舞台で輝くアーティストたちは、バックヤードではどんな“素”の姿を見せているのか? そんな舞台ファンの密かな疑問に応える企画、ステージナタリーのファッションコラム「ケイコレ」。この連載では、稽古に励むアーティストたちが、数日間にわたって自身の稽古着姿を披露する。
第29回となる今回は、長野・まつもと市民芸術館を拠点に活動する劇団・TCアルプの
Day1
テーマは“ザ・シンプル”。最近はシンプルな稽古着が多いです。真っ白なキャンバスのように、これからどんな役にも染まっていけるように。もしくはただ面倒だからでしょうか。靴もオールユニクロです。
Day2
このヨレヨレのTシャツは、シビウ国際演劇祭に参加したときにルーマニアの古着屋で買った、イタリアと書いてある80円のTシャツ。これを着て稽古したときに覚醒した記憶があり、その自分を忘れないように定期的に着ています。
Day3
タンクトップがよく似合うと人に言われて、めちゃくちゃ動く稽古のときにたまに着ます。芝居中に上裸になる役柄も多いのでこれは脱ぎやすいからいいですね(どんな芝居だ。笑)。
稽古着におけるこだわりは?
機能性も大事ですが、どちらかというと着たときに“起こる”気分を重視しています。立っているだけでその人の何かが伝わってくるのが芝居ですから、気分はとても大切だと思います。
「稽古着おしゃれだな!」と思う共演者は誰ですか?
それは圧倒的に今回の演出の杉原邦生さんですね。演出家なので動きやすい格好というわけではないですが、同年代から見て、あんな格好したいなあと憧れるファッションです!
いつか手にしたい憧れの稽古アイテムは?
まったくスニーカーの知識はないし集めてもいないのですが、エアマックスですか? あのNIKEの空気が入ったやつ。小さい頃すごくはやったんです。今や更に進化しているんですよね? あれで稽古したらめちゃくちゃ躍動感ある俳優になれるかな。飛んでっちゃうんじゃないかな。
TCアルププロジェクト2021「パレード、パレード」で特に注目してほしいのはどんなところ?
とにかくカオスな作品です。「死の教室」という作品のオマージュですが、まったく違う切り口で、物語に頼らない、個と社会と宇宙と全部がカオスになっています。ある人は笑い転げるかもしれないし、また別の人にはまるで自分のことのように感じられるかもしれない。役者冥利に尽きる作品です。
プロフィール
1985年、岐阜県出身。日本大学芸術学部演劇学科在学中に串田和美と出会い、2007年、TCアルプの前身となるまつもと市民芸術館レジデントカンパニーの旗揚げに参加。担当楽器はアルトサックス。近年の出演作にTCアルププロジェクト2020「じゃり」、長野県芸術監督団事業「『そよ風と魔女たちとマクベスと』~一本道ですれ違った あんたと私は多分他人 私とあんたはできれば他人~」、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「オレステスとピュラデス」など。10月には「FESTA 松本 2021」で初の作・演出にも挑戦。
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