会見には、芸術監督の熊川と浅川が出席。まず熊川は、2012年に負った股関節のけがをきっかけに浅川が引退を決意したことを説明し、「こういう日が来るのはわかっていたけれど、本人が決めることだから」と率直な思いを吐露する。03年、弱冠17歳でKバレエでのキャリアをスタートさせた浅川との出会いや数々の思い出を語りつつ、「浅川はまさにギフテッドチャイルドと呼ぶに相応しい、容姿と素晴らしい脚力、トップバレリーナとして必要不可欠な条件がそろったバレリーナ。浅川に失望させられたことは一度もないですし、これまで彼女にはたくさんの夢を見させてもらいました。Kバレエの初期メンバーとして長きにわたって活躍し、名バレリーナとして輝いてくれたことを心から感謝しています」と浅川の功績を讃えると共に、謝辞を述べた。
さらに熊川は「浅川くらいの優れた素材と今後出会えるかどうか、不安ではありますけども……」と苦笑を浮かべながら、「無常感、切なさはありますが、バレリーナを引退しても今後もKバレエの一員として一緒に活動していけるということで、バレエの魅力を後輩たちに伝えていってもらえたらと思います」と新たな人生を歩む浅川の背中を押した。
熊川のコメントを受け、浅川は「本日、皆さんにお伝えしたいことを考えてきていたのですが、ディレクターの言葉を聞いていたら感極まってしまって……すみません」と涙をぬぐい、声を詰まらせる。また、どのタイミングで引退を決意したのかと記者から質問が飛ぶと、「実を言うと6年前のけが以降、いつ歩けなくなるか、いつ踊れなくなるかという状況で常にやっていたので、けがをした段階からある程度覚悟を決めていました」と思いを明かし、「これまでは踊ることがすべてだと思っていましたが、これからは多角的にバレエに携わっていけたらと思います」と晴れやかな表情で今後の展望を語った。
また印象に残っている公演を問われた浅川は「Kバレエに入団して初めて参加した『白鳥の湖』の初日の光景を一生忘れることはありません」と答え、3月21日に東京・Bunkamura オーチャードホールで開幕する同タイトルについても言及。「『白鳥の湖』は大切に演じてきた作品なので、この時期にもう一度踊ることができて本当にうれしい。自分のすべてを投じるにふさわしい作品だと思います」と来週に控えた公演に向けて意気込みを語った。
また本日は会見の前に「白鳥の湖」の公開リハーサルも行われ、オデット / オディール役の浅川、ジークフリード役の
Tetsuya Kumakawa K-BALLET COMPANY Spring 2018「白鳥の湖」
2018年3月21日(水・祝)~25日(日)
東京都 Bunkamura オーチャードホール
演出・再振付:
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
美術・衣装:ヨランダ・ソナベンド、レズリー・トラヴァース
キャスト
オデット / オディール:
ジークフリード:
ロットバルト:スチュアート・キャシディ、石橋奨也、杉野慧
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