ミュージカル「
1956年にニューヨークで初演されたミュージカルが人気を博し、1964年にオードリー・ヘプバーン主演で映画化された「マイ・フェア・レディ」は、ロンドンの下町に住む花売り娘のイライザが、言語学者であるヒギンズ教授のレッスンで見違えるように麗しい貴婦人に変貌する物語。日本での1963年のミュージカル初演から50周年を記念した2013年版では、
ゲネプロの前に行われた囲み取材には、イライザ役の霧矢、真飛のほか、ヒギンズ役の寺脇、ヒギンズと行動をともにするピッカリング大佐役の
霧矢は「演出のG2さんが丁寧に稽古を重ねてくださいましたので、いろんな発見や気づきがまだまだあります。奥の深い作品だと改めて感じていますね」と、手ごたえを語る。真飛は「同じセリフや感情なのに、3年前には気がつかなかった発見を日々しています。当時ご覧になったお客様にもきっと楽しんでいただけると思います」と自信を覗かせた。
寺脇は本作の魅力について「深く掘り下げられた人間ドラマ」であると強調。「登場人物の心情が深く掘り下げられると芝居は盛り上がります。前回は新演出版ということで“リボーン版”と謳われていましたが、今回の魅力は人間ドラマ。生まれ変わった“リ・リボーン版”をお届けしたい」と語る。
田山はひたすら稽古の楽しさを力説。「3年前、私は初めてに近いミュージカル出演でしたので精一杯で。稽古場や舞台袖から皆さんの歌や踊りを眺めているのが楽しい時間でした!」と宣言すると、霧矢が「田山さん、今回は(見ているだけではなく)ご自身のダンスシーンもありますよね?」と指摘。すると照れたように「そうなんですよ! その稽古も楽しくてねえ、もう!」と帽子を取りながら話した。
松尾は「(これまでは)翻訳が直訳になってしまっていて、訛りの発音を正すための歌がうまく機能していなかったところを、前回公演の段階で工夫を重ねて、発音や意味合いがすべてピタッとはまるように作品が生まれ変わったんです」と紹介。続けて「これは大人のおとぎ話。笑いながら、音楽を楽しみながら、美しいものを見ながら盛り上がれる、セラピーのような作品です」と本作の魅力を述べる。
ミュージカル初出演となる高橋は、歌と踊りのシーンがないにもかかわらず、自宅で劇中のナンバーを口ずさんでしまうエピソードを披露。「稽古場で皆さんの歌と踊りに日々触れて、『マイ・フェア・レディ』の世界が体に染み込んでいきました」と語り、今後のミュージカル挑戦について問われると「内容にもよりますが、ぜひ」と笑顔を見せていた。
寺脇は、霧矢と真飛について「好対照な2人で、まったく違う魅力を持っています」とひと言。「同じ役でも、演じる人が変わるだけでこんなにも違った印象になるんですね。彼女たちに引っ張られるように、我々も感情の動きやセリフの言い方が変わってくるんです」と新鮮味を感じている様子を見せた。
そして、話題は寺脇が霧矢と真飛に投げかけるアドリブへ。霧矢は「対応にいつもドキドキしちゃいます」と明かすと、真飛も「イライザは訛りがきつい役だから、本来ならアドリブにも訛って答えなきゃいけないはずなのに、つい素の自分が出てしまいスラスラ発音しちゃうんですよね」と返し、2人で「まだまだレッスンが足りませんね」と笑いながら顔を見合わせた。
囲み取材に続いて行われたゲネプロでは、霧矢がイライザを務めるバージョンが上演された。霧矢は粗野でがさつなロンドンの下町娘から凛とした淑女まで、イライザの成長を表情豊かに表現。寺脇は居丈高に接しながらもイライザに惹かれていくヒギンズの心の移ろいを、時に大きなアクションや踊り、時に繊細なセリフ回しや視線で造形する。会見でダンスシーンの楽しさを語っていた田山は軽やかなステップやターンを踏み、酒好きでいつも酔っ払っているドゥーリトル役の松尾は終始千鳥足で笑いを誘っていた。
貧民街で暮らすイライザが明日の豊かな生活を夢見て歌う「だったらいいな」、ヒギンズ教授の家で訛りを矯正するトレーニングを重ね、うまく喋ることができるようになったイライザの喜びを表した「じっとしていられない」など、アンサンブルキャストとともに披露されるイライザのナンバーも聞きどころの1つ。気品ある英国の邸宅や社交場のセット、出演者が身に着けるクラシカルで華やかな衣装にも注目したい。
東京芸術劇場 プレイハウスでの公演は8月7日まで。その後、13日と14日に愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて、20日から22日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールへと巡演する。
※動画は現在非公開です。
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」
2016年7月10日(日)~8月7日(日)
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス
2016年8月13日(土)・14日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2016年8月20日(土)~22日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
脚本・作詞:アラン・ジェイ・ラーナー
翻訳・訳詞・演出:G2
音楽:フレデリック・ロウ
振付:前田清実
キャスト
イライザ:
ヒギンズ教授:
ピッカリング大佐:
ドゥーリトル:
ピアス夫人:寿ひずる
フレディ:
アインスフォード・ヒル夫人:
ヒギンズの母:
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