2017年1月から3月まで上演される、宝塚歌劇月組公演「ザ・ミュージカル『グランドホテル』」「モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン『カルーセル輪舞曲』」の制作発表会が、本日9月8日に都内で行われた。
制作発表会は、月組の新トップスターに就任する
「グランドホテル」は、1928年のドイツ・ベルリンを舞台に、高級ホテルを訪れた人々の人生模様を描くミュージカル。1989年にトミー・チューン演出・振付でブロードウェイにて初演され、トニー賞を5部門で受賞するなど高い評価を受けた作品だ。
公開されたのは、珠城演じるフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵と、愛希演じるバレリーナ、エリザヴェッタ・グルーシンスカヤの出会いの場面。珠城は相手を愛おしく思う気持ちを高らかに歌い上げ、愛希もその気持ちに応えるように伸びやかな歌声を響かせる。続いて登場したのは、ホテルに宿泊している会計士のオットー・クリンゲライン役の美弥。男爵と意気投合する様子を歌った軽やかなナンバーをリズミカルに披露し、パフォーマンスに華を添えた。
会見には珠城、愛希、美弥のほか、宝塚歌劇団理事長の小川友次、1993年の「グランドホテル」日本初演時に演出・振付を担当し、今回は特別監修を務めるトミー・チューン、さらに今回の「グランドホテル」で演出を務める岡田敬二、生田大和、「カルーセル輪舞曲」の演出を担当する
珠城はトップスターとして挨拶を述べるのが初めてということもあり、緊張の面持ち。だが月組メンバーの舞台に懸ける思いを受けて「先頭を走っていく上で、私自身が舞台に向かって誰よりもひたむきに努めていけたら。まだまだ自分も成長段階ですので、月組の皆さんと一緒に1歩1歩力強く歩んで参ります」と並々ならぬ決意を語る。
作品に対しては「お話を伺った際には非常に驚きましたし、自分に務まるのか不安もありました。でも『グランドホテル』の資料を拝見するうちに、また実際に譜面をいただいてこの制作発表会に向けてのお稽古を進めていくうちに、この作品に携われることがどれだけ幸せなことか、という思いが強くなっていきました」と率直な思いを口にする。
また珠城は、自身の初観劇が岡田の演出作だったエピソードも披露。宝塚音楽学校の受験を決意するきっかけになった岡田とは、これまで一緒に作品を作る機会が無かったが「お披露目のタイミングでご一緒できることに深いご縁を感じています」とひと言。人生の転機になったという言葉に岡田の顔も思わずほころぶ。
その岡田は、23年前にチューンと日本初演に臨んだエピソードを「この舞台は、トミーさん率いるブロードウェイのスタッフと宝塚のスタッフが、がっぷり四つに組んで作り上げた思い出の作品です。私たちにとって冒険でしたし、同時に大きなモニュメントになりました」と振り返り、「またこうしてトミーさんをお迎えして再演できることは本当に光栄なことです」と笑顔を見せた。
岡田の言葉を受けて、チューンも日本初演時を回顧。「特に音楽を担当したスタッフは大変だったと思います。スコア(譜面)を女性のキーに合わせなければなりませんでしたし、涼風さんのオットーが、他のキャストよりも際立つように新たな楽曲も作りましたので」と当時のエピソードを披露した。また今回は主役がオットーから男爵に変わることについて、作品の色合いがどのように変わると思っているか?と問われると、茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべて「教えてあげません!」と回答。「これからその作業をしていくとご理解ください。若い先生とご一緒できることを楽しみにしています」と生田に華を持たせる。
1993年の日本初演時、生田は中学1年生。「歌劇団の舞台を観るようになったのが中2ですので、すれ違いですね。もう1年早くミュージカルに目覚めるのが早ければ……」と悔しがってみせ、記者たちの笑いを誘う。「作品にとって私は“新参者”ですが、資料にあたるうちに作品の持つスピリット、哲学的な部分と美しい演出に魅了されました。ただ単に形を整えていくだけでなく、そんなスピリットを探求していきたいと思います」と意気込んだ。
一方、稲葉はその初演を東京で観ていた。「グランドホテル」を大好きな作品の1つに挙げ、「トミーさんがいらっしゃるとお聞きして、『そちらの作品の助手でいいです』と申し上げたいような気持ちになりました」と話すと、会見場は笑いに包まれる。自身が演出する「カルーセル輪舞曲」については「新しい月組の魅力を生かすことが私に与えられた一番の使命ではないかと思っております」と隣に着席している珠城、愛希を見ながら決意を述べた。
愛希は今回披露した「カルーセル輪舞曲」のパフォーマンスを振り返り、「稲葉先生から構成をお聞きして、すごくワクワクしております。お正月、1年の幕開け、新しい月組のスタートにとてもふさわしい作品になるのではと今から楽しみにしております」と期待を述べる。また「グランドホテル」で自身が扮する役どころについては「生きることに希望を失い、踊ることへの情熱も失っている彼女が、男爵に出会って、愛すること、愛されることの喜びを知り、同時に踊りへの思いも取り戻していく。その点を私なりにしっかり演じて参りたいと思います」と述懐した。
美弥は、涼風演じたオットーに憧れ、宝塚音楽学校の受験を決意したエピソードを披露。「生まれて初めて劇場に出向いたのもこの作品でした。それを今、所属する月組で再演することができ、しかも私がオットー役。この奇跡に感謝しながら、自分なりに役を深め、魂を込めて大切に演じたいと思います」と意気込む。また「この作品で珠城りょうちゃんと、ちゃぴ(愛希)のコンビが大劇場でお披露目されます。私自身も存分に力添えできたら」と組の新たな門出を祝った。
宝塚歌劇月組公演「ザ・ミュージカル『グランドホテル』」「モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン『カルーセル輪舞曲』」は、2017年1月1日から30日まで兵庫・宝塚大劇場、2月21日から3月26日まで東京・東京宝塚劇場にて上演される。
宝塚歌劇月組「ザ・ミュージカル『グランドホテル』」「モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン『カルーセル輪舞曲』」
2017年1月1日(日)~1月30日(月)
兵庫県 宝塚大劇場
2017年2月21日(火)~3月26日(日)
東京都 東京宝塚劇場
「ザ・ミュージカル『グランドホテル』」
脚本:ルーサー・ディヴィス
作曲・作詞:ロバート・ライト、ジョージ・フォレスト
オリジナル演出・振付・特別監修:トミー・チューン
演出:岡田敬二、生田大和
翻訳:小田島雄志
「モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン『カルーセル輪舞曲』」
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