紅ゆずるが関西弁披露、宝塚星組「ANOTHER WORLD」東京で開幕

宝塚歌劇星組「RAKUGO MUSICAL『ANOTHER WORLD』」「タカラヅカ・ワンダーステージ『Killer Rouge（キラー ルージュ）』」の東京公演が本日6月22日に開幕。これに先駆け本日、同劇場で通し舞台稽古と囲み取材が行われた。

作・演出を谷正純が担当する第1幕「ANOTHER WORLD」は、この世とあの世を往来しながら繰り広げられる純愛冒険物語。「地獄八景亡者戯（じごくばっけいもうじゃのたわむれ）」「朝友（あさとも）」「死ぬなら、今」など、死後の世界をモチーフとした落語が散りばめられ、恋煩いであの世にやって来た両替商の若旦那・康次郎役を紅ゆずる、商家の娘・お澄を綺咲愛里が演じる。

本作では、両替商の父が棺桶に投げ込んだ借金の証文を携えた康次郎が、“地獄の沙汰も金次第”とあの世での困難を乗り越えながらお澄と再び巡り合う物語がコミカルに描かれる。康次郎があの世で出会うキャラクターには、「この世では遊び尽くした」とフグの胆を食べて自らあの世にやって来た江戸の米問屋の若主人・徳三郎をはじめ、福の神になりたい貧乏神、金にがめつい赤鬼など個性豊かな面々が勢揃い。冥途の観光名所“冥途歌劇団”が繰り広げるレビューショーや、閻魔大王とお付きの鬼、阿修羅たちの纏う華やかな衣装にもぜひ注目しよう。

大阪出身の紅は、関西弁を操ってテンポよく掛け合いを繰り広げ、調子のいい康次郎が純愛を貫くさまを好演した。綺咲は着物姿で優雅な舞を披露しつつ、柔らかな語り口のお澄がドスの利いた低い声ですごむ場面では客席を笑いで包んだ。さらに礼真琴演じる徳三郎も、懐手に流し目でつややかな歌声を響かせた。

第2幕「Killer Rouge」は齋藤吉正が作・演出を担当し、紅のエンターテイナーとしての魅力に迫るショー。紅の名前にちなんだ紅色をテーマに、出演者たちが華やかな歌と踊りを繰り広げる。キャスト陣による振付の指導コーナーも設けられているので、ファンはぜひ一緒に踊ってみては。

赤い衣装でパワフルにパフォーマンスする紅はウィンクで観客を沸かせる一方、“紅パパ”に扮する場面では、妻に命じられて寝癖が付いたままゴミ捨てに向かう気弱な男性を演じて客席の笑いを誘う。綺咲は童話「赤ずきん」をイメージしたシーンで可憐なずきん姿を披露。その後ずきんを脱ぐと狼に扮した礼と息の合ったダンスを見せ、場内を盛り上げた。

舞台稽古終了後の囲み取材には、トップコンビの紅と綺咲が出席。本公演の見どころを尋ねられると、紅は「全部です！」と即答し、記者たちを笑わせつつ「『ANOTHER WORLD』では関西弁のお芝居を見てほしい。大阪をますます好きになっていただけたら」と改めて回答した。また「Killer Rouge」については「かなり攻めている。ひと場面ずつテイストが違うので、そこをしっかり出していきたい」と言い、綺咲の出演シーンの見どころを「“赤ずきんちゃん”の衣装の場面。彼女が赤ずきんちゃんの衣装を脱いでからの変わりようにも注目してほしい」とアピールした。

綺咲は「お芝居もショーもとてもスピーディ。2本ともお客様に『ああ楽しかった』と思ってもらえる作品にしていきたい」と意気込む。お気に入りのシーンについては「Killer Rouge」のデュエットダンスを挙げ、「熱く盛り上がるショーの最後に2人で舞台上に残らせていただきます。魂がぶつかり合う様子を見ていただけたら」と期待を煽った。さらに好きな紅の登場シーンについて“紅パパ”の場面だと明かし、「お芝居仕立てで、毎回アドリブも少し入れていらっしゃる。私もいつも楽しみにしていますし、毎日楽しんでいただきたい」と紅に視線を送った。

上演時間は休憩30分を含む約3時間。公演は7月22日まで東京・東京宝塚劇場で行われ、千秋楽公演は全国47都道府県、および香港、台湾の映画館で生中継される。