「尾上右近自主公演 第四回『研の會』」が8月26・27日に東京・国立劇場 小劇場で上演される。これに向けた記者懇親会が昨日6月13日に東京都内で行われ、
「研の會」は、2015年に右近が立ち上げた自主公演。4回目の開催となる今回は、中村鴈治郎の指導による「恋飛脚大和往来 封印切」と、初代尾上菊之丞の振付による「二人椀久」が上演され、「封印切」には右近、
「封印切」を今回の演目に選んだ理由について右近は、12年に大阪・大阪松竹座で上演された「團菊祭五月大歌舞伎」がきっかけであると話し、「(坂田)藤十郎のおじ様が演じる亀屋忠兵衛を、舞台袖で涙を流しながら拝見していました。おじ様は、私がずっと袖で観ていたことをわかってくださっていたようで、千秋楽の日に楽屋に挨拶しに行ったら、『今度私(藤十郎)が亀屋忠兵衛を演じるときは、あなた(右近)に教わらないとね』と冗談交じりに言ってくださいました。そのときの思い出は私にとって大切な宝物です」と笑顔を浮かべながら語る。
また「封印切」に惹かれた点を問われた右近は「悲劇だが多面性があるところ」と答え、「藤十郎のおじ様が演じる忠兵衛には、その点が色濃く表現されていると感じました」と感慨深げに述べる。さらに同作が上方歌舞伎の代表的な演目であることに言及し、「今まで関西弁で話すお芝居をやったことがなかったので、関西弁で捨てゼリフを言う場面が特に難しい」と苦労を明かした。
もう一つの演目である「二人椀久」について右近は「男女の色恋沙汰が描かれた美しい舞踊」と説明しつつ、「自分自身の内面が問われる作品なので、私の数少ない恋愛経験も生かしていかなければならないと思っています」と茶目っ気たっぷりに答え、報道陣を笑わせる。また、「かねてより『一緒に踊りたいですね』と壱太郎さんと話しておりましたので、実現できて非常にうれしいです。私の舞踊のルーツは尾上流で、壱太郎さんは吾妻流。自分たちのルーツをたどるという意味でも、大きな意味のある公演にしていきたい」と意気込みを述べると共に、「壱太郎さんと“油絵タッチな踊り”で『二人椀久』の世界を表現したいです」と意欲を見せた。
これまでの自主公演では、立役と女方、どちらの姿も披露してきた右近だが、今回は両演目で立役を演じる。これについて右近は「その年によってやりたいもの、勉強させていただきたい演目を演じていますので、特にこだわりはないのですが、『今年は男である自分を見て!』という気持ちです(笑)」とコメント。さらに、「自主公演では難儀な演目を選んでしまいがち。安全な道ではなく、危険な道を選択してしまう性格なんだなということを改めて感じました」と苦笑しながらも、迷いのない表情で公演にかける熱い思いを語った。
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
「尾上右近自主公演 第四回『研の會』」
2018年8月26日(日)・27日(月)
東京都 国立劇場 小劇場
「恋飛脚大和往来 封印切」
「二人椀久」
出演:尾上右近、中村壱太郎
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