「秀山祭九月大歌舞伎」が、9月2日から26日まで東京・歌舞伎座で上演される。公演に先駆け、8月6日に東京都内にて
初代中村吉右衛門の芸を顕彰し、その当たり役を孫で養子の二代目中村吉右衛門が演じる「秀山祭九月大歌舞伎」。今年は昼の部に「金閣寺」「鬼揃紅葉狩」「河内山」、夜の部に「松寿操り三番叟」「俊寛」「新作歌舞伎 幽玄」が披露され、吉右衛門は「河内山」で河内山宗俊を、「俊寛」で俊寛僧都を勤める。
吉右衛門は長年演じている俊寛僧都の役どころについて「若いときは自己犠牲を悟る気持ちを演じるのが難しかった」と振り返りつつ、「最近は(セットの)岩に登るだけでも息が切れるので、登りきったときには欲も徳もなくなります(笑)。なので今の歳のほうが、近松(門左衛門)の書いた人物像に近い俊寛を演じられているでは」と冗談を交えつつ述べ、「河内山」については、「講談ですので、どなたが観ても喜んでいただけるお芝居。つまらなかったら役者としてやっていけない」と語った。
また秀山祭が2006年の第1回から、今年18年で13年目、開催11回目を迎えることについて、「20回、30回と続けていけたら。また図々しくも、私もずっと出ていられたらいいなと思っております」と笑顔で語り、秀山祭の存在を「生きがいなんてものじゃなく、生きる理由ですね」と和やかな表情で言い切る。
「初代が亡くなったときに、中村吉右衛門という名前は止め名にしたほうがいいんじゃないか?という話も一部であり、自分が継ぐのはどうなんだろうと思ったこともあります。周りの諸先輩のご指導のおかげで今に至っていますが、ほかに何かできることはと考え、還暦を迎えたときに思いついたのがこの秀山祭でございます」と思いを語り、「私、そして播磨屋一門の人たちが、そういう思いでこの秀山祭に臨んでくれたらいいなと思います。でもお客様にはただ楽しんでいただければよいのですが」と結んだ。
そして自身が今年、初舞台から70年を迎えることについての感想を記者から問われると「70年も恥をさらして舞台をやっておりますが、実父(初代松本白鸚)の年齢も、初代の年齢も超えました。持って生まれた美しさや芸の才能を持ってる方がたくさんいらっしゃる中で、私はまだまだだと思っていますが、それでも初代の向かいたかった階段は、一歩一歩登れているのではないかなと自負しています」と謙虚に語り、80歳で「勧進帳」の弁慶を勤めることを今後の目標に掲げた。
さらに、病気療養中だった
「秀山祭九月大歌舞伎」
2018年9月2日(日)~26日(水)
東京都 歌舞伎座
昼の部
「金閣寺」
此下東吉実は真柴久吉:
雪姫:
狩野之介直信:
松永鬼藤太:
此下家臣春川左近:
此下家臣戸田隼人:
此下家臣内海三郎:
此下家臣山下主水:
腰元:
十河軍平実は佐藤正清:
松永大膳:
慶寿院尼:
「鬼揃紅葉狩」
更科の前実は戸隠山の鬼女:松本幸四郎
平維茂:
侍女かえで:
侍女ぬるで:
侍女かつら:中村児太郎
侍女もみじ:
従者月郎吾:
従者雪郎太:
男山八幡の末社:中村玉太郎、
「河内山」
河内山宗俊:
松江出雲守:松本幸四郎
宮崎数馬:
大橋伊織:
黒沢要:中村隼人
腰元浪路:中村米吉
北村大膳:
高木小左衛門:
和泉屋清兵衛:
後家おまき:
夜の部
「松寿操り三番叟」
三番叟:松本幸四郎
後見:中村吉之丞
「俊寛」
俊寛僧都:中村吉右衛門
海女千鳥:
丹波少将成経:
平判官康頼:中村錦之助
瀬尾太郎兼康:中村又五郎
丹左衛門尉基康:中村歌六
「新作歌舞伎 幽玄」
天女 / 白拍子花子:
伯竜 / 獅子の精:中村歌昇
伯竜 / 獅子の精:
伯竜 / 獅子の精:中村種之助
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