野田秀樹が「若い人とある程度まとまった時間を」12月ごろメンバーを募集

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野田秀樹が若い演劇人を対象にしたプロジェクトを始動する。これは本日6月19日に東京・東京芸術劇場にて行われた「東京芸術劇場芸術監督 野田秀樹を囲む記者懇談会」にて発表されたもの。

野田秀樹

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先日、第三子となる男児が誕生したことを報告した野田は、「2008年に東京芸術劇場の芸術監督に就任した10年前には、子供が1人もいなかった。それがこの10年の間に3人も生まれ、10年はあっという間だったと感慨深いものがあります」とこれまでを振り返る。

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また芸術監督就任時に柱にしたこととして、「足を運びやすい劇場にすること、海外に開かれた劇場にすること、地方と連携していくこと」と1つずつ挙げ、それぞれの手応えと課題を述べながら、「若い人に開かれた劇場にすることについては、芸劇eyesをはじめとした企画が一番うまくいってるような気がします」と実感を込める。

さらに野田は「NODA・MAPのオーディションやワークショップなどが単発で終わっていくことがもったいないという思いを、若い人と話をする中で感じていて。若い人とある程度まとまった時間を、長期的に取ってやっていく方法がないかなと。そこで、まだなんと呼べばいいのかわからないのですが、その形をこれから探り始めようと思っています。これが今日お伝えしたいことです」と述べた。

具体的には12月くらいからメンバーの募集を開始する予定で、「(取るのは)20人か30人くらいかな。その人たちとゆくゆくは芝居を打てれば。いいなって思える役者たちが出会いさえすれば、私が口を出さなくてもバババッって才能は開いていくと思うので、そういう場になってもいいのかも」と話す。また野田以外にも海外から講師を呼ぶ計画もあると話し、「自分がどれくらいできるかわかりませんが、劇場として何かすべきではないかと。なんとか時間を絞り出してやってみようと思っています」と思いを述べた。

また記者から俳優以外の、演出家や劇作家も募集の対象になるかという質問が寄せられると「どうなんでしょうね」と野田。「演出家や作家を教育するメソッドのようなものがなかなか見つからなくて。でも演出家や作家にも出会う場は必要なはずなので、(俳優たちが集う)その場所に来てくれてもいいと思うんです。ただ具体的なことについてはこれから試行錯誤しながら考えていこうかと。そのことを早めに告げるべきじゃないかと思い、今日この場があります」と笑顔で語った。

なお会見の前半では、4月にスタートした「One Green Bottle」2018年ヨーロッパツアーの報告も。野田はツアー皮切りとなったイギリス・ロンドンのソーホー劇場での公演に触れ、「客席の反応が良かったのをすごく覚えています。ロンドンって嫌な思いもしてるのでドキドキで初日が始まりましたが(笑)、とにかくお客のウケはずっとよかった」と手応えを語り、「日本とソウルでの公演を経て、作品がロンドンで成長していました。劇場のパブでお客さんと終演後に話をしたんですが、(好評だった)『THE BEE』のときと限りなく近い反応を感じましたね」と続ける。また「(英語翻案を手がけた)ウィル・シャープの言葉がよかったってことを、イギリスのお客さんが証明してくれました。ウィル・シャープとは今後も一緒に仕事したいですね」と笑顔で語った。

また秋にNODA・MAP「贋作 桜の森の満開の下」を上演するフランス・パリの国立シャイヨー劇場のラインナップ発表会にも出席したと話し、「パリでは『THE BEE』と『エッグ』をやっているので意外とお客さんがついていて。チケットの売れ行きは気にしなくてよいと言われました(笑)」と話し、会見場を笑いで包んだ。

最後に10年間芸術監督を務めてきたことについて「得たものはいっぱいあります。海外のアーティストとも若い人とも出会えた。芸術監督という名刺を出すことで広がったこともありますし。でもね、いつも名刺を忘れちゃうんだよ(笑)」と語り、再び記者たちを和ませた。

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