本日6月19日、10月から12月にかけて上演される日本テレビ開局65年記念舞台「魔界転生」の製作発表会見が東京都内で開催された。
「魔界転生」は、1967年に「おぼろ忍法帖」として単行本化された山田風太郎の伝奇小説。脚本を
魔界から蘇った強敵に立ち向かう主人公・柳生十兵衛役を
本日の会見には脚本のマキノ、演出の堤、そして上川をはじめとしたメインキャストが登壇。マキノは、本作の原作小説と深作欣二による1981年の映画版を挙げ、「どちらのファンの方にも納得してもらいたい」と述べた。内容については「『誰も見たことがない芝居をしたい』とプロデューサーから話があり、そのつもりで書いた。結果、スタッフに『どうやるんだこんなもの』と激怒されそうな、むちゃくちゃな脚本になりました(笑)」と明かし、さらに「僕が演出するなら絶対にしない書き方をした」と笑いつつも「でも堤監督は逆に燃えてくれると思う」と堤に視線を送った。
堤はマキノの発言を受け、「見たことないものをどう形にしようか悩んでいて……ご飯を食べていてもそのことばかり考えてしまう」と笑いながらも、「舞台技術の最高峰を結集し、とにかくやったことがないことに挑戦します」と期待を煽る。また堤は「一番言いたいことは……」と前置きし、出演者のほうに向き直ると「役者の皆さんに言いたい。大変です。体調を整えていただければと思うので、よろしくお願いします」と立ち上がって一礼。キャストたちからはどよめきと苦笑が漏れた。
上川は「今年の秋は平成最後の秋。舞台を観た方がこの秋を振り返って、『あのお芝居はよかった』と思い出してもらえる作品を作り上げていきたい」と目標を掲げる。本作の上演については「中村橋之助(現・中村芝翫)さんが以前演じられたことは知りつつも、スケールが大きすぎて頭の中で像を結ばなかった」と驚いたことを明かし、「ある種、覚悟して受けたお仕事。むちゃくちゃしてやろうと思います」と不敵な笑みを浮かべた。
天草四郎が亡くなった原城跡を、今年2018年4月の天草四郎の命日に訪ねたと言う溝端は「四郎はここで無念を抱えて亡くなったんだな、と感じることができた」と当時の所感を振り返った。天草四郎のキャラクターについては「史実が少ないぶん、想像力が掻き立てられます。もしかしたら彼は、キリシタンたちの望む偶像を演じていたところがあるのかも。僕も自分なりの四郎像を作れたら」と分析し、意気込みを述べる。さらに堤の「大変です」という発言については「不安と期待の両方を感じていますが、宙吊りにされても地べたを這いずり回ることになっても、精一杯努めたい」と力強く語った。
天草四郎の姉・お品役を演じる高岡は、「堤監督とお仕事をさせていただくのは、私が十代のときにご一緒させていただいて以来。何十年も経っていますが、またご一緒できてうれしい」と堤に微笑みかける。さらに「見たことがない作品に」というマキノや堤の発言に触れ、「“見たことがない私”を演じさせていただけるのかな」と期待を語った。続いて、16年にマキノの脚本、堤の演出で上演された「真田十勇士」で根津甚八・豊臣秀頼の2役を務めた村井は、今回も根津甚八役を担当。村井は「『真田十勇士』で根津甚八は生き残りましたが、今作にもそのまま同じ甚八のキャラクターで出演できると聞き、驚きました」と心情を明かし、「堤監督とマキノさんの作品は驚きの連続で、いつもワクワクしながら演じている。お客様にもワクワクを体感してもらえたら」と期待を寄せた。
北条主税を演じる松田は「自分は役者としても人間としても青二才ですが、演劇に救われ、演劇に生きてきたので、このような作品に携われることを光栄に思います。持てるすべてを板の上で表現できたら」と真剣なまなざしで述べる。続いてマイクを握った田宮坊太郎役の玉城は「松田の凌くんが言ったように自分もまだまだ未熟者」と口火を切り、「堤さんが『大変だよ』とおっしゃいましたが、大変なことを精一杯やるからこそ生まれる熱量があると思う。それをお客様に伝えられたら」と意気込んだ。
柳生十兵衛の弟・又十郎役の木村は「歴史上の人物を演じられること、素敵な共演者の皆さんと舞台を作れることをうれしく思います」と笑顔を見せ、「個人的には殺陣が初めてで不安ですが、がんばります」と抱負を述べた。「悪役が強く、魅力的であるほど作品全体が盛り上がると思う」と答えたのは、敵役・魔界衆の荒木又右衛門役の猪塚。猪塚は「この作品は魔界からよみがえった人たちの存在感がとても強い。魔界衆の1人として、華のある敵を演じられたら」と期待をのぞかせた。
小栗丈馬を演じる栗山は「この作品が伝説になるのは間違いない」と断言。続けて「サッカーのワールドカップ以上に盛り上げたい。堤さんにいいところを見せたいと思いま……!」と熱く語るも噛んでしまい、苦笑いを浮かべながら「よろしくお願いします!」と元気いっぱいに締めくくった。丸山は戸田五太夫役を担当。「真田十勇士」に出演した丸山は「先ほど堤監督に『大変だよ』と言われてデジャブを感じた」と言い、「前回の“免疫”がありますので、酸素ボンベを吸いながらがんばります」と冗談交じりに意気込みを述べた。
由比正雪を演じる山口は「16年の『真田十勇士』の記者発表で、堤さんがこちらを向いて『しんどいよ』とおっしゃったのがトラウマ。今回もさらにトラウマになりそう(笑)」と語り、続けて「『魔界転生』といえば舞台版、とお客様に言ってもらえるように全力で駆け抜けたい」と言葉に力を込めた。藤本は宮本武蔵を演じるに際し「宮本武蔵との共通点は高身長なところくらいで、自分でいいのかと思いましたが……」と心境を告白しつつ、「20年にオリンピックが日本で行われますが、この作品は世界の方に観てもらいたい舞台になると信じている。多くの方に来ていただきたい」と呼びかけた。
16年の「真田十勇士」に出演した際と同じ淀殿を演じる浅野は、自身の役柄が大好きだったと言い、「打ち上げのときマキノ先生の耳元で『淀度、淀殿、淀殿』とささやき、堤監督の耳元にも同じようにささやき続けたところ、今回は原作にも映画にも登場しない淀殿の役をいただきました。本当にうれしい!」とエピソードを明かして会場の笑いを誘った。柳生宗矩役の松平は、「真田十勇士」を経験した登壇者らの挨拶を受けて「だんだん不安になってきました……」と心配そうな表情を浮かべる。自身の役どころについては「強い剣豪の役ということで、体を鍛え直してがんばりたい」と意気込みを語った。
最後に上川が出演者を代表して挨拶。上川は「この秋、見たこともない作品が舞台に立ち現れます。博多座、明治座、梅田芸術劇場へ、見たこともない何かを見にいらしてください。お待ちしています」と呼びかけ、会見を締めくくった。
公演は10月6日から28日まで福岡・博多座、11月3日から27日まで東京・明治座、12月9日から14日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。福岡、東京公演のチケットは7月7日、大阪公演のチケットは29日に発売される。
日本テレビ開局65年記念舞台「魔界転生」
2018年10月6日(土)~28日(日)
福岡県 博多座
2018年11月3日(土・祝)~27日(火)
東京都 明治座
2018年12月9日(日)~14日(金)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
原作:山田風太郎(角川文庫)
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