「松竹大歌舞伎 近松座訪露公演」が9月にロシアで行われる。これに先駆け本日5月21日に東京・在日ロシア連邦大使館にて記者会見が開催された。
外務省の認定事業「ロシアにおける日本年」および、「国際チェーホフ演劇祭」の招聘プログラムとして行われる本公演。
会見には鴈治郎、扇雀、そして外務省国際文化交流審議官の宮川学氏、駐日ロシア大使のミハイル・ユリエビッチ・ガルージン氏、松竹の迫本淳一代表取締役社長、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が登壇した。
宮川氏は本公演が「ロシアにおける日本年」の目玉事業であることを説明し、「“演劇大国”であるロシアで歌舞伎はこれまで4回上演され、大変な好評を博しています。今回の公演に対するロシアの皆様の期待はとても高いと聞いております」と現地の様子を紹介。続くミハイル・ユリエビッチ・ガルージン氏は、「(松竹が海外で初の本格歌舞伎公演を行った)1928年と同じく、客席がロシアの歌舞伎ファンでいっぱいになりますよう、お祈りしています。ロシアの人たちは首を長くして待っています」と本公演に期待を寄せた。
今回の訪露公演で団長を勤める迫本社長は、祖父である城戸四郎が28年のロシア公演の団長を勤めていたということもあり、今回の公演に個人的な思い入れがあると言う。「私共の歌舞伎をロシアの方々にご覧いただける機会を楽しみにしております。文化交流に微力を尽くせれば」と意気込みを語った。
鴈治郎は前回2003年のロシア公演を振り返り、「ロシアの方々は、舞台芸術に対して理解が深く関心が高いとつくづく感じた公演でした。そのときは『曾根崎心中』という様式美というよりもドラマに重きを置いた芝居を持って行ったのですが、『理解していただけるかな』という心配は無用でした。今度もいわゆるドラマを選ばせていただきましたが、よろこんでいただけると思っています」とコメント。そして「ややこしいのは03年のときには父(現・藤十郎)が鴈治郎でございました。今年また鴈治郎が行きますが、代が替わって私が襲名しております。ロシアの方々に『同じ人だと思ったら違う』と思われないようにしたいです」と付け足し、記者たちの笑いを誘った。
「こうして大使館で記者会見があり、『ロシアにおける日本年』のメインイベントだと聞かされ、大変な責任だと今、初めて実感が湧いてきました(笑)」と切り出したのは扇雀。「私は各国のさまざまな舞台を観せていただいておりますが、正直に申し上げて『負けたな』と思ったことはかつて一度もない。それだけ歌舞伎を素晴らしい芸術だと自負しております。女形というのも世界に発信できる日本の文化だと思っていますので、それを私が勤めさせていただくのは大変責任があることだと思っています。ただ責任よりも期待が大きいです」と目を輝かせ、「学生時代、母親(扇千景)に『私の後を継げ』と言われたのですが、父(藤十郎)の跡を継いでよかったです(笑)」と結んだ。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森会長は「昨年ロシアへ参りましたときに、プーチン大統領に『鴈治郎さんファミリーがとても好評だったので、皆さんにやってもらえたら』と言われ、今回“仲人”を勤めさせていただきました」と挨拶。「歌舞伎俳優というのは大変ですね。1カ月勤めて、2日くらい休みをもらって、また全国を飛び回って……。ご自分の意思よりも社長の命令に従わされて……(笑)と、これは扇千景さんが私に言いました(笑)」と横にいる迫本社長に視線を送りつつ、「素晴らしい公演ができ、日ロ交流に一役買えましたら仲人といたしましても安泰です」と笑顔を見せた。
「松竹大歌舞伎 近松座訪露公演」は、9月9日から15日までモスソビエト劇場、9月19日から22日までボリショイドラマ劇場にて。なお「ロシアにおける日本年」では本演目のほか、伝統文化からポップカルチャーまでさまざま日本文化を紹介するプログラムがロシア各地で展開される。
※初出時、キャプションに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
「松竹大歌舞伎 近松座訪露公演」
2018年9月9日(日)~15日(土)
ロシア モスソビエト劇場
2018年9月19日(水)~22日(土)
ロシア ボリショイドラマ劇場
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