イベントは、現在上演中の「ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕40周年記念ブス会*『男女逆転版・痴人の愛』」の話題からスタート。山田が「『男女逆転版・痴人の愛』は、文学を演劇に落とし込んだ作品だと思うんですけど、文学の美しさを現代の口語でこんなに美しく表現できるものなのかと、今までの作品からはすごく意外に思って。あのリーディングのような独白部分がすごく好みだった」と感想を述べると、ペヤンヌは「今回は会話劇じゃないものをという思いがあった」「舞台美術も具象だったものを抽象にして、すごくバランスが難しかった」と裏話を明かす。
事前に□字ック作品の映像資料を見たというペヤンヌは「(□字ックとブス会*は)『テーマが似てる』みたいなことを小耳に挟んだりしていたんですが(笑)、見てみたら違いましたね。ベースとなる音楽の使い方が特徴的で、エンタテインメントとして楽しんで見られました。タイプの違う女性の友情をテーマとした作品は私も描いてきたので、共感するところがあります」と感想を述べ、田中氏は山田とペヤンヌの2人を「入口は近くて出口が全然違う2人」と評した。
劇団とユニット、それぞれ違った形で自身の団体を率いる2人。ペヤンヌは、劇団員を持たないユニット形式で活動する理由を「固定の劇団員に役を当て込むというよりは、やりたいことに合わせて俳優さんを呼ぶほうに魅力的を感じている」と説明し、一方劇団を主宰する山田は「旗揚げ当時は、演劇をやる=劇団を作るということしか知らなかった」と劇団結成時を振り返る。さらに、「外部の作品を手がけるときは、俳優さんが魅力的に見えるように演出して、劇団での創作では、自分の作品に重きを置いているイメージ」と外部公演と劇団公演での制作方法の違いについても語った。
今回のイベントのテーマである下北沢について話が及ぶと、ペヤンヌは「長崎から上京した当時、ザ・スズナリで大人計画の『熊沢パンキース』や『マシーン日記』などを観ていたこともあって、自分の芝居を(下北沢で)上演するのが夢だった。ブス会*としては、3回目で下北沢で公演を打たせてもらうことができたものの、最初は短い期間だった。それが今はしっかりとした期間で公演を打てている」と語り、山田は「旗揚げ当時は『2年で本多劇場いきます!』と息巻いていたが、結局8年かかった。甘かったです(笑)」と述懐。続けて山田は「□字ックとして、大きな劇場で公演をやってみたいという思いが強い」と今後の抱負を述べた。
ペヤンヌが脚本・演出を務めるブス会*「男女逆転版・痴人の愛」の東京公演は、12月19日まで東京・こまばアゴラ劇場にて。その後、1月21日に福岡・久留米シティプラザ 和室 長盛で福岡公演が行われる。また山田が脚本・演出を手がける□字ック「滅びの国」は、1月17日から21日まで東京・本多劇場にて上演。
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ペヤンヌマキ×安藤玉恵生誕40周年記念ブス会*「男女逆転版・痴人の愛」
2017年12月8日(金)~19日(火)
東京都 こまばアゴラ劇場
2018年1月21日(日)
福岡県 久留米シティプラザ 和室 長盛
脚本・演出:
出演:安藤玉恵、福本雄樹、山岸門人
チェロ演奏:浅井智佳子
□字ック「滅びの国」
2018年1月17日(水)~21日(日)
東京都 本多劇場
脚本・演出:
出演:吉本菜穂子、三津谷亮 / 小野寺ずる、日高ボブ美、山田佳奈、大竹ココ、
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おおとも ひさし @tekuriha
“入口は近くて出口が全然違う”、山田佳奈&ペヤンヌマキが演劇と下北を語る - ステージナタリー https://t.co/QATKPVLa6S