「炎 アンサンディ」が、2017年3月4日から19日まで東京・シアタートラム、3月24・25日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて再演される。
本作は、祖国の内戦を背景に、家族のルーツを解き明かしていく姉弟の旅路を描いた、レバノン出身の劇作家ワジディ・ムワワドによる戯曲。幼い頃に内戦を経験し、フランスに亡命後にカナダに移住したムワワド自身の視点から、とある家族の崩壊と再生が描かれる。母の故郷を訪れた姉弟は、封印されていた母の数奇な人生と家族の宿命に対峙して……。
今回は2014年と同じキャストとスタッフが再集結。演出の上村は「“血”の理由をじっくりと見据えた初演から、『友情』をヒントに、未来へと繋ぐ手掛かりは、“血”を超えたところにある、生産性がないように思える他者へと向けた迸る感情の沸点こそが、生きていく上での財産であり、かつ表現の上では心震える魅力であるような、そのような醍醐味を感じる再演に仕立てたいと思います」と意気込みを語っている。
上村聡史コメント
そして“血”を超えて
38のシーンから構成される「炎 アンサンディ」の物語は、亡くなった母の過去を軸に展開し、その衝撃の内容は初演の際、大きな話題となりました。それぞれのシーンが、母を中心とした家族の姿を印象深く描き、母から子供へと託す熱い想いは手紙という手段で語られます。そのような物語の中、意外にも作家ムワワドが多くの台詞を費やしたシーンが25番目の「友情」にあたります。母が子ども時代に出会った親友と、報復の果てに起きた大虐殺によって現出した多くの死体を目の前に、復讐の是非を極限状況の中でお互いにぶつけるシーンです。それぞれの正義を、人としての尊厳をかけて議論を重ねますが、聞きようによっては際限のない恨み辛み、苦しみ悲しみ、悔い嘆きを長々と生産性もなく吐き続けているようでもあります。再演を前にこの作品を初演より、更に大きく豊饒な作品にしなくてはと思っています。何百年後、何千年後の未来に向けて私たちはどのような顔をして現在を生きていけばいいのか、時代・世界・社会に向けて表現者がどのような顔をして物語を伝えていかなくてはいけないのか。“血”の理由をじっくりと見据えた初演から、「友情」をヒントに、未来へと繋ぐ手掛かりは、“血”を超えたところにある、生産性がないように思える他者へと向けた迸る感情の沸点こそが、生きていく上での財産であり、かつ表現の上では心震える魅力であるような、そのような醍醐味を感じる再演に仕立てたいと思います。
「炎 アンサンディ」
2017年3月4日(土)~19日(日)
東京都 シアタートラム
2017年3月24日(金)・25日(土)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
作:ワジディ・ムワワド
翻訳:藤井慎太郎
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- 『炎 アンサンディ』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター
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「炎 アンサンディ」再演、上村聡史×麻実れいら初演スタッフ&キャストが再集結 - ステージナタリー https://t.co/Uzj8zb1o4c