次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。
38番目に登場するのは、
ひなた旅行舎
Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。
ひなた旅行舎の
ひなた旅行舎は、私がFUKAIPRODUCE羽衣の
というのは、ひなた旅行舎のwebサイトにも載せてることなんですが……
永山さんは宮崎県を拠点にずっと活動されていて、日高さんは宮崎県出身で今はお住まいも宮崎に移っていて、私は福岡県出身…ということもあり、どこか九州、宮崎の雰囲気を名前にも取り入れたかったところが個人的にありました。それぞれの頭文字を合わせたら「ひなた」というなんとも宮崎県味のある言葉になって、それを永山さんに相談したら、「じゃあ“旅行舎”をつけましょう」とご提案いただいて決めました。「舎」というところも気に入っています。それぞれの主に活動する場所が別であって、ひなた旅行舎は仮の宿というか……ふっと集まれる場所、というような心地よさがここに現れている気がします。
Q. 劇団の一番の特徴は?
メンバー中2人が宮崎県在住なこともあり基本的に稽古は宮崎なので、やっぱりどこかその土地の匂いがあるところでしょうか。これはどうしても香ってしまうものと思っています。
また、3人がやりたい!と興味があることをやる、わりと直感的に決めて進めていけるのもこの3人ならではかなと思います。今上演を控えている「ひなた、日本語をうたう vol.1」も私が歌うことが好きで、音楽や生演奏がとても好きなので「いつかひなた旅行舎でライブをしたいんです!」とお伝えして、いろいろお二人から“やりたい”のご提案をいただいた形で企画がスタートしました。よく節々で他愛無い話をしたりもするので、3人それぞれのホットなものが作品のエンジンになっているところが特徴かと思います。
Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。
もうまもなく「ひなた、日本語をうたう vol.1」の上演が始まります!
前作「蝶のやうな私の郷愁」では1本の戯曲を抽象舞台で上演しましたが、今回は音楽ライブの形式で、演劇と歌の上演を行います。要はマイクスタンドが3本、そしてベースとギター……そんなスタイルで、カバー曲やオリジナル曲、そして短編の演劇作品を3作上演します。ジャズでは、その場の組み合わせに触発されながら即興で演奏を楽しむという「セッション」がありますが、演劇は決まったセリフで行うまさにセッションだとも思います。同じセリフでも、相手とのやりとりは毎回触発されながら発しなければいけません……その演劇のセッション性を、今回はジャズを学んだのちご活躍されているベーシスト坂元陽太さんをお迎えすることで、より、演劇の根本にも迫るような……感覚で私達はこの作品を創作しました。
意外にも、このスタイルがひなた旅行舎には合っているのでは……?と今は思っているほど、私達3人の魅力が詰まった作品でもあり、音楽と言葉を届けることができる作品だと思っています。ぜひ、ご観劇いただけるとうれしいです。
プロフィール
俳優の多田香織を中心に、FUKAIPRODUCE羽衣の日高啓介と劇団こふく劇場の永山智行によって結成された演劇ユニット。2020年に始動し第1回公演は松田正隆作「蝶のやうな私の郷愁」、第2回公演は「ひなた、日本語をうたう vol.1」を上演した。
※日高啓介の「高」ははしご高が正式表記。
多田香織 @kaori_tada
こちら!に私文章書かせていただきました…!
「ひなた、日本語をうたう」の見どころも伝わったらいいな…
私なりに、作品通したラブレターばりにがんばって言葉にしましたので、ぜひ読んでもらえるとうれしいです。
ぜひとも!! https://t.co/XQwkXvqFU9