「八月納涼歌舞伎」襲名目前に控えた中村橋之助が熱演「これも何かのご縁」

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明日8月9日から東京・歌舞伎座にて上演される「八月納涼歌舞伎」。初日に先がけ、本日8月8日に公開舞台稽古と囲み取材が行われた。

「八月納涼歌舞伎」囲み取材の様子。上段左から中村七之助、中村獅童、市川染五郎、市川猿之助、中村勘九郎。下段左から坂東彌十郎、中村扇雀、中村橋之助。

「八月納涼歌舞伎」囲み取材の様子。上段左から中村七之助、中村獅童、市川染五郎、市川猿之助、中村勘九郎。下段左から坂東彌十郎、中村扇雀、中村橋之助。

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公開されたのは、第三部で上演される「廓噺山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)」と「土蜘(つちぐも)」。「廓噺山名屋浦里」は、2015年1月に笑福亭鶴瓶が口演した新作落語「山名屋浦里」を原作としており、このたび中村勘九郎の強い希望により歌舞伎化が実現した。

「廓噺山名屋浦里」は、中村七之助演じる吉原一の花魁・浦里と、勘九郎演じる堅実な田舎侍・酒井宗十郎を中心とした人情劇。2人が出会い、初めて視線を交わすシーンや、気高い浦里がお国訛りで吉原での苦労を語る場面が見どころとなっているほか、吉原の街を彩る赤提灯や打ち上げ花火によって、江戸の宵が効果的に表現されている。また原作を担当した鶴瓶の長男・駿河太郎が出演。遊廓に勤める上方出身の使用人役を好演した。

「土蜘」では、中村橋之助演じる土蜘の精と、七之助演じる源頼光や中村獅童演じる平井左衛門尉保昌の戦いが描かれる。物語の前半で橋之助が披露する舞の力強さもさることながら、後半に控える中村国生、中村宗生、中村宜生、中村鶴松演じる四天王との立廻りも迫力満点。また勘九郎の次男・波野哲之が見せる、父・勘九郎とのかけ合いにも注目しよう。

なお、舞台稽古前に行われた囲み取材には、中村扇雀、中村橋之助、坂東彌十郎、市川染五郎、市川猿之助、中村獅童、中村勘九郎、中村七之助が登壇した。橋之助は「八月納涼歌舞伎」を立ち上げた中村勘三郎と坂東三津五郎に思いを寄せ、「これだけの間、『八月納涼歌舞伎』が続いているということを2人とも(天国で)喜んでいるのではないでしょうか」とコメント。また自身が中村芝翫を襲名するにあたって「この公演を最後に橋之助の名が終わるというのも何かのご縁だなと思います」と感慨深い様子で語った。

初めて歌舞伎の舞台に立つ次男・哲之について勘九郎は、「哲之は不思議な男で……舞台に立つことに対して全く緊張しないんですよね。私も哲之のような太い心を持ちたいものです(笑)。それと共演者の猿之助さんに迷惑をかけないか心配」と父の顔を覗かせ、猿之助に視線を送る。それに対し猿之助は、「そりゃまだ3歳ですからね。未来の歌舞伎界を支える存在になってほしいけれど、とにかく今は舞台が楽しいということを知ってほしい」と笑顔で答えた。

また「廓噺山名屋浦里」の原作を務めた鶴瓶が、先日稽古場で「山名屋浦里」を一席演じたことも明らかに。これを受けて勘九郎は、「改めて作品の方向性が見えました。歌舞伎版でも落語のテンポ感を大切にしていきたい」と抱負を述べ、七之助は「落語好きの方に『歌舞伎になって面白くなくなっちゃった』と思われないようにがんばります」と続けた。

「土蜘」で屈強な平井役を演じた獅童は「八月納涼歌舞伎」について、「古典あり、新作ありで多くの人に楽しんでもらえると思います」と観客にメッセージを送り、染五郎も「唯一『大歌舞伎』と付かない公演です。いつもと違う歌舞伎座にぜひお越しください」とにこやかに回答。また取材に応じる面々を終始温かい眼差しで見守っていた扇雀は、「今年は毎年のメンバーに加えて猿之助さんにも出ていただいていますし、いつも以上に内容が盛りだくさん。初めて歌舞伎を観る人が楽しめる作品になっていると思います」とアピールし、彌十郎も「納涼ということで、劇場の中は冷房が効いておりますが(笑)、舞台は一層熱いものになっていますよ」と自信を見せた。

最後に橋之助が「『納涼歌舞伎』だけではなく、これからもこのメンバーで他の興行も引っ張っていけたら。古典を大事にすることももちろん大切だけれど、今後の歌舞伎界を見据えたお仕事をしていきたいですね」と意気込み、取材を締めくくった。公演は8月28日まで。

※記事初出時、キャプションと本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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「八月納涼歌舞伎」

2016年8月9日(火)~28日(日)
東京都 歌舞伎座

第一部:「嫗山姥」「権三と助十」
第二部:「東海道中膝栗毛」「艶紅曙接拙」
第三部:「土蜘」「廓噺山名屋浦里」

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(c)松竹株式会社

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