「渋谷・コクーン歌舞伎 第十六弾『切られの与三』」が本日5月9日に東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕。これに先駆け、昨日8日にゲネプロと囲み取材が行われた。
与三郎役を勤めるのは、気鋭の女方・
物語は、笹野、亀蔵、扇雀扮する講釈師の講談からスタート。序幕「木更津海岸見染の場」では、ジャズをモチーフとしたメロディが与三郎とお富の出会いをロマンチックに彩るが、次なる「赤間別荘の場」では、与三郎がお富の夫・赤間源左衛門に成敗される様子が、燃え盛る松明の炎によって禍々しく表現された。
続いて、「イヤさお富、久しぶりだなァ」「しがねえ恋の情けが仇」のセリフで知られる「玄冶店の場」へ。再会を果たした2人の幸せな暮らしもつかの間、人を殺めた与三郎は囚われの身となってしまう。そして大詰の冒頭、島流しとなった与三郎を描く「島抜けの場」では、七之助の体当たりの演技と映像を駆使した演出が見事に交差する。
同日行われた囲み取材には、七之助、梅枝、萬太郎、笹野、亀蔵、扇雀、そして串田が出席。普段は女方を勤める七之助が「不慣れな立役ですので、皆さんの力を借りながらなんとかやっています」と共演者に感謝を述べると、「コクーン歌舞伎」初出演となる梅枝が「不慣れな舞台なもので……」と七之助の言葉に重ねて笑いを誘う。これを受け、串田は「七之助さんは慣れないとおっしゃっていましたけど、素晴らしい与三郎像がどんどん出来上がってきています」と自信を見せた。
与三郎とお富を演じる七之助と梅枝は「古典のイメージから脱却して、新たなものを作り出すのは大変」と苦労を口にしつつも、「いいものを作れるように、一生懸命がんばっています」と意気込みを語る。また梅枝の印象について問われた七之助は「本当に心強い存在。彼を通して、改めて女方の大切さや、女方は歌舞伎界の宝であること、貴重な存在であることを実感しました」と真摯に述べた。
そして「コクーン歌舞伎」の常連である扇雀は「皆さんを助けてます!(笑) 今のは冗談ですが、自分もそういう立場になったんだなと。皆さんと力を合わせて、いい作品にしていきたいと思います」とコメント。同じく「コクーン歌舞伎」に多数出演している亀蔵と笹野は「ぶっ飛んだ作品になりそうで楽しみ」「梅枝さん、萬ちゃん(萬太郎)に『また出たい』って思ってもらえる作品にしたい」と思いを語った。
上演時間は休憩2回を含む約3時間15分。公演は5月31日まで。なお「切られの与三」は「信州・まつもと大歌舞伎2018」の演目として、6月12日から18日まで長野・まつもと市民芸術館で上演される。
「渋谷・コクーン歌舞伎 第十六弾『切られの与三』」
2018年5月9日(水)~31日(木)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
作:瀬川如皐作「与話情浮名横櫛」より
補綴:
演出・美術:
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