「十月花形歌舞伎『GOEMON 石川五右衛門』」の記者会見が、本日8月30日に都内にて行われ、出演者の
「GOEMON」は、稀代の大泥棒・石川五右衛門が実はスペインの宣教師の血を引くハーフという奇想天外な設定と、劇中にて披露されるフラメンコで注目を集めた水口による新作歌舞伎。2011年に徳島・大塚国際美術館で行われた「システィーナ歌舞伎」で初演されたのち、2013年と2014年に大阪・大阪松竹座で上演された。今回は2014年の公演に引き続き、石川五右衛門役を愛之助、五右衛門の父・カルデロン役を今井翼が務め、新たに登場する霧隠才蔵役を今井が兼任する。
主演の愛之助は、「本作は正直言うと“未完成”でございます。アンフィニッシュですね。『このあとはどうなるんだろう』と、お客さんの想像をかき立てる部分をあえて残すというのは、芸術において大切なことだと僕は思います」と分析。またカルデロン役と才蔵役の2役を演じる今井について、「せっかく出ていただくなら2役やってほしいという思いがあって。2014年の公演では叶いませんでしたが、『もう1度上演するときは2役やってよね』と打診していたんです」と共演の喜びを語った。
五右衛門が赤毛という特殊な設定について、脚本・演出の水口は「五右衛門の師匠にあたる人物が赤毛だった、という江戸時代の随筆からヒントを得た」と明かしたのち、劇中で披露されるフラメンコにも言及。「40年ほど前に、渋谷のジァン・ジァンという小劇場で、歌舞伎とフラメンコを融合させたものをやろうと思い立ったが、そのときは出来なかった。長い時を経て実現できたことをうれしく思います」とコメント。また今作で新たに加わるシーンについて、「前回は成人した五右衛門と、父・カルデロンとが顔を合わせる場面がなかったが、今回はありますよ」と笑顔で回答し、観客の期待を煽った。
座頭としての意気込みを記者から問われた愛之助は、「座頭という立場については、あまり意識していないです。主役、脇役に関わらず、いただいた役への愛情は変わりませんから」と真摯に答え、「それぞれの役者が自分の役を思いきり膨らませられるような、余裕のあるムードを作るのが座頭の仕事かなと、個人的には思っています」と穏やかな表情で述べた。
さらに愛之助は、これまでの上演を通して感じたフラメンコと歌舞伎の共通点について、「初めは対極のものだと思っていたんですが、出雲阿国の念仏踊りから派生した歌舞伎と、“魂の叫び”で自分たちの喜怒哀楽を表すフラメンコとは、いろいろ学んでいくうちに共通していることがわかって。既存の考えにとらわれず、流行を取り入れながら人々を楽しませる、“歌舞伎の精神”を大切にしながら、“魂の叫び”をフラメンコで表現したいです」と熱弁。また「フラメンコは頭の位置を動かさないというのが基本。これは日本舞踊にも共通していることです。しかし実際にやってみたら、そんな簡単なものじゃございませんでした(笑)。フラメンコは本当に深くて、難しくって……」と苦労を語りつつ、「今回はよりパワーアップした踊りをお見せできると思います」と自信たっぷりに語った。公演は10月3日から27日まで東京・新橋演舞場にて行われる。
※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
「十月花形歌舞伎『GOEMON 石川五右衛門』」
2016年10月3日(月)~27日(木)
東京都 新橋演舞場
作・演出:水口一夫
出演
石川五右衛門:
神父カルデロン / 霧隠才蔵:今井翼
出雲の阿国:
加藤虎之助:
小早川隆景:中村寿治郎
石田局 / 名古屋山三:
豊臣秀吉:
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六条亭 @rokujoutei
製作発表記者会見で。「GOEMON」はアンフィニッシュと。
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