2014年にイギリス・ロンドンで初演された本作は、アカデミー賞7部門を受賞したマーク・ノーマンと
本作の舞台はエリザベス朝時代のイギリス・ロンドン。ロンドン北部の劇場・カーテン座が大盛況である一方、ヘンズロウがテムズ川対岸に建てたローズ座は資金難に悩まされていた。ヘンズロウはウィル(シェイクスピア)の新作を当てにしていたが、肝心のウィルはスランプの真っ只中。台本も完成していない中でヘンズロウがオーディションを強行すると、そこにトマス・ケントを名乗る青年が現れた。シェイクスピアは彼の見事な演技に惚れ込むが、実はその正体は資産家の娘・ヴァイオラで……。
舞台上にはエリザベス朝時代の劇場を思わせるシンプルな木製の装置がそびえ立ち、場面転換ではこれらが人力で動かされ、劇場の舞台裏や資産家の屋敷のバルコニー、教会や宮殿が表される。ストーリーの要所には男性アンサンブル4名が登場し、美しい四重唱で物語を彩った。
本日の舞台稽古では、ウィル役を上川一哉、ヴァイオラ役を山本紗衣が担当。上川は、悩みながらも真摯に劇作に取り組み、恋に燃えるウィルを爽やかに演じつつ、ヴァイオラの婚約者・ウェセックス卿を欺くために女性を装う場面では甲高い声で客席の笑いを誘った。山本は、女性が舞台に立つことを禁じられていた時代に男装してロミオ役を掴む大胆な令嬢を、表情豊かに演じる。またヴァイオラがウィルの劇作家としての将来のために別れを決意するシーンでは、凛とした佇まいを見せた。
本作ではスランプに陥っていたウィルが、ヴァイオラや劇作家仲間のマーロウを中心とした周囲の人々と関わる中で、再び物語や言葉を生み出せるようになっていく過程が描かれる。冒頭、ヘンズロウから厳しく借金を取り立てようとしていたフェニマンは、次第に「ロミオとジュリエット」のストーリーに引き込まれていく。フェニマンが上演に向けて熱心に稽古し、ロミオとジュリエットの恋の行く末に涙する様子が描写されることで、ウィルがヴァイオラとの恋の中で紡いだ物語の魅力の大きさが表現された。
なお「ロミオとジュリエット」創作の裏側を描く今作には、「ロミオとジュリエット」以外にも「ハムレット」や「ヴェニスの商人」などシェイクスピアの作品からの引用やモチーフが散りばめられている。どのような場面に名ゼリフが登場するか、ぜひ劇場で確かめよう。
開幕に際し、演出の青木は「男女の愛だけではなく演劇への喜びが描かれた本作を、ぜひ舞台の生の空間で味わっていただければと思います」、ウィル役の上川は「作品の感動をリアリティをもってお客様にお届けできるよう、毎公演、誠心誠意努めてまいります」とそれぞれメッセージを送った。
上演時間は休憩20分を含めた約3時間。東京公演は8月26日まで行われ、9月7日から30日まで京都・京都劇場、10月12日から11月25日には再び東京・自由劇場にて上演される。また12月からは福岡・キャナルシティ劇場で公演が行われる予定だ。
青木豪コメント
初めて四季の演出を担いましたが、一つの作品にカンパニー全員が集中できる環境で、俳優やスタッフ陣と充実した稽古を積み上げていくことができました。男女の愛だけではなく演劇への喜びが描かれた本作を、ぜひ舞台の生の空間で味わっていただければと思います。そしてお客様に触れ、作品がさらに成長していくことを願っています。
上川一哉コメント
ノンレプリカ公演として、一から作り上げていったこの作品に携われることができ、大変嬉しく思います。稽古期間中は、ストレートプレイ初挑戦ということもあり不安もありましたが、青木さんをはじめとするクリエイターの皆さんやカンパニーに支えていただき、役を深めていくことができました。作品の感動をリアリティをもってお客様にお届けできるよう、毎公演、誠心誠意務めてまいります。
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
劇団四季「恋におちたシェイクスピア」
2018年6月22日(金)~8月26日(日)
東京都 自由劇場
2018年9月7日(金)~30日(日)
京都府 京都劇場
2018年10月12日(金)~11月25日(日)
東京都 自由劇場
2018年12月開幕予定
福岡県 キャナルシティ劇場
演出:
音楽:
翻訳:松岡和子
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