明日6月4日、東京・シアタートラムにて、
「コペンハーゲン」は、1998年に英国ロイヤル・ナショナル・シアターにて初演。2000年にはブロードウェイに進出し、同年のトニー賞で最優秀作品賞を含む3冠を獲得した。ジャーナリスト出身の劇作家マイケル・フレインによる戯曲で、ナチス・ドイツの占領下にある1941年秋のデンマーク・コペンハーゲンを舞台に、核兵器の開発競争の渦中に実在した2人の物理学者が久々に再会したある日を描く。
ドイツの物理学者ハイゼンベルク(
階段を配した奥行きある舞台セットに響くのは、靴音と会話。3人は時に相手を糾弾し、時に自問自答を繰り返し、時にナレーターのように状況を説明しながら“謎の1日”の再現を試みる。役者の息遣いが間近に感じられる濃密な劇空間の中、緊張感ある会話は次第にヒートアップ。ドイツ陣営のハイゼンベルクは、ナチスの監視下にあるユダヤ系のボーアのもとをなぜわざわざ訪ねたのか。真相を見届けようと、客席も固唾を飲んでその行方を見守る。
明日の開幕を前に、演出を手がける小川絵梨子は「物理学の理論がそのまま人間関係に置き換えられていて、人間を見つめる見事なドラマが構築されています」と戯曲を分析。ハイゼンベルク役の段田安則は「物理の理論や学術用語がわからなくても、サスペンス的興味で楽しんでいただける物語」と作品の楽しみ方をレクチャーする。マルグレーテ役の宮沢りえは「耳慣れない言葉の盾をかき分けて、もっと本質を観察していきたい」と意気込む一方で、ボーア役の浅野和之は「物理学というと構えてしまいがちですが、要は学問を背景にした人間ドラマ。師弟の愛情や科学者の葛藤も浮かび上がる重層的な芝居です」と語り、作品の魅力をアピールした。
小川絵梨子コメント
スリリングで巧みな戯曲の構造に唸るばかりです。物理学の理論が、そのまま生身の人間関係に置き換えられていて、人間を見つめる見事なドラマが構築されています。役者さんも、それぞれが素敵で、客観性をもって物語を動かす段田さん、聡明で華があり感覚を共有できる宮沢さん、ボーアの温かさを体現する浅野さんと、3人と一緒に、連日新たな発見を重ねてきました。本当に楽しい稽古場でした。決して難しい話ではなく、身近な人間の物語として、皆さんにも楽しんでいただきたいですね。
段田安則コメント
語られるテーマは物理学ですが、この作品には、「謎解き」の魅力があふれています。すでに起こった歴史上の事実が、それぞれの視点から改めて語られることで、全く別のものに見えてくるという設定の面白さ。そして、「あの時、何があったのか」と繰り返し検証していく展開は、たとえ物理の理論や学術用語がわからなくても、サスペンス的興味で楽しんでいただける物語だと思います。まだまだ専門用語とは格闘中ですが、信頼のおける仲間たちとの結束力で充実した舞台をお届けしたいと思っています。
宮沢りえコメント
今までにない感覚の戯曲です。当初、物理学者の妻、というリアリティをもつのが難しかったのですが、冷静で自分の視点を自在に動かせる人物なので、表現の幅も広がり毎日がとても刺激的です。客観的で熱い小川さんの稽古では、色々なことが試せます。私も耳慣れない言葉の盾をかき分けて、もっと本質を観察していかないと…。物理学のオブラートを取ると学者同士の会話は人間らしいドラマです。そんな難しい言葉を押し上げている人間の業や孤独を皆さんに感じていただけたらと思っています。
浅野和之コメント
こんなに重圧を感じた役は久しぶりですが、役者として、とてもやりがいのある戯曲です。確かに物理学用語が多いので、稽古中は、台本を読み込んで掘り下げる作業と、台詞を自分の身体に落とし込む作業に追われていました。「物理学」というと構えてしまいがちですが、要は、学問を背景にした人間ドラマ。 師弟の愛情や科学者の葛藤も浮かび上がる重層的な芝居です。お客様には、「物理学?」と構えずに、3人の登場人物がぶつかり合う生のエネルギーを楽しんでいただきたいと思っています。
「コペンハーゲン」
2016年6月4日(土)~7月3日(日)
東京都 シアタートラム
作:マイケル・フレイン
翻訳:小田島恒志
演出:
キャスト
ハイゼンベルク:
マルグレーテ:
ボーア:
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