ハリウッドザコシショウのDVD「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!SEASON3」が6月24日に発売される。
今年2020年1月に開催された「ものまね100連発ライブ」と、9つもの企画が展開された特典映像からなるこの作品は、シリーズ3作目にして総収録時間が5時間半となった。なぜ1枚のお笑いDVDがこれほどのボリュームとなってしまうのか? その謎を解き明かすべく、お笑いナタリーがザコシへのインタビューを実施した。DVDに出演している「ハリウッド軍団」のコメントも併せて紹介する。
取材・文 / 成田邦洋 撮影 / 後藤壮太郎
ざまあみろと思いながら何回も観ちゃう
──DVDシリーズ3作目にして総収録時間が5時間半となり、とんでもないボリュームです。それでいて価格は通常のお笑いDVDと変わらない。このサービス精神はどこから来るのでしょうか?
1作目のときから、けっこう「やってはいた」んです。そのときはライブの映像のほかに、ちょっとした特典映像と、YouTubeの「ザコシの動画でポン!」で公開していた内容も入れて。2作目を作るときに「特典映像って何分入るんですか?」って聞いたら「けっこう入る」と。じゃあ、ってんで5個くらい企画を入れて、特典映像が本編と同じくらいの量になりました。それで3作目になって、やりたいことがけっこうあって「これもこれも」って言ってたら企画が9個になっちゃった(笑)。いつも世話している後輩たちが、僕に対して失礼なことや先輩をリスペクトしてないような発言を日々してくるので、嫌な気持ちにさせてやろうかということで作った企画です(笑)。
──後輩を嫌な気持ちにさせたい一心で。
そうです。公共の場を借りての、合法のいやがらせ(笑)。だいたいこういうのって1回観りゃいいやって思うんですけど、自分で企画した内容ですし、何回も観ちゃいますね。「ざまあみろ!」って思って(笑)。そういう面もありますけど、第三者が観ても面白い内容だと思います。
──メインの「ものまね100連発ライブ」だけでも2時間を超える収録内容です。体力の消耗も激しいのではないでしょうか?
激しい激しい! 4年前に出した1作目は「R-1ぐらんぷり」で優勝したあとに収録して、そのときはギリで、まあイケた。2年前の2作目もヤベーなと思いつつイケました。今回は45歳で「できねえのかな?」と思ったんですけど、けっこうイケたから、まだまだイケるわって感じです。
──ただモノマネしているだけじゃなく、肉体を酷使してますよね。
そう。あと「これもイケるよ、あれもイケるよ」って言って「ものまね100連発ライブ」だけど結局130発くらいはやってるんじゃないかな?
──そんなライブを行うにあたって、事前にコンディションを整えたりはされているんでしょうか?
絶対に風邪を引かないようにはしてます。2作目のときにペース配分を間違っちゃって、最初のほうにガーッと「けっこう喉かれちゃうな」って感じでやったんですけど、途中で水飲んだら治った。3作目も水を用意してもらってて、声に関しては何もなかったです。
──モノマネの前には“神聖な儀式”が必ず行われます。この儀式はずっと前からやっていらっしゃる?
ずっとやってます。本編でも言ってるんですけど、優勝する2年くらい前の「R-1」でネタ時間3分のうち、2分半くらいがこの儀式だけで終わって、モノマネ1発しかできなくて、そりゃ落ちるわって話なんですけど(笑)。
──そのときのモノマネは何をされたんですか?
トシちゃん(田原俊彦)です。ウケるわけねえ! ちなみに今回のDVDでも「田原俊彦の時計の見かた」というネタをやってます。手を替え品を替えって感じで。
61発目から100発目までは地獄
──今回の100連発の中でお気に入りのモノマネは?
好きなモノマネにはピー音とモザイクが多い(笑)。観た人に「ピーが多いよ」って言われることはあって、そういうネタを全部やらない選択肢もあるんですけど、そうすると極端にネタが減っちゃう。だからこういうスタンスにしたんです。
──ピーもモザイクも関係なく、とりあえずやってしまうと。
そう。とりあえずやって、ライブに来たお客さんを楽しませといて、あとで編集する。それでいいと思いますけどね。言える範囲で好きなネタは「YouTubeの佐山聡」とかね。それか「WWE AJスタイルズ」。あれは本人にも届いてますから。僕のやってるモノマネの映像を日本のWWEが本人に見せたらしくて、AJスタイルズとThe O.C.の2人が映像を観ながら「お前の真似してるぞ」みたいなことでTwitterで笑ってるんですよ。だから公認と言っても過言じゃないです。
Dear Hollywood Zakoshisyoh,
— WWE Japan (@WWEJapan) March 3, 2020
Sincerely yours, The OC
#TheOC #AJStyles #AJスタイルズ #LukeGallows #KarlAnderson #HollywoodZakoshisyoh #ハリウッドザコシショウ @zakoshisyoh @AJStylesOrg @LukeGallowsWWE @KarlAndersonWWE @WWE pic.twitter.com/mIcNLeC5bl
──プロレスのモノマネはザコシさんの得意分野ですが、どのジャンルのモノマネをどれくらいやる、などのバランスは考えていますか?
毎回、DVDを出すタイミングは年に1回とかじゃなくて「モノマネが100個たまったら」なんです。単独ライブを2回くらいやって、自分の中の撮れ高が100個くらいあるなと思ったら、(発売元の)コンテンツリーグにお願いする。単独ライブでは1日にモノマネを30発やるので、同じ会場で2日あっても内容が違うから合計で60発。これが全部プロレスやゲームのネタだとお客さんが離れていっちゃう。だから、メインは有名人とかの誇張モノマネで、プロレスやゲームは違う切り口からのおまけみたいな感じ。だいたい全体の2割くらいという配分です。
──改めて見返すと時事ネタがとても多い印象で、その時代を振り返ることもできますね。
多いです。時事ネタが入っているってことは、結局モノマネに漫談の要素も含まれてるってことです。時事も斬るし、この1年や2年の間に何があったかわかって、ためになる。すごくいいソフト(笑)。モノマネや儀式をする前に「この間、誰々が逮捕されて」みたいな話を、お客さんをつかむためによく入れています。百戦錬磨のテクニックです。「マネーの虎」の小林社長風に言うと「百戦錬磨の社長よ? こんなもんね、うちの社員やったらね、アホンダラ言いますわ! 謙虚になれよ!」ってことです。
──100連発のネタ順はどのように決まっているのでしょうか?
1発目から30発目までが、2年前の単独ライブでだいたいやったモノマネ。31発目から60発目までが、1年くらい前の単独ライブの選りすぐり。あとの61発目から100発目が、これまでDVDに入ってなかったモノマネ、という感じで作ってます。だから61発目から100発目までは地獄です(笑)。
──ザコシさんの心が折れることはないと思うのですが、それでもお客さんの反応を気にすることはありますか?
心が折れることはないですけど、気にはしますね。61発目からはお客さんも思ってるんじゃないですか? 「なんでこんなネタ持ってくるんだよ! もっと笑いたいのに!」って(笑)。
めちゃくちゃ研究してる「誇張しすぎた福山雅治」
──そんな中でも特にお客さんが盛り上がるのは近年の代表作ともいえる「誇張しすぎた福山雅治」ではないでしょうか。
飛び道具中の飛び道具です。小道具も使ってるし。よう考えたら福山じゃねえし(笑)。
──「ザコシの動画でポン!」の「誇張しすぎたものまね研究所」で、このモノマネだけで数十本の動画が公開されています。
めちゃくちゃ研究してるんですよ。
──最初の頃はまだ誇張も控えめだったかと思うのですが。
「実に面白い」のところを「実に手がクサい」「実に息がクサい」みたいな感じで言ってました。ただ、それだけで終わっちゃうとつまんないですから。自分の中で納得できない。どうにかして、もうちょっと誇張してやろうと日々研究した結果、この“パカパカメガネ”にたどり着きました。よかったですよ。福山さんには、よくは思われてないと思いますけど(笑)。「なんでこれが俺なんだよ」って言ってるような気がします。
──とはいえ、福山さん自ら公式動画で「誇張しすぎた福山雅治」をやってらっしゃいましたよね。
やってました。ネットで「福山よりザコシのほうが福山のマネがうまい」って書かれてました(笑)。
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ハリウッドザコシショウによる特典映像解説