明日10月17日のプレビュー公演から開幕する
ルーマニアの演出家であるシルヴィウ・プルカレーテが初めて日本人俳優への演出を手がける本作は、
ゲネプロ前に行われた囲み取材には佐々木をはじめ、
リチャードに籠絡されて妻となるアン夫人役の手塚は「僕は最年長の55歳ですが、この格好をしています……意気込みをわかっていただけたら」と自らの真っ赤なドレス姿に言及。エリザベス役の植本は「2・3日前の舞台稽古で蔵ちゃん(佐々木)から『いい! すごくいい!』と言われました。座長のその言葉を信じてがんばろうと思います」とエピソードを明かした。
バッキンガム公を演じる山中は「今まで味わったことのない演劇体験ができるのではないかなと思います」と自信をのぞかせる。マーガレット役の今井は「生きてるのやら死んでるのやら、そんな役です。舞台上でなるべく摩訶不思議な存在になれればと思います」と述べる。クラレンス公ジョージ役の長谷川は「おそらく将来的に“伝説の舞台”と呼ばれるんじゃないかな……刺激的ですのでお楽しみに!」と観客に呼びかけた。
佐々木は「『リチャード三世』と言えば極悪な人間ですが、僕が演じる今回は道化と言いますか、プロレスのヒール役みたいに反則技でみんなを楽しませるような感じで、今までにないリチャードになっています」と述べ、演出家のプルカレーテについては「稽古初日から『そんな角度でこの本を読むの?』という感じで、驚くべき日々でした。僕ら演劇人が幸せな瞬間ばかりで、こんなに楽しいことはないです」と興奮気味に語る。最後に佐々木は「残虐で危険で凶暴で、でも官能的で、美しくて。そしてアートでエンタテインメントで……最後は笑ってしまうようなことも起きます。ぜひご来場ください」と締めくくった。
続いて行われた記者懇親会にはプルカレーテが登壇。記者から、自身初の日本人キャストへの演出について尋ねられると「日本人俳優と創作できるのは大きな喜びです。比較的限られた時間の中での凝縮した仕事でした」と話す。また「私が込めた“今日に響くメッセージ”は、作品の中に含まれています」と述べ、「私ができる唯一の方法でメッセージを作りましたので、ぜひ観てください」と観客に呼びかけた。
物語は15世紀のイングランド、王位をめぐるランカスター家とヨーク家の争いの渦中を描く。舞台は、クラブのような空間で激しい音楽に合わせ人々が踊るシーンから始まる。群衆の中から登場したグロスタ公リチャードはピエロに扮装し、まるでパーティの余興のように兄・ジョージに手錠をかけさせ……。リチャードが次々に企てる残虐な殺害の場面はシャワーのように降り注ぐ水や透明なビニール袋を使った演出で描かれた。
佐々木は野心のままに殺しを実行していくリチャードを狂気的かつ、どこか孤独な雰囲気をまとわせて熱演。そんなリチャードに夫を殺されながらも、誘惑されるアン夫人の翻弄されていく姿を手塚は妖艶な所作で表現した。
また今井は神出鬼没に現れては呪いの言葉を吐くマーガレットを不気味に演じ、植本は夫と息子を殺され、悲しみに苛まれながらも毅然とした態度をとるエリザベスを芯の通った演技で魅せた。
上演時間は途中休憩15分を含む約2時間30分。東京公演は10月30日まで、11月3日から5日まで大阪・森ノ宮ピロティホール、11月8日に岩手・盛岡市民文化ホール 大ホール、11月15日に愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールにて。
「リチャード三世」
2017年10月18日(水)~30日(月)※10月17日(火)はプレビュー公演。
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
2017年11月3日(金・祝)~5日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
2017年11月8日(水)
岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
2017年11月15日(水)
愛知県 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
作:
上演台本・演出:シルヴィウ・プルカレーテ
演出補:
翻訳:木下順二
出演:
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これね、録画したのを何回も観てしまう…
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