PUYEY(撮影:冨永秀和)

由来を教えて!劇団名50 その30 [バックナンバー]

PUYEY

演劇の風が吹くところ、どこへでも

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次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。

30番目に登場するのは、福岡を拠点に活動するPUYEY。劇作家・演出家・俳優の高野桂子が代表を、俳優・パフォーマー・ダンサー・音楽家の五島真澄が副代表を務める“演劇的パフォーマンスユニット”である彼らは、セリフに頼らない見せ方や体験型演劇など表現の幅を広げるようなクリエーションを続けている。11月には、「劇トツ×20分」優勝記念公演で上演した人気作「おんたろうズ」を宮崎県三股町、大分県日田市でも上演するなどさらに活躍の場を広げる彼らに、一度聞いたら忘れ難い団体名の由来を教えてもらった。

PUYEY(プイエイ)

Q. 劇団名の由来、劇団名に込めた思いを教えてください。

“PUYEY”の語源はタイ語で“わたげ”という意味の“PUY”に、エイ!と勢いをつけるため“EY”をつけた造語であり、「たんぽぽのわたげのように風に乗って各地へ飛んでいき、落ちたところで花を咲かせたい」という願いを込めた名前です。

2016年の結成当初、フットワーク軽くいろいろな地域に作品を届けたいと思っていたので団体名を“わたげ”にしようと思っていたら、偶然同じ時期に福岡で“劇団わたげ”という団体が旗揚げしていたので却下しました。

別の候補をあれこれ出しているうちに、ちょうどこの時期行きたいと思っていた国がタイ。“わたげ”ってタイ語でなんだろう?と調べると出てきたPUYの響きに惹かれ、そこにエイ!やイェーイ!という掛け声のようなニュアンスのEYをくっつけ“PUYEY(ぷいえい)”となりました。

Q. 劇団の一番の特徴は?

つい見過ごしてしまいがちな社会の矛盾や不公平を、物語という形式で顕在化させることを目指し創作しています。やさしい言葉と聴覚、視覚的な表現を多用することで、観劇経験の有無や年齢に関わらず“観たらちょっぴり生きやすくなる作品”を届けたいと思っています。

Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。

これまで出会った人たちにまた会いに行きたいし、新たな場所へも漕ぎ出していきたいです! 海外のフェスティバル参加なども考えています。

そして、これはまだ夢の段階ですが、いつか福岡に劇場を作りたいです。

九州は、宮崎県の三股町で行われているみまた演劇フェスティバル「まちドラ!」や、北九州芸術劇場で行われてきた短編演劇バトル「劇トツ×20分」など、県域を超えて演劇人同士の交流をする機会や、作品発表の場があります。

我々もこうした交流から多くの刺激や機会を得てきました。この流れを継承しつつ、次の世代にも交流や創作・発表の場を提供し、どんどん新たな才能が生まれるような環境を作りたいです。

それがPUYEYの成長や、持続的な活動につながると考えています。

全国の皆さん、どこかでお会いできますように!

PUYEY「おんたろう」より。(撮影:ふじまつたえこ)

PUYEY「おんたろう」より。(撮影:ふじまつたえこ)

プロフィール

2016年に高野桂子と五島真澄によって結成された、福岡県福岡市を拠点にする“演劇的パフォーマンスユニット”。北九州芸術劇場主催短編演劇バトル「劇トツ!×20分」2022および2023チャンピオン大会にて優勝。11月に宮崎県三股町と大分県日田市で「おんたろうズ」を上演する。

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