「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」再演の製作発表が、本日7月25日に都内ホテルにて開催。四代目
安孫子は「新橋演舞場は、主に大人の方が来る劇場だったのですが、小中学生や、今まで一度も歌舞伎を観たことのない原作ファンの方々、たくさんの方にご来場いただきました」と初演を振り返り、「前回を上回る新しい『ワンピース』を!と猿之助さん横内さんの2人が企画しています。どうぞご期待ください」と挨拶した。
横内は「2年前の製作発表では、歌舞伎界とマンガ界を敵に回してしまう恐ろしい試みに参加してしまったと、ウソップのような気持ちでいました(笑)。台本は第一稿ができていたのですが、皆さんお忙しく、打ち合わせもあまりできず、さらには『原作を読んでいません』という恐ろしい声もあって、ハラハラしていたことを覚えています(笑)」と前回を振り返る。
さらに横内は、「稽古に入ったあとも、我々の、特に私の原作への理解不足もあり、ジャンプ編集部から……私は密かにGHQと呼んでるのですが(笑)、検閲があって。『このキャラクターはこういうふうには言わない』と指摘が入るんです。『でもこれ若い娘の役だけど、45過ぎたおじさんが演るんで……』なんてやりとりもありました。国内ですが、ちょっとした異文化交流だったと思います」と初演時の制作過程を明かす。
また「正直、初演は幕を開けるので精一杯だった」と横内は続け、「大阪公演までの期間での練り直しが、作品に大きな変化を生みました。別なものに進化したという自覚があります。恥ずかしい話ですが、我々の原作に対する理解も深まっていて、『やるべきことはこれだった』と、やりながら気付いたところもたくさんありました。例えば白ひげ海賊団と戦う手下たちを、一緒くたに扱っていたんですね。ところが、幕が開いてみると、たったひと言のシャイン軍曹とか、本当に小さな役にまでファンがいて、思いがあると感じました。手下1、2、3と並びで書いたのは大間違いだったんじゃないだろうかと気が付きました。ここはもう全部名前を挙げて、原作に立ち返り、役を考えてみようじゃないかと。結果、俳優たちも名前をもらって輝きを増してくれました」と手応えを語る。最後に「東京でご覧になった方に、もう一度見せなきゃいけないねと言っていたので、今回の機会を得たことをうれしく思います」と結んだ。
猿之助は「再演を重ねる新作を作るのは難しい。なので興味本位での新作作りは避けてきました。この『ワンピース』が再演になったことがすべての答えだと思っています」と真摯に語る。「この前、原作の尾田(栄一郎)先生とお話させていただいたときに、『君は何をやってもルフィにしか見えない。だから大丈夫だ』という言葉をいただきました。役の心さえちゃんと掴んでいれば、何をやったっていいという究極の教えをいただいたようです。共演のみんなも再演にあたり役を自分のものにしているので、その心を掴んだ上で、一緒に自由に羽ばたいていきたいと思います。九州でも博多でも、やったことのないことを観せようと思います」と意気込んだ。
なお再演では、猿之助がシャンクス、右近がルフィとハンコックを勤める若手抜擢ステージ「特別マチネ『麦わらの挑戦』」の実施にも注目が集まる。本企画について猿之助は、「右近くんは僕より年齢が若いのですが、年を重ねれば重ねるほど若者を演じるという歌舞伎術を、彼が学んでくれるか。そしてそれを支える巳之助くん、隼人くん、新悟くんは、僕に助けられていた部分を、彼らが100パーセント以上の実力を出して面白くできるかどうか。この企画によって彼らが何か掴んでくれればいいと、僕は泣く泣くWキャストにしました(笑)」と若手にエールを送る。さらに「主役が変われば世界観も変わるので、両方楽しんで」と観客に向けてアピールした。
また、原作の海外での実写テレビドラマ化が決定した件について記者から尋ねられると、「自分のほうがいいという自信はあります」と猿之助はニヤリとしながら、「どんなものが出来るのか楽しみではありますね」と期待を寄せる。最後に、「バージョンアップではなく、新しい『ワンピース』という気持ちで作っております。『ワンピース』の発想は、ゆずのステージからヒントを受けているのですが、今年また彼らの20周年のライブを幸か不幸か観てしまったので、そこで使われた演出を取り入れてみたいと思っています。初日に向かって進化に関する情報が飛び出るか飛び出ないか、その辺りも楽しみに、ぜひ期待していてください」と観客に呼びかけ、会見を締めくくった。
公演は10月6日から11月25日まで東京・新橋演舞場で再演される。10月分のチケット販売は8月20日、11月分は9月18日に開始。
「スーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』」
2017年10月6日(金)~11月25日(土)
東京都 新橋演舞場
原作:
脚本・演出:
演出:
スーパーバイザー:市川猿翁
出演者
ルフィ、ハンコック:市川猿之助
白ひげ:
ゾロ、ボン・クレー、スクアード:
サンジ、イナズマ:
サディちゃん、マルコ:
ナミ、サンダーソニア:
アバロ・ピサロ:
はっちゃん、戦桃丸:
ベラドンナ:
ニョン婆:
ジンベエ、黒ひげ:
ニコ・ロビン、マリーゴールド:
マゼラン:
つる:
エース、シャンクス:
ブルック、赤犬サカズキ:
イワンコフ、センゴク:
「麦わらの挑戦」※通常公演と異なる出演者配役のみ
シャンクス:市川猿之助
サンジ、イナズマ、マルコ:中村隼人
ルフィ、ハンコック:尾上右近
ナミ、サンダーソニア、サディちゃん:坂東新悟
エース:平岳大
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