次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。
40番目に登場するのは、作・演出の
オレンヂスタ
Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。
2009年の劇団旗揚げより前、2007年に名古屋大学劇団新生内のユニット公演として上演する際から名乗り始めた劇団名で、作演出のニノキノコスターの当時の個人サイトからもらいました。元のサイト名の由来は、当時好きだった色の「オレンジ(11画)」+「スタ(5画)」で画数が最大吉(16画)になる組み合わせで決めたそうです。なんで「ジ」じゃなくて「ヂ」なのかは、今となってはもうわかりません。エンブレム風のロゴもその頃から使い続けています。
そんな劇団員も誰も知らないような由来ですが、“オレンヂスタ”は自分達が今好きな、面白いと思うことを表現できる場として、愛着を持てている名前です。
Q. 劇団の一番の特徴は?
名古屋を拠点に、ニノキノコスターの作・演出作品を1年半から2年に1回のペースで本公演を上演しています。現代の社会問題を反映した脚本と、身体表現やオブジェクトパフォーマンス・人形遣いなどを取り入れた抽象的な演出表現が特徴です。凄惨な集団殺人事件の現場を野菜や果物を用いて表現したり、悪夢のような記憶の言外を大量の段ボールやピンと張り詰めたロープ、アンサンブルの身体で表現したりします。
劇団の作風はコレ、と決めてしまうよりは、ニノキノコスターはじめ劇団員が日々の中で培ったものをもとに、今自分達が面白いと思うものを持ち寄り、全力で試してみる場でありたいと思っています。「次は何をやってくれるのか」と思ってもらえるような劇団であれたらうれしいです。
Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。
次回本公演「街窩の燈火」は、2月に拠点の愛知公演、3月には昨年ニノキノコスターが受賞した若手演出家コンクール受賞記念公演として、劇団で初めて東京で本公演を行います。本公演でのツアー自体、2014年の愛知・大阪公演以来約10年ぶりとなります。この10年で手に入れた武器を全装備して乗り込みます。
誰もが清々しくなるようなお芝居ではありませんが、絶望の中にいる人が、ささやかでも希望を信じられるような作品をお届けできたらと思います。目標はイギリス公演です!
プロフィール
2009年に名古屋大学劇団新生出身のニノキノコスターと佐和ぐりこにより設立。2018年、愛知人形劇センター「P新人賞2017」にてP新人賞・観客賞をW受賞。 2023年、日本演出者協会「若手演出家コンクール2022」にてニノキノコスターが最優秀賞を受賞した。
オレンヂスタ@『街窩の燈火』愛知2/10-18 東京3/9-10 @orangesta_now
ステージナタリー様のコラムに取り上げていただきました!
キャッチコピーが出オチ感ありますが、ぜひご一読ください✨ https://t.co/zFSgpouIiB