本日2月7日にKAAT 神奈川芸術劇場 2018年度ラインナップ発表会が行われ、同劇場芸術監督の
発表会ではまず白井が挨拶。白井は「昨年のラインナップ発表会でも申し上げましたが、2018年度もラインナップのテーマはありません。私がぜひこの劇場でやってもらいたいと思うアーティストと個別に話し合いながら、彼らが社会を見て何を感じ、何を考えているかを聞き、どういう作品をやっていこうか、一緒に考えています」と説明。続けて白井が司会を担当し、各作品の演出家や作家が、作品に対する思いや現在の構想を語った。
松井は「グッド・デス・バイブレーション考」の作・演出を担当。作品について松井は「『楢山節考』が好きで、物を考えるときのベースに常にある作品です。『グッド・デス・バイブレーション考』は近未来の話ですが、近未来で姥捨山と言えば、“グッド・デス”、安楽死の話かなと。そういう感覚で、安楽死に直面する貧困家庭の問題を描こうと思います」と思いを述べる。また自身が主宰する
また、昨年2017年にKAATで上演された「忘れる日本人」に続き、
森山は、昨年初演されたKAATキッズ・プログラム「不思議の国のアリス」の演出・振付を担当。18年度は、KAATのほか全国17劇場をツアーする。「キッズ・プログラムという位置付けではありますが、それぞれに個性あふれる強者ばかりで、クリエーションしながら僕でも抑えることができないほどのメンバーでした(笑)」と森山は昨年を振り返り、「子供たちに合わせて作ったというより、最高のパフォーマンスを思いっきり真剣勝負でやっている僕らを、子供たちが見入ってくれた。今年もさらに子供たちの想像力を超える作品を作って、全国の子供達と闘い、共有してきたいと思います」と力強く意気込みを語った。
白井が演出する「華氏451度」の上演台本を手がけ、自身はホールで「セールスマンの死」の演出をするのは長塚。長塚が「このラインナップの中で『セールスマンの死』をやっちゃって、本当にいんですかね?(笑)」と白井に冗談ぽく目線を送ると、白井は笑いながら大きく頷いた。「これほど優れた戯曲にはなかなか出会えることはない。なので面白い演出をしてやろうとかっていうこととは違う、この戯曲がこの時代にどう響くかを考え『しっかり』やろうと思っています。先ほど松井さんが安楽死についてお話されていましたが、この作品もある意味、老いと夢の話。お客さんにはすごい戯曲があるんだと目撃してもらえると思いますし、僕が信頼している俳優さんが主演してくれますので、すごい俳優がいるのだと思ってもらえるのでは」と自信をのぞかせた。
また「華氏451度」については「実は別の打ち合わせをしていたら白井さんがこの戯曲をやると小耳に挟んで、『冗談じゃない、僕がやりたかったのに! 台本は書かせてくれ』と白井さんに話したんです(笑)」と作品への思い入れを語り、会見場を笑いで包んだ。
杉原はギリシャ悲劇に初挑戦する。「一度はやってみたかったギリシャ悲劇。今回は若いオイディプス王にしたいと思っていて、若い王が堕ちていくさまを描きたいと思っています」と杉原は作品の具体的な構想を述べた。さらに「最近、小劇場ではなかなかお客さんが入らなくなってきました。今回、KAATで『ルーツ』に続きまたやらせていただけることになり、アーティストはただ創作に専念するだけで、集客は劇場の方ががんばる、というように分業ではなく、劇場と一緒に作品作りができたら」と思いを述べ、白井は「心強い発言です」と笑顔で頭を下げた。
会見には出席できなかったが、急遽メッセージを寄せたのは、19年1月から2月にかけて新作を予定している
最後に、KAATとロームシアター京都、そして穂の国とよはし芸術劇場の3館共同製作として新作「糸井版 摂州合邦辻」上演に挑む、
また提携公演の1つには、長塚が主宰する
主催ラインナップにはこのほか、キャサリン・ウィールズ劇団「ホワイト WHITE」、ウースター・グループ「タウンホール事件」、北村明子演出・構成・振付・出演「Cross Transit 2(仮)」、伊藤郁女と
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
2018年度(2018年4月~2019年3月)主催公演、主なラインナップ
KAAT×世田谷パブリックシアター「バリーターク」
2018年4月14日(土)~5月6日(日)
大スタジオ
演出:
KAAT×サンプル「グッド・デス・バイブレーション考」
2018年5月中旬
中スタジオ
作・演出:
KAAT×地点「山山」
2018年6月6日(水)~16日(土)
中スタジオ
作:
演出:
KAATキッズ・プログラム2018「不思議の国のアリス」
2018年7月中旬
中スタジオ
演出・振付:
KAATキッズ・プログラム2018「グレーテルとヘンゼル」
2018年8月
大スタジオ
演出:ジェルヴェ・ゴドロ
KAATキッズ・プログラム2018「ホワイト WHITE」(スコットランド)
2018年8月
大スタジオ
KAATキッズ・プログラム2018「ニュー オーナー NEW OWNER」(オーストラリア)
2018年8月
大スタジオ
「華氏451度」
2018年9~10月
ホール
上演台本:
演出:白井晃
KAAT DANCE SERIES 2018×Dance Dance Dance @YOKOHAMA 2018 バレエ・ロレーヌ公演(フランス)
2018年9月16日(日)・17日(月・祝)
ホール
KAAT DANCE SERIES 2018×Dance Dance Dance @YOKOHAMA 2018 マチュラン・ボルズ公演(フランス)
2018年9月22日(土)~24日(月・振休)
大スタジオ
KAAT DANCE SERIES 2018「いきのね」
2019年2月
ホール
出演:Co.山田うん
ウースター・グループ(USA)「タウンホール事件」
2018年9月下旬
大スタジオ
KAAT DANCE SERIES 2018「A O SHOW(アー・オー・ショー)」(ベトナム)
2018年10月
ホール
KAAT DANCE SERIES 2018「Cross Transit 2(仮)」
2018年10月
大スタジオ
演出:北村明子
「セールスマンの死」
2018年11月
ホール
演出:長塚圭史
KAAT DANCE SERIES 2018 伊藤郁女×森山未來「新作」
2018年11月1日(木)~4日(日)
大スタジオ
KAAT EXHIBISON2018「潜像」
さらひらき展「潜像の語り手」
2018年11月11日(日)~12月9日(日)
中スタジオ
2018年11月中旬~下旬
大スタジオ
三宅純コンサート「The here and after」
2018年11月23日(金・祝)
ホール
「オイディプス王」
2018年12月
大スタジオ
演出:
「出口なし」
2019年1月
中スタジオ(予定)
演出:白井晃
KAAT×まつもと市民芸術館「新作」
2019年1~2月
大スタジオ(予定)
演出:
TPAM 国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2019
2019年2月
全館
KAAT×ロームシアター京都×穂の国とよはし芸術劇場 木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」(仮)
2019年3月
大スタジオ
補綴・監修:
上演台本・演出・音楽:
芸術監督トーク「SHIRAI’s CAFE」
不定期、年3回(予定)
ほか
2018年度 提携公演ラインナップ
ワタナベエンターテイメント×シーエイティプロデュース×ぴあ Rock Musical「5DAYS 辺境のロミオとジュリエット」
2018年4月3日(火)~23日(月)
中スタジオ
脚本・作詞・演出:
横浜ボートシアター「さらばアメリカ!」
2018年5月25日(金)~6月3日(日)
大スタジオ
脚本・演出:遠藤啄郎
地点「忘れる日本人」
2018年6月21日(木)~24日(日)
中スタジオ
作:松原俊太郎
演出:三浦基
東京デスロック+第12原語演劇スタジオ「カルメギ」
2018年7月上旬
大スタジオ
原作:
脚本・演出協力:ソン・ギウン
演出:
阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
2018年9月7日(金)~9日(日)
大スタジオ
作・演出:長塚圭史
時々自動「コンサート・リハーサル」
2019年2月
大スタジオ
脚本・演出・音楽:
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森山開次「子供たちに合わせて作ったというより、最高のパフォーマンスを思いっきり真剣勝負でやっている僕らを、子供たちが見入ってくれた。今年もさらに子供たちの想像力を超える作品を」→KAATの2018年度ラインナップ ステージナタリー https://t.co/mbFlTvGVWg