dracom25周年で「空腹者の弁」再々々演、演劇の可能性とそれに挑む勇気

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dracom「空腹者の弁」が、6月9日から11日まで大阪・ウイングフィールドで上演される。

前作のdracom祭典「今日の判定」より。(撮影:TAKE nob)

前作のdracom祭典「今日の判定」より。(撮影:TAKE nob)

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dracom祭典「空腹者の弁」チラシ

dracom祭典「空腹者の弁」チラシ[拡大]

1997年に初演され、その後、2度にわたり再演された本作。詩のようなセリフや掴みどころのない会話の連なりで構成されているテキストを、俳優がサイコロを振ってセリフを言う順番を決め、それをダイアローグとして成立させるという演出が施されている。

筒井潤率いるdracomは、今年2017年で25周年を迎える。同じく25周年となる劇場・ウイングフィールドが、かつて同劇場代表・福本年雄の住居だったことから、本作ではかつての間取りが再現される。舞台美術は第43回伊藤熹朔賞を受賞した柴田隆弘が担当する。

筒井潤コメント

dracomは25年も大阪を拠点として活動を続けてきたので、必然的に認知度もそれなりにあります。しかしそれはあくまでも長年やってきた必然でしかありません。そして現在まで活動を続けてきたのはどうにも抑えきれない表現衝動があったからなのですが、一貫してオルタナティブな表現であり集団だったので王道を行く劇団のような華やかな上がりのある双六には乗れず、ゴールのない道を切り拓きながら地道にやっていくしかありませんでした。
ここに来てどうして20年も前に発表された作品を上演することにしたのかというと、当然のように現れるdracomよりも若い世代のオルタナティブな創作者が、いつの間にかいなくなることが多かったからです。今も私は若者の柔軟な発想やユニークな表現、身体から溢れるエネルギーから素直に刺激を受けます。しかし彼らが何らかの理由で居なくなったり、趣味と揶揄されても仕方のない活動に縮小したり、軟化していく様を見るのはあまりにも寂しく、耐え難いのです。
この作品の上演は、単に奇天烈な演劇の実践というだけでなく、大阪のベテラン劇団が今も新たな道をたどたどしくも開拓していく過程を露わにする行為です。演劇の可能性とそれに挑む勇気を観客と創作者たちに提供でたらと切に願っています。

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dracom祭典「空腹者の弁」

2017年6月9日(金)~11日(日)
大阪府 ウイングフィールド

作・演出:筒井潤
出演:鎌田菜都実、筒井潤、村山裕希 / 稲葉俊、大石英史、松田早穂 / いぬい、進信也、電電虫子、橋本健司

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村山裕希/Murayama Hiroki @callmehiroki

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