2012年上演の第1弾「恋と音楽」ではミュージカル作家、2014年上演の第2弾「恋と音楽II~僕と彼女はマネージャー~」ではマネージャー役を演じた稲垣吾郎が、今回は人気絶頂のミュージカルスター役で出演する。
劇場に足を踏み入れると、本シリーズの音楽担当・佐山雅弘率いるジャズバンドが、開演前からムーディなモダンジャズを生演奏中。舞台には「Good Time Theater」という大きな文字と、たくさんの時計が掲げられた楽屋のようなセットが建っている。フリーハンドで描いた画をそのまま立体にしたような温かみのある舞台美術に、開演前から高揚させられる。
やがてバンドの演奏が一気に盛り上がりを見せ、開演。Good Time Theater管理人で、公演スタッフ役の佐野哲平(
しかし物語は、華やかな舞台上ではなく、楽屋をメインに展開する。表向きは犬猿の仲で通っている修司と麗子は実は恋仲で、共演中のミュージカル「歌うハムレット」は、地方のひなびた劇場、Good Time Theaterでこの日千秋楽を迎える。終演後、修司は麗子にプロポーズしようと、密かに指輪を用意していた。ところが2人がある時計に触れてしまったことで思いがけない出来事が起きる。なんと30年後の修司(
自信過剰でキザなセリフもさらっと言えてしまう修司役を、稲垣は二枚目と三枚目の魅力を使い分け、愛嬌あるキャラクターとして表現。30年後の自分が告げる“未来”に何度も「オーマイガッ!」と絶叫しながら、それでも違う可能性を信じようとする姿がいじらしくも微笑ましい。一方、そんな修司に恋する麗子役を、時に柔らかな笑顔で、時に鋭い言葉で真飛は見つめ続ける。「恋と音楽」シリーズの第1弾出演時は、宝塚歌劇団退団直後で、まだ男役のキリッとした魅力を残していた真飛だが、今作では非常に愛くるしいキュートな一面を見せた。
さらに、互いに睨み合いつつも息の合ったコミカルな演技で魅せる小倉と北村、狂言回し的な役も兼ね物語を軽快に進行させる福本、実は修司と麗子の娘でキラキラした魅力を放つルナ役の
修司と麗子はどんな未来を選択するのか、鈴木聡の脚本らしく、最後まで結末は読めない。終演後、ダブルのカーテンコールを経ても鳴り止まない拍手に応えて、稲垣がもう一度舞台に登場した。「毎日舞台でこの作品に出演できる喜びを、今噛みしめています。またお会いしましょう!」そう言って稲垣は笑顔で手を振った。公演は3月8日まで。
※記事初出時、本文に一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
「恋と音楽 FINAL~時間劇場の奇跡~」
2016年2月13日 (土)~3月8日(火)
東京都 PARCO劇場
作・演出:
音楽:佐山雅弘
出演:
演奏:佐山雅弘、高橋香織、バカボン鈴木、三好“3吉”功郎、仙波清彦
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