岸田國士戯曲賞、平田オリザ選評&タニノクロウ挨拶「格闘しながら作品を」

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第60回岸田國士戯曲賞の授賞式が、昨日5月9日に東京・日本出版クラブ会館にて行われた。

タニノクロウ

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第60回岸田國士戯曲賞の授賞式の様子。

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式典には賞を主催する白水社の社長・及川直志、受賞者のタニノクロウ、選考委員の岩松了平田オリザが登壇。平田は「今回は満場一致で自信を持って、選考委員がタニノさんを第60回岸田國士戯曲賞に選出いたしました。これだけの満場一致というのは非常に珍しいことで、私たちとしても誇りを持って今回賞をお届けできたことを、うれしく思います」と挨拶する。

タニノクロウ

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続けて「私自身『タニノさん1本でいいだろう』と思いながら選考会に望みました。多くの選考委員の方がそう考えていたと思います。タニノさんのこの作品については、皆さん絶賛の言葉だけでした」と選考経過について述べる平田。他の候補者の作品については「三浦(直之)さん、山本(健介)さん、柳沼(昭徳)さんの作品は、それぞれ見るべきところ、感心するところがあり、各審査員で盛んに議論がなされました」と明かす。「ただ受賞までは、多くの足りない部分があったのではないかと思います」とコメントした。

平田オリザ

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同時受賞の候補に挙がった、神里雄大の作品については、「決まりがあるわけではないんですが、同時受賞は『拮抗した場合』ということが、審査員の中では受け継がれた認識だと伺っています。拮抗はしていないだろう、と私は感じました」と評価し、タニノに「私は鴻上(尚史)さんと同時受賞だったものですから、各新聞社は『鴻上尚史氏“ら”受賞』と。私は“ら”でしたので、本当に単独受賞でよかったと思います」と自身のエピソードを語り、会場の笑いを誘った。

タニノクロウ

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さらに「今年から初めて審査員を務めました。今の審査員6人の中で、私だけが(岸田賞)落選の経験があって、他の方たちは1回で獲ってるんですね。なので他の方たちに『もっと落ちた人の悔しさをちゃんと知ってください』と申し上げたんですけれども……」と心情を明かし、「今回選に漏れた作家たちは、岸田賞だけは正面からぶつかっていってほしいと願っています。岸田國士戯曲賞は劇作家が選ぶ戯曲賞です。なにより私たちがタニノさんの作品に感動したのは、エネルギーです。この作品を書くまでに彼がどれだけ悩み、この作品を書き上げたかという苦しみは、僭越な言い方になりますけれども、私たち劇作家にしかわからないと思っています。その結果としてこの受賞があるので、若い劇作家の方たちもぜひ正面から戯曲というものにぶつかっていただきたい」と結んだ。

「ダークマスター」出演者とのエピソードを披露するタニノクロウ。

「ダークマスター」出演者とのエピソードを披露するタニノクロウ。[拡大]

続くタニノは、「僕、自宅を改装したりして作品を作っていたものですから、かなりアンダーグラウンドなイメージがあってですね、賞とは無縁だと思ってここまできたので、とても驚いていますし、とてもラッキーだったなと思います」と喜びを語りながらも、「受賞が決まって、丸まる2カ月以上経つので、当時の記憶を再起動しないと喜びを表現しづらくなっていて……」と率直な気持ちを語り、「今大阪で作品を作っていまして、その話していいですか?」と、現在大阪で庭劇団ペニノが上演中の「ダークマスター」について、出演者たちとの和気藹々とした稽古場エピソードを披露した。

タニノクロウ

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「作品を作っていると、捏造してでも『今一番面白いのは最新作だ』って思わなかったら、ちょっと死んじゃうところがあって、そうやって生きていってるものですから、半ば捏造して、今大阪でやってるのが一番面白いって言いたいんですけど」と冗談交じりに語りながらも、「皆さんのおかげでこういう生活を続けられていることが、すごくうれしくて、ありがたい」と関係者へ感謝を述べ、「俳優さんたちと格闘しながら作品を作っていく生活が、これからもできたらなと思っています」と挨拶した。

岩松了

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乾杯の音頭を取った岩松は「僭越な言い方になるんですが」と前置きしながら、「僕自身この歳まで演劇を続けてくると、若いうちと違って、演劇がどういう流れになっていくんだろうということにすごく気を配るようになるんですね。そういう中でタニノさんが走ってらっしゃる独自の道っていうのは、演劇の中で絶対見過ごしてはならないフィールドであり、道筋ではないかな思うんです。タニノさんは自分の信じる道を突っ走っていってくだされば。演劇の流れの中で『こういう演劇がある』っていう形を示してくださると思うんで、今後も演劇と格闘していっていただきたいなと切に願ってます」と賛辞を送った。

マメ山田によるマジックショーの様子。

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その後はセゾン文化財団の久野敦子、劇団唐組の久保井研、鉄割アルバトロスケットの戌井昭人、静岡県舞台芸術センターの宮城聰から祝辞が。そして恒例のパフォーマンスタイムには、切り絵師・チャンキー松本による切り絵ショーと、マメ山田によるマジックショーが行われ、授賞式は締めくくられた。

なおタニノの受賞作「地獄谷温泉 無明ノ宿」は、白水社より現在販売中。本編のほか、特別付録として舞台美術をスケッチした資料が収められている。価格は2160円。

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読者の反応

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二村ヒトシ(AV監督) @nimurahitoshi

こういう人 https://t.co/OUlawIxyA7 とか、あるいは逮捕されて「道路になりたかった」と言った人とかが、変態です。つまらない芸術をやってる人はみんな庭劇団ペニノを観たほうがいい。

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