「台北東京距離計畫ー我並不哀傷、是因為爾離我很遠」が昨日9月28日に台湾・臺北藝術大學にて開幕した。
本作は、昨年2017年に「フェスティバル / トーキョー17」にて上演された、
今回の上演では、日本初演を踏襲しつつも演出を一新したバージョンと、完全新作とが用意された。初演踏襲バージョンでは、柯智豪による音楽はそのままに、世代の異なる3人の小愛が登場する。新作では天上から降ってくる台本に合わせて“悲劇”を演じ続ける小逝とギターを軸に物語が展開。別々に進行する2つの舞台を繋ぐのは、郵便配達員と宮沢賢治作詞・作曲の「星めぐりの歌」だった。やがて時を経て、それぞれの物語の主人公たちは再び巡り会い……。
作品について柴は「僕が考えたいのはまるで知らない国を、まるで知らない人々を、私たちは思いやることができるのか、という問題です。そして、そんな必要があるのかどうか、も僕は考えています」「僕にも答えはわかりません」と述べつつ、「でも今回の滞在を経て、僕は台湾を、台湾を知らない人に、伝えることが出来ると思いました。なんだかそこにヒントがあるんじゃないかと今は思います」と手応えを語る。
さらに開幕に際して「一時はどうなることかと思いましたが、異国で異言語で隣り合う劇場で同時に上演されるふたつでひとつの作品が出来ました。いまだにどうしてこんなことが出来ているのか不思議です。関わってくれたすべての人々のおかげだと思います。謝謝」とコメントしている。
なお本作は「臺北藝術節」及び「關渡藝術節」の1プログラム。公演は9月30日まで。
柴幸男コメント
東京で産声を上げた作品が今年、海を越えて台北で再び生まれました。
本公演の準備に費やした三年間、僕と台湾との距離は縮まる一方です。
好きな場所も食べ物も音楽も人も出来ました。
今後、どれだけ離れても僕は台湾を思い出すでしょう。
もし台湾に悲しい出来事が起きたときは胸を痛めるでしょう。
でも、それは今回の芝居の主題でもある「遠くの悲劇」ではありません。
僕が考えたいのはまるで知らない国を、まるで知らない人々を、私たちは思いやることができるのか、という問題です。
そして、そんな必要があるのかどうか、も僕は考えています。
僕たちは直接、関わりのない悲劇に関心を持ち続けるべきでしょうか。
自分の生活を犠牲にしてまで見知らぬ他者を助けるべきでしょうか。
平気な顔をしているようで、みんなどうしていいのかわからず、世界全体が無音の悲鳴をあげているようです。
僕にも答えはわかりません。
でも今回の滞在を経て、僕は台湾を、台湾を知らない人に、伝えることが出来ると思いました。
なんだかそこにヒントがあるんじゃないかと今は思います。
一時はどうなることかと思いましたが、異国で異言語で隣り合う劇場で同時に上演されるふたつでひとつの作品が出来ました。
いまだにどうしてこんなことが出来ているのか不思議です。
関わってくれたすべての人々のおかげだと思います。謝謝。
「台北東京距離計畫ー我並不哀傷,是因為爾離我很遠」
2018年9月28日(金)~30日(日)
台湾 臺北藝術大學
作・演出:
出演:Fa、余佩真、杜思慧、施宣卉、崔台鎬、陳以恩、黄采儀(「黄」は旧字が正式表記)、趙逸嵐、蔡亘晏、楊迦恩
※タイトルの「台北東京距離計畫ー我並不哀傷、是因為爾離我很遠」の「爾」は略字が正式表記。
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