小池博史、制作発表で危機感語る「100年後に世界があるのか」

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小池博史ブリッジプロジェクト」の今年2017年度の活動についての制作発表が、4月19日に東京・国際フォーラム会議室にて行われ、小池博史と作曲家の中川俊郎が登壇した。

小池博史

小池博史

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「小池博史ブリッジプロジェクト」は、2012年に30年間の歴史に終止符を打ったパフォーミングアーツカンパニー、パパ・タラフマラの主宰で演出家の小池が、同年に立ち上げたプロジェクト。今年は3本の公演事業(「戦いは終わった―マハーバーラタより」「新・ダンス音楽劇 注文の多い料理店 」「世界漂流」)と、タイ、南アフリカ、そして日本各地でワークショップなどの教育事業を行う。

中川俊郎

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会見に登壇した小池はまず、ブリッジプロジェクトとパパ・タラフマラの活動の違いについて言及。その違いは「意識のあり方」にあると言い、「(ブリッジプロジェクトでは)例えば、福島の問題を福島の問題として隠さない。その問題を作品にきちんと用いる。そういう社会問題があることを認識しないと、これからは生きられない」と、現状の社会についての危機感を強くにじませる。それを受けて、これまでにも「注文の多い料理店」など小池作品の創作に携わっている中川が、「パパタラでクリエーションを中心に活動していたときは、そういった社会問題と距離があった?」と小池に尋ねると、「当時は自分たちが自分たちの問題を、自分たちの力で解決できる可能性があるという希望があった。今はない」と言い切り、「100年後に世界があるのか。もはや、世界そのものがない可能性があるくらい切羽詰まっている。それなのにその危機感が人々にあまりに少ない」と続ける。

このクリエーションに対する意識の問題に向き合うために、まず一度カンパニーを解散することで、自由に人が入って来られる環境を作ったと説明し、「それまでの活動から一旦離れ、創作と発信と教育を行おうと始めたのがブリッジプロジェクト。調和型の社会を目指し、俯瞰的な視点を持って創作する。そのためには東京だけでなくいろいろな場所で創作するなど、僕自身がアウェイになっていく視点が必要だと思っています」と社会と向き合い、創作を続ける覚悟を語る。

また「新・ダンス音楽劇 注文の多い料理店 2017」が公共施設4館(東京都多摩市・福井県・大阪府豊中市・千葉県柏市)の地域連携事業として公演を行うことを受けて小池は、「舞台は空間と時間と身体の響き合い。そのうちの何か1つでも変わるとほかも否応なく変わる。表面的には同じように見えても意識的には相当変わるんです」と、環境の違う各館での上演について語り、そのライブ感を楽しもうと、中川と微笑み合いながら、各会場への来場を観客に呼びかけた。

小池博史

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なお今年小池が製作する3本の公演事業「戦いは終わった―マハーバーラタより」「新・ダンス音楽劇 注文の多い料理店 」「世界漂流」のうち、「戦いは~」は2013年に8カ年計画で始まった、「マハーバーラタ」完全版を作り上げる国際共同プロジェクト。これまでにカンボジア、インドなどアジアで上演されてきた。5年目の今年は、タイでの滞在制作およびタイと日本でのツアー公演に挑む。クラウドファンディング「Motion Gallery」では同作の製作支援を募集中だ。

「新・ダンス音楽劇 注文の多い料理店2017」は、「人間はもはや人間の視点だけでは生きられないのではないか」と考えた小池が2012年にスタートさせた、宮沢賢治シリーズの新作。3部作の第1作目に新演出を加え上演。主に音楽面でが刷新されると言う。3本目の「世界漂流」は、2016年に始まった、小池の書き下ろしで社会に深くコミットする作品を創作する「世界シリーズ」の第2弾。本作では舞台を2030年に設定し、社会の行く末に対する強い危機感を舞台に顕在化させる。

「戦いは~」は8月に東京・パルテノン多摩とタイで上演。「注文の多い~」は10月にパルテノン多摩と千葉・柏市民文化会館、11月に福井・福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい、12月に大阪・豊中市立ローズ文化ホールと巡演。「世界漂流」は2月に東京・吉祥寺シアターにて公演を行う予定だ。世界を漂い社会を見つめる「小池博史ブリッジプロジェクト」の活動から今年も目が離せない。

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「戦いは終わった―マハーバーラタより」

2017年8月12日(土)・13日(日)
東京都 パルテノン多摩
※タイ公演あり

「新・ダンス音楽劇 注文の多い料理店 2017」

2017年10月21日(土)・22日(日)
東京都 パルテノン多摩

2017年10月28日(土)
千葉県 柏市民文化会館

2017年11月15日(水)
福井県 福井県立音楽堂 ハーモニーホールふくい

2017年12月3日(日)
大阪府 豊中市立ローズ文化ホール

作・演出・振付:小池博史
音楽:中川俊郎、藤井健介
出演:小谷野哲郎、荒木亜矢子、大塚陽
演奏:中川俊郎(ピアノ)、中村明一(尺八)、下町兄弟(パーカッション)ほか

※初出時より、大阪公演の会場名を変更しました。

世界シリーズ第2弾「世界漂流」

2018年2月2日(金)~12日(月)予定
東京都 吉祥寺シアター

作・演出・振付:小池博史
音楽:太田豊、下町兄弟
出演:フィリップ・エマール(予定)、ムーンムーン・サイ(予定)、荒木亜矢子、谷口界、吉澤慎吾 ほか

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矢野靖人 @6月シアタートラム「バイオ・グラフィ:プレイ(1984)」 @YasuhitoYANO

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