イキウメの
民俗学者・柳田国男が、岩手県遠野地方に語り継がれてきた伝承を書き記した「遠野物語」。そこから想を得た本作では、「奇ッ怪」シリーズ過去2作のテーマ「語ること」「聞くこと」に加えて、「なぜ物語は生まれたのか」という視点から作品が立ち上げられた。
舞台は、過去か未来かも不明な、現実から少しずれた架空の日本。社会の合理化を目指す「標準化政策」により、方言は否定され、物事は真実と迷信に分けられて、迷信は排除される世の中になっていた。そんな中、
本作は、その散文集を読み進めていく形で展開する。ヤナギタが、
現実と妖の境界線で揺れ惑うヤナギタ役を時にコミカルに、時にシリアスに演じる仲村をはじめ、生き生きとした東北弁で物語の深部へと誘う瀬戸、愛嬌を交えてササキの祖母ノヨを演じる
プレビューを終えた前川は「良いプレビュー初日でした。お客様が入って固まったという感じがします」と実感を語り、「柳田国男は自分の伝えたいことをストレートに語らなかった人。僕たちはトオルさん演じるヤナギタを通して、彼のメッセージを語っていきたいと思っています」と意気込みを述べた。仲村は「今作は特に『伝わっているのか』『今の自分はきちんと村人に見えているか』など、これほど教えていただかないと不安で仕方がない作品はありませんでした」と本番までの心境を明かしつつ、「お客様から『大丈夫』と、我々の背中を押してくださるような空気が伝わってきまして、安心しました」と語った。さらに瀬戸も「舞台に出るまではすごく緊張していたのに、いざ語り始めたらノってくるんです。自分の中にササキが入り込んできたように感じました」と、本日から始まる本公演に向けての意気込みを語った。
「奇ッ怪」シリーズは、前川が脚本・演出を務める、東京・世田谷パブリックシアターの人気企画。2009年に第1弾「奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話」、2011年に第2弾「現代能楽集『奇ッ怪 其ノ弐』」が上演された。本作「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」の東京公演は11月20日まで。その後、新潟、兵庫、岩手、宮城とツアーを行う。
前川知大 コメント
良いプレビュー初日でした。お客様が入って固まったという感じがします。とにかく劇場全体がすさまじい集中力に包まれていました。原作の「遠野物語」を知っている人には絶対に面白いでしょうし、知らない人にも届く、一演劇作品として面白い作品になったのではないでしょうか。柳田国男は自分の伝えたいことをストレートに語らなかった人。僕たちはトオルさん演じるヤナギタを通して、彼のメッセージを語っていきたいと思っています。
仲村トオル コメント
いつも初日を迎える度に感じることですが、お客様に教えていただくことはとても多く、大きいものです。今作は特に「伝わっているのか」「今の自分はきちんと村人に見えているか」など、これほど教えていただかないと不安で仕方がない作品はありませんでしたが、お客様から「大丈夫」と、我々の背中を押してくださるような空気が伝わってきまして、安心しました。
瀬戸康史 コメント
僕が演じるササキの台詞に「話している時は最高なんだ。気持ち良いんだ」というものがあるのですが、初日を終えてまさにそういった感じでした。舞台に出るまではすごく緊張していたのに、いざ語り始めたらノってくるんです。自分の中にササキが入り込んできたように感じました。僕は語り部としてヤナギタに語りかけると同時にお客様にも語りかけていて、ある意味お客様も出演者だと思って演じています。
「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」
2016年10月31日(月)~11月20日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター
2016年11月23日(水・祝)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
2016年11月26日(土)・27日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
2016年11月30日(水)
岩手県 岩手県民会館 大ホール
2016年12月3日(土)・4日(日)
宮城県 イズミティ21(仙台市泉文化創造センター) 小ホール
原作:柳田国男(「遠野物語」角川ソフィア文庫)
脚本・演出:
出演:
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