「KAWAII KABUKI」まもなく、横内謙介「キティ！ばつ丸！と大向こうを」

「KAWAII KABUKI～ハローキティ一座の桃太郎～」が、3月10日に東京・サンリオピューロランド メルヘンシアターで開幕。これに先駆け本日7日、サンリオピューロランドで公開ゲネプロと記者発表会が行われた。

本作は、サンリオピューランドで初の、歌舞伎を取り入れたミュージカルショー。脚本・演出・作詞を扉座の横内謙介が務め、ハローキティ一座を軸にした物語が繰り広げられる。なお歌舞伎演技指導を市川笑三郎が担当するほか、中村獅童が声の出演、坂東巳之助が映像出演、歌舞伎のPRキャラクター・かぶきにゃんたろうが特別映像出演する。

記者発表会はまず、サンリオピューロランドの小巻亜矢館長の挨拶からスタート。ハローキティたちがデザインされたオリジナルの定式幕をバックに、小巻館長は「違いを受け入れて、心ひとつにみんな仲良く」と本作のテーマを明かす。また横内や笑三郎への謝辞を述べつつ、今作のためにメルヘンシアターの客席や映像設備などを調えたとアピールした。

次に獅童、巳之助からのビデオメッセージが上映された。獅童は「幅広い世代の方々に楽しんでいただけたら。ストーリーがわかりやすく、歌舞伎を観たことがない方も、歌舞伎に詳しい方も、皆さんに喜んでもらえると思います」と自信をのぞかせる。続く巳之助は「小さなお子さんたちや、歌舞伎をご覧になったことがない方に観ていただけそうで楽しみ」と語り、「難しく考えず、思うままに楽しんでいただいて、歌舞伎やキティちゃんのかわいさを楽しんで」と呼びかけた。

続いて「KAWAII KABUKI」のゲネプロが開演。定式幕が開き、楽屋のれんをイメージした幕を背景にハローキティが口上を述べると、観客席からは「かわいい！」と声が漏れた。本編はハローキティ一座がこけら落とし公演「桃太郎」を上演する場面から始まる。キティのほかディアダニエル、ポムポムプリン、シナモロール、バッドばつ丸らが出演する「桃太郎」は無事に幕を降ろすが、終演後に劇場が突然停電してしまう。再び明かりがつくと、そこには見覚えのない鬼がいて……。

華やかなレビューショーと共に、歌舞伎特有の演出を取り入れた本作。見得を切る場面や立廻りのシーンでは、舞台袖近くに控えた“ツケ打ち”が実際に棒を打ち鳴らして効果音を担当する。また暗闇の中、音楽に合わせて登場人物たちがゆっくりと無言で探りながら動く“だんまり”、片足で跳びながら足を踏み鳴らす“飛び六方”なども披露された。また本作ではキャラクターの出で立ちも見どころの1つ。隈取をイメージしたメイクを施したキティたちは、リンゴ柄の打掛や「×○」と模様の入った着物などそれぞれの個性を生かした華やかな衣装で、歌や踊りを披露した。

ゲネプロの終演後には横内と笑三郎によるトークセッションが行われた。「『何も考えずに、歌舞伎がいいとか言ってんだろう！』とキティ座頭に申し上げました（笑）」と話すのは横内。「歌舞伎俳優がやらないと歌舞伎にならないと思っていたので、『無茶なことを！』って言ったんですけど『やるの！』とキティが……」と冗談を飛ばしながらも、「40分じゃ足りない。3時間くらいで“スーパーキティ一座”やらせてくださいって座頭に頼もうかな」と笑いを交えて意欲をのぞかせた。また横内は「ぜひ『キティ！』『ばつ丸！』と大向こうをかけてほしい。観客の皆さんが一座を育ててくだされば」と集まったファンたちに呼びかけた。

ハローキティと歌舞伎のコラボレーションについて笑三郎は「やればできる！」と笑顔を見せる。続けて「歌舞伎はひと月やふた月でできるものではありませんが、“やっていく中でできあがっていく”ことが今回のキティ一座の世界観とマッチしました」と手ごたえを語った。また「観客の一員としても純粋に楽しめる作品になった」と話す笑三郎は、「キティちゃんは可愛く、ダニエルはカッコよく、ばつ丸は元気よく、プリンは和やかに、シナモンは朗らかに。この一座は本当に仲が良くて、切磋琢磨しながら作品ができあがったことがうれしいです」と感慨深げに述べた。

最後に横内と笑三郎が、観客にメッセージを送る。横内は「これから長ーい公演になりますが、第1回を目撃した皆さんの発信が我々の行方を定めます（笑）。実はまだ出していないいくつかの技や、キャラクターもあるんです。それもぜひ楽しみに、ショーの成長を見守ってください」と、ファンの期待を煽る。笑三郎も「『よかったよ、楽しかったよ』と広めていただき、ぜひ歌舞伎にも興味を持っていただけたら。『KAWAII KABUKI』をどうぞご贔屓によろしくお願いいたします」と挨拶し、記者発表会は終了した。

「KAWAII KABUKI～ハローキティ一座の桃太郎～」の上演は約40分間。上演の終了日は未定となっている。