舞台は、男性キャストによるユニークな前説からスタート。男性は上演にあたっての諸注意を述べたのち、「台本にはここまでしか記載がないのですが、岩井さんに『色を付けて』と言われたのでもう少し話します」「岩井さんは若いのによくできた人で……」「上演時間は1時間45分を予定しておりますが、セリフを忘れたり、台本のページを行ったり来たりしてしまう可能性があるので、伸びるかもしれません」と続け、演出席の岩井や観客の笑いを誘う。そんな中、その他の出演者がゆっくりと姿を現し、舞台は静かに幕を開けた。
初めに上演されたのは、古くなった冷蔵庫を買い替えることになった夫婦の物語。冷蔵庫役の男性キャストは、ゆっくりとした動きで古めかしい冷蔵庫を表現し、夫婦役のキャストは「庫内の電球が切れてしまった」と言って、冷蔵庫役の男性のあごひげを電球に見立ててクルクルと回してみせた。
小作品が連なる本作だが、明確な場面転換はなく、緩やかに次の作品へと移行していく。主人公の女性とかつての親友との思い出を紡いだ2つ目の作品では、セーラー服を身に付けた2人の女性キャストが、忘れがたい文学少女たちの青春の1ページを快活なセリフ回しで表現した。
1人の女性を主人公とした3つ目の作品では、彼女がゴールド・シアターに入団して初めてセリフをもらった際のエピソードが展開。喜びに満ちあふれた彼女は、自宅でセリフの練習をしようとするのだが、予期せぬハプニングが発生してしまう。続く4つ目は、とある夫婦と飼い猫の物語。ここでは、セリフを忘れてしまった出演者に、別のキャストがプロンプターとしてセリフを教える微笑ましい一幕も。そして5つ目の作品には、戦時中に海軍飛行予科練習生として訓練を受けた男性と、その仲間たちに扮したキャストが登場し、当時の様子をリアルに描写した。またこのエピソードでは、主人公の男性をはじめとするキャストが、はつらつとした歌声を披露した。
公演は5月20日まで。なお同劇場の1階ガレリアでは、かつてゴールド・シアターの面々と共に創作を行った蜷川幸雄の写真展「蜷川幸雄三回忌追悼企画展『稽古場のまなざし』写真展」が行われている。会期は7月1日まで。
※さいたまゴールド・シアターの平均年齢は、今年2018年1月15日時点での情報。
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さいたまゴールド・シアター番外公演「ワレワレのモロモロ ゴールド・シアター2018春」
2018年5月10日(木)~20日(日)
埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 NINAGAWA STUDIO(大稽古場)
構成・演出:
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