トリオっぽくなくていいんだ
──結成から「キングオブコント」優勝までを振り返って、覚醒した時期みたいなものはあったのでしょうか?
秋山 覚醒したという感じではなく、勝負ネタがゆっくり増えていって、バトルライブでの順位も徐々に上がっていきました。ただK-PROさんの「トッパレ」というバトルライブが賞レースのファイナリストやセミファイナリストと戦える場で、ここで勝てるようになってから一気に自信がつきました。「犬」も「捕まえて」もトッパレでやってるんです。
岡部 結成して最初の頃は3人の出番をバランスよくしようとしてたんですが、それを考えないようにしたあたりが転機かもしれません。
秋山 結成2年目くらいまでは「せっかくトリオなんだから3人目をもっと早く出さなきゃ」とか言われてたんですけど、3年目あたりから鈴木おさむさんが「3人目を無理に出そうとしなくていいんじゃない? 2人でネタをやる日があっても面白いかもよ」って言ってくださったり、「エンタの神様」の五味一男プロデューサーが「使わないという使い方が新しい」と褒めてくださったりして、「トリオっぽくなくていいんだ」って吹っ切れたんです。それを菊田が嫌がるわけでもなく受け入れて(笑)。
岡部 そこからハナコらしさが出てきたと思います。
──なるほど。3人の使い方以外にも“ハナコらしさ”はあるんでしょうか?
秋山 幅広い人に笑ってもらえるのが僕らの武器なのかなと最近なんとなく自覚してきました。わかりにくいネタもあるけど、コアなところだけ狙っているわけではない。
岡部 秋山は重箱の隅をつつくような発想のネタが好きで、僕はベタなものが好きなんです。そのちょうど間をとっているのがいいのかもしれません。
秋山 岡部の力で、ベタなものでもそう見えない感じがするので、最近はどんなタイプのネタでも臆せずやろうと思っています。
岡部 菊田もベタなやつのほうが好きだよね。
菊田 うん。僕、わからないんですよ、シュールなやつ(笑)。
──3人それぞれの個性はなんだと思いますか? 例えば菊田さんのことを一言で表すとしたら……。
秋山 「芸人界唯一の客」。客席にいる奴が舞台に上がっちゃったみたいな。
菊田 ははははは!(笑)
岡部 相方というよりは「友達」って感じです(笑)。
──秋山さんはどうでしょうか。
菊田 「模範」。芸人としての模範だなあ。
岡部 「ミスターストイック」ですかね。僕がブワーッと出したアイデアを秋山がいつの間にか台本にまとめてくれていて、「いつ書いたんだろう」って驚くことが多いんですよ。会ってない間にもどんどんネタ帳の内容が増えていて、すごいなと思います。
──岡部さんは?
菊田 「正義のヒーロー」。
岡部 ちょっと意味わからなすぎじゃない? スルーしたけど、秋山に対しての「模範」もよくわかってないからね(笑)。
菊田 ずっと正しいことをしてる。本当に優しい奴で、何をしたら怒るんだろうって思います。
秋山 岡部は一言でいうと「顔」。顔が面白いという意味もあるし、ハナコの顔であるという意味もあるし。
岡部 「犬」の中で僕が「誰!? 誰!?」ってずっと言ってるときの表情は養成所時代に「顔を意識しろ」と言われたことが生きています。
──ハナコさんがネタ合わせをするときは、映像に撮ってそれを見ながら表情や動きをチェックすると聞きました。「犬」や「捕まえて」も、観客や視聴者からどう見えるかをかなり意識したネタに思えます。
秋山 そうですね。映像でチェックするというのはハナコを組みたての頃からやっていました。養成所の現役生にアドバイスするときも必ず言ってます。
岡部 「キングオブコント」の決勝進出が決まってからの2週間は、「捕まえて」の冒頭の走る動きをひたすら映像で確認しながら修正していました。そのおかげで、決勝でやったものが今までで一番出来がよかったです。ちなみに映像チェックのとき、菊田は一服しに行ってます(笑)。
後輩たちがすごく仕上がっていてズルい
──今、芸人になろうか迷っている人にアドバイスを送るとしたら、何を伝えたいですか? またWCSのオススメポイントも教えてください。
秋山 思い立ったときが一番いいタイミングだと思うので、迷ったらとりあえずやってみたほうが得だよと伝えたいです。WCSにしてよかったと思ったのは、卒業してからもずっと面倒を見てくれること。スタッフの方々が健闘を祈り続けてくれます。
岡部 先輩と交流する機会が多いのも魅力だと思います。養成所生のときからハライチさんのDVDにエキストラとして出演できたときは感動しました。
菊田 僕は礼儀を学びました。芸歴4年目までちゃんと挨拶していなくて、5年目になって「あ、WCSで言っていた礼儀のことって全部正しかったんだな」ってわかりました。
秋山 礼儀はすぐわかるだろ! あとやっぱり養成所は出会いの場ですから、素敵な人とたくさん知り合えます。
──WCSにはどんな人が集まる傾向があると思いますか?
岡部 ギラギラしすぎてない人かなあ。
秋山 平野ノラや厚切りジェイソンみたいな、芸人以外の経験が豊富な人も多いです。
岡部 WCSが歴史を積んできて、養成所としてパワーアップしてるのはひしひしと感じます。最近出てくる後輩たちがすごく仕上がっていて「俺たちの時代はそんなこと教わってなかったぞ」って思うことが結構あるんです。ズルいですよ(笑)。
秋山 Gパンパンダも芽が出るの早かったもんなあ。
岡部 四千頭身は特に勢いがすごくて、脅威を感じまくってます。卒業したてでフジテレビの「新しい波24」や「AI-TV」のレギュラーになったのは驚きました。
秋山 彼らの存在が僕らに与えた影響はかなり大きいです。「ヤバい負けちゃう!」という思いでがんばれました。
岡部 ほかにも刺激をくれる人が事務所内にたくさんいます。Aマッソさん、プリンセス金魚さん、ファイヤーサンダー、ユースフルデイズのような、ほかの事務所から入ってくる人たちも多いし、あばれる(君)さんとかサンシャイン池崎さんのようなキャラが濃い人たちがテレビで活躍してるのを見ていると「俺たちもネタでがんばるぞ」と思わされるし。
──層の厚さが事務所全体に好影響を与えているんですね。ハナコさんが思う、これから出てきそうなワタナベの芸人さんも知りたいです。
岡部 うーん、金の国かな。
菊田 僕はビバリーガール。キャラがいい。ネタはあまり見たことないですけど(笑)。
秋山 かなり若手いくね! 僕は先輩なんですけど八田荘さん。ずっと面白くて、今年は「M-1グランプリ」の準々決勝まで進んでいました。これからどんどん話題になっていくんじゃないかと思っています。
──ぜひ注目したいです。では最後にハナコさん自身の今後の夢や野望を教えてください。
秋山 「キングオブコント」で優勝させてもらいましたけど、自分たちの笑いが完成したとはまだ思ってないので、これからもいいネタを追求していきたいです。とにかく「ハナコはネタが面白い」と多くの人に言われたい。
菊田 それが一番だよね。
岡部 ずっとテレビでネタをやり続けて、「こんな面白いネタもあるんだ」と毎回思ってもらえたらいいですね。あとは3人で田舎に行く、のほほんとしてロケをやってみたいです(笑)。
- 2019年 第30期 4月生申込受付中
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締切:2019年3月中旬
※定員が埋まり次第、締め切り。 - 資料請求・問合せ
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0120-30-0151
10:00~21:00(年末年始を除く)
- ハナコ
- 左 / 菊田竜大(キクタタツヒロ)
- 1987年6月12日生まれ。千葉県出身。
- 中央 / 秋山寛貴(アキヤマヒロキ)
- 1991年9月20日生まれ。岡山県出身。
- 右 / 岡部大(オカベダイ)
- 1989年5月30日生まれ。秋田県出身。