランツ・ヨーゼフ役の美弥るりかは、心優しいがどこか頼りないフランツを好演。そしてシャープな身のこなしでルキーニを演じる月城かなとは、ルキーニがエリザベートを暗殺する場面で狂気の高笑いを響かせ、観客を引き付けた。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、珠城りょう。

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通し舞台稽古のあとに行われた囲み取材には、珠城と愛希が出席。開幕に際し珠城は「今の月組だからこそできる『エリザベート』をお届けしたい」と意気込む。トートに対して「クールなイメージを持っていた」と言う珠城は、演出の小池から「トートとエリザベート、フランツの三角関係が成立して見えるように演じてほしい。トートの心情の流れをわかりやすく表現して」と指示を受けたと明かし、「こんなに感情を表現してもいい役なんだと。トートに対しても、『エリザベート』の世界観に対しても見方が変わりました」と実感を語った。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、愛希れいか。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、愛希れいか。[拡大]

本公演の千秋楽をもって宝塚歌劇団を退団する愛希は、「最後の日まで皆様への感謝の気持ちを忘れず、精一杯努めてまいります」と言葉に力を込める。愛希は本作に取り組んだ所感を「この作品を作られている皆さんが、『エリザベート』をとても愛してくださっていることをすごく感じて、感動しました」と振り返り、エリザベートの役作りについては「製作発表で小池先生に『強さとはかなさの両立』と言っていただいたので、自分でもそれを意識して作っていたと思います」と述べた。

記者から本作が珠城と愛希の集大成となることについてコメントを求められると、珠城は「私も愛希も常に、心を一番大切にしています。お互いの気持ちや、一緒に舞台を作る月組の仲間たちと気持ちを共有することを大切に、1つひとつ取り組んできました。今回の『エリザベート』は、私たちが今まで大切にしてきたものを最後に皆様にお見せするためにとてもよい作品だと思います。大事にしてきたことをお伝えできるよう、千秋楽まで愛希と1回1回よいものをお届けできたら」と真摯なまなざしを見せる。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、左から珠城りょう、愛希れいか。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」囲み取材より、左から珠城りょう、愛希れいか。[拡大]

続いて愛希は「とにかく(珠城に)最後までついていきたいというのが一番」と前置きしつつ、「この言い方は違うかもしれませんが、トートは怖さもありつつ、エリザベートを守ってくれているというか……いつもそばに、後ろにいてくれる存在です。最後の昇天の場面では、とても安心してトートの胸に飛び込めます。(集大成が)この作品でよかったなと思っています」と笑顔を見せた。

宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」の上演時間は、休憩30分を含む約3時間。東京公演は11月18日まで行われる。なお18日15:30からの千秋楽公演では、全国各地、香港、台湾の映画館でライブビューイングを実施。ライブビューイングでは愛希の“サヨナラショー”と退団者挨拶も中継される。

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宝塚歌劇月組「ミュージカル『エリザベート―愛と死の輪舞(ロンド)―』」

2018年8月24日(金)~10月1日(月)※公演終了
兵庫県 宝塚大劇場

2018年10月19日(金)~11月18日(日)
東京都 東京宝塚劇場

脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽:シルヴェスター・リーヴァイ
潤色・演出:小池修一郎

キャスト

トート:珠城りょう
エリザベート:愛希れいか
フランツ・ヨーゼフ:美弥るりか
ルイジ・ルキーニ:月城かなと
ルドルフ:暁千星風間柚乃

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