俳優の
2010年に初演、2015年に再演され、今回で3度目の上演となる「父との夏」。時は昭和20年、「愛する国を守るため」青森行きの列車に乗った2人の少年を軸に描いた物語だ。脚本・演出を手がけるのは劇団ショーマ主宰・劇作・演出家の高橋いさを。高橋は「本作は、舞台ならではの趣向で描かれていると思う」と言い、「舞台でしか味わえない魅力がある作品である」と語っている。
高橋いさをコメント
「父との夏」の初演は2010年である。当時、この芝居を見てくれたとある映画監督が、本作をテレビ・ドラマにしたいと申し出てくれて、数回、打ち合わせをしたことがある。話はいつの間にか立ち消えて、その企画は実現しなかったが、その大きな理由は本作が「映像化を拒む」性質を持っているからだと思う。その性質をここで説明することは控えるが、確かに本作は、舞台ならではの趣向で描かれていると思う。
ところで、アルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」は、わたしにとっては「究極の映画」の一つで、なぜそう思うかと言うと、わたしが考える限り、絶対に舞台化できない手法を駆使して成り立っているからである。近隣住民の生活を骨折したカメラマンが覗き見る姿に、映画館でスクリーンを覗き見る観客の姿を重ねている点に「裏窓」の独創性があり、それは映画=視覚芸術の特性を最も効果的に扱った手法と内容を持っていると思う。
「裏窓」と引き比べるのもおこがましいが、「父との夏」は、舞台でしか味わえない魅力がある作品である。その「映像化を拒む」本作の魅力が何なのかを是非、劇場に足を運んで確かめていただきたいと思っている。
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