左からAokid、武谷公雄、白神ももこ、木ノ下裕一。

ケイコレ〜稽古着ファッションをお届け〜 Vol.92 [バックナンバー]

白神ももこ・武谷公雄・Aokid・木ノ下裕一の野外OKなこだわりコーデ

小豆島の山と空を背景に

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アーティストたちはどんなファッションで稽古に臨んでいるのか? ステージナタリーが送る演劇人の稽古着コレクション、略して「ケイコレ」では、普段あまり見られない彼らの稽古場での姿をご紹介。稽古中のアーティストに稽古着姿を披露してもらい、ファッショニスタな共演者、いつか手にしたい稽古アイテム、公演の見どころなどを教えてもらう。

第92回には、香川・小豆島で稽古中の木ノ下歌舞伎「竜宮鱗屑譚(せとうちうろくずものがたり)~GYOTS~」より、演出・振付を手がける白神ももこ、出演者のAokid武谷公雄、そして主宰の木ノ下裕一が登場。「瀬戸内国際芸術祭2022」にラインナップされた本作は、国の重要有形民族文化財である肥土山農村歌舞伎舞台にて上演される。空と山と海を感じながら、野外での稽古に臨む彼らに小豆島に持参した“野外OK”な稽古着を披露してもらった。

白神ももこ

白神ももこの野外対策コーデ。「実用性重視」と言いつつカラフルでオシャレ!  確かに、日差しがものすごく強そうです。

白神ももこの野外対策コーデ。「実用性重視」と言いつつカラフルでオシャレ! 確かに、日差しがものすごく強そうです。

稽古着は大機能性重視で消耗品なのでガシガシ気負わず洗えるものであることを重視しています。今回は野外なので、まず足元から小さい虫が入りづらいピタっとしたジャージー、日に焼けるので帽子と長袖、だいたい野外演出はまぶしくて目が開けられないことが多いのでサングラスは必須アイテム。時間を見失うので腕時計をしています。そして出演も兼ねているのですぐに舞台に上がれるように、演出助手の鈴木美波さんが今回の演目に合わせてお誕生日にくれたお気に入りの魚サンダルを履いています!!

武谷公雄

木ノ下歌舞伎常連の武谷公雄は、すでに衣裳のような、空間にしっくりなじむ稽古着。

木ノ下歌舞伎常連の武谷公雄は、すでに衣裳のような、空間にしっくりなじむ稽古着。

情報が少なくて着やすくて丈夫なChampionは良く着ています。木ノ下歌舞伎さんだと和装と洋装が混ざる衣裳が多いので着なくなった襦袢をパンツにしたり。今回は瀬戸内がテーマなので少し海っぽいSOU・SOUの足袋を履いたりしています。

Aokid

一見するとシンプルな稽古着から、チラッとのぞくカラーソックス&真っ赤なシューズが素敵なAokid。

一見するとシンプルな稽古着から、チラッとのぞくカラーソックス&真っ赤なシューズが素敵なAokid。

普段動くとき、あまり長ズボンは履かないのですが野外稽古、木造の建物、虫に対応するために履いてきました! シャカシャカの軽い生地を選ぶことが多いです。

木ノ下裕一

「特にこだわりとて、ありませんが……」と言いつつ、さりげないこだわりが詰まった木ノ下裕一の稽古場スタイル。

「特にこだわりとて、ありませんが……」と言いつつ、さりげないこだわりが詰まった木ノ下裕一の稽古場スタイル。

特にこだわりとて、ありませんが、あまり悪目立ちしないように、藍や茶、鶯色など渋めの伝統色に、できるだけ無地のものを、と心がけています。この日着ているのは、半纏風のジャケットで、菊のような刺し子模様が気に入っています(勝手に“永六輔モデル”と名付けて喜んでいます)。稽古や講座などでは、作品やテーマに因んだブローチを着けるのを、ひそかな楽しみにしています。現在は瀬戸内がテーマですので、海や魚や小豆島に因んだものを数種類、日替わりで着けております。

木ノ下が小豆島に“同伴”したブローチコレクション。

木ノ下が小豆島に“同伴”したブローチコレクション。

「稽古着おしゃれだな!」と思う共演者は誰ですか?

Aokidさん→履いている靴下がいつもかわいいので注目しています。 / 玉川奈々福さん→日除けのための上着が目まで隠れるタイプのものを着ていらして、いつか私も着たいです。(白神)

皆さんジャンルが違うので個性的で素敵ですが、日本舞踊の泉秀樹さんは毎回上下グレーでシンプルでカッコいいです。毎日グレーなので、初めは洗ってないのかと思いました(笑)。(武谷)

武谷さんがはいているのが昔着ていた襦袢を縫い直したものらしく、動きやすそうでもあり涼しそうなグラフィックで素晴らしいなあと思いました。(Aokid)

稽古着1つでも、パフォーマーのセンスとか、心意気が出るものだなあと思っています。皆さん稽古着のチョイスが素晴らしいです。作品のイメージが固まっていないときは、あまり主張しすぎないフラットなものを、衣裳プランが決まってくれば、色や形が似たものをと、その時々の稽古の進捗に合わせて、的確な稽古着を選ばれていて、感心しています。(木ノ下)

いつか手にしたい憧れの稽古アイテムは?

炭酸水作れる機械。(白神)

初夏なので、生地の種類が多いうちに稽古用の浴衣を作りたいです。(武谷)

ずっと稽古のときやアスファルトなどでも動きやすい、ちょうどいいスニーカーを探しているのですが出会えず、ボロボロになった4年くらい前に買ったものを使い続けています……。(Aokid)

江戸時代の歌舞伎作者は自筆の台本を風呂敷に包んで出勤していたようなのですが、いつか自分も、緋色の縮緬に名前や紋を染め抜いたオリジナル風呂敷に台本を包んで稽古場通いをしたいなあと夢想しています。(木ノ下)

「竜宮鱗屑譚~GYOTS~」で特に注目してほしいのはどんなところ?

木ノ下歌舞伎「竜宮鱗屑譚(せとうちうろくずものがたり)~GYOTS~」ビジュアル。

木ノ下歌舞伎「竜宮鱗屑譚(せとうちうろくずものがたり)~GYOTS~」ビジュアル。

すべてにおいて新作で、初めてのことばかりで、それぞれのジャンルを超えての創作で、すべてにおいて勝負に出ているので、全部大注目なのですが、いろいろな人の経験や知恵がふんだんにちりばめられていて、特に木ノ下さん書き下ろしの新作浪曲シーンは現代音楽とさまざまな身体も入り混じって農村歌舞伎舞台に現れるので注目です。あと、実は戯曲を書いた一人芝居のシーンもあるので観てください。(白神)

舞台に立つと客席の向こうに神様のお社がずらりとありました。今回は瀬戸内に残る日陰の歴史がテーマになっています。先行きも不安な世の中ですが足を運んでくださった方に楽しんでいただけるよう、多彩な顔ぶれで、祈りを込めて演じたいと思います。(武谷)

背景にある膨大な情報量のうちのどこか、何かに語りやディテール、パフォーマンスにおいてアクセスしうる可能性とライブ感に注目できるよう、現在稽古場で立ち上げに励んでいます!(Aokid)

瀬戸内海は物語の宝庫です。今回は普段の木ノ下歌舞伎のスタイル(特定の演目を取り上げ新解釈)から離れて、瀬戸内をリサーチしつつ、歴史や文化、土地の伝説をふんだんに盛り込んだ、完全オリジナル作品になっています。演出の白神ももこさんをはじめ、多彩なアーティストによって、特盛の海鮮丼のような作品に仕上がりつつあります。また、会場となる小豆島・肥土山農村歌舞伎舞台も素敵です。今回を逃すと、二度と観られないスペシャルな公演、ぜひお越しくださいませ。(木ノ下)

プロフィール

白神ももこ

演出家、振付家、ダンサー、モモンガ・コンプレックス主宰。2019年に富士見市民文化会館キラリ☆ふじみの芸術監督に就任。

武谷公雄

俳優。大学時代に演劇活動を始め、自作演による一人芝居を皮切りにさまざまな演出家の舞台、映画に出演している。

Aokid

ダンサー、アーティスト。ソロ活動のほか、 “Aokid city”や“どうぶつえん”で他者との共同制作も行っている。

木ノ下裕一

木ノ下歌舞伎主宰。7月に補綴を担当した「能 狂言『鬼滅の刃』」、2023年2・3月に木ノ下歌舞伎「桜姫東文章」が控える。

バックナンバー

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木ノ下歌舞伎 @KINOSHITAkabuki

木ノ下歌舞伎『竜宮鱗屑譚~GYOTS~』の稽古での白神さん、武谷さん、Aokidさん、木ノ下の稽古着ファッションを取り上げていただきました。
肥土山農村歌舞伎舞台で撮影した写真もご覧いただけます! https://t.co/AiX7Xu19IQ

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