お笑い好きなら見るべき!銀シャリ橋本&ナイチンゲールダンス・ヤスが語る芸歴5年目以内の超若手大会「UNDER5 AWARD」の魅力

芸歴5年目以内の“超若手芸人”を対象とした賞レース「UNDER5 AWARD 2024」の決勝戦が6月23日(日)に東京・ルミネtheよしもとで開催される。3カ月にわたる予選を経て、9組のファイナリストが賞金100万円を懸けて自信のネタで勝負する。

昨年の第1回大会では金魚番長が初代王者に輝き、この大会を足がかりに別の賞レースでもタイトルを獲得。春から冠ラジオ番組がスタートするなど活躍の場を広げている。そのほかにも、キャプテンバイソンやあくびぼうやといった惜しくも優勝を逃したファイナリストたちも大会をきっかけにその存在を知られるところとなった。

「M-1グランプリ2016」王者の銀シャリ橋本も前回大会に衝撃を受けた芸人の1人。この特集では、そんな橋本と、後輩たちの兄貴分的存在で「ツギクル芸人グランプリ2023」優勝者のナイチンゲールダンス・ヤスを迎えて「UNDER5 AWARD」への期待を語ってもらった。また、ファイナリスト9組へのアンケートも実施。FANY Online Ticketから無料で視聴できる今大会を、お笑い好きなら見逃せない!

取材・文 / 塚越嵩大撮影 / 玉井美世子

「UNDER5 AWARD」とは
「UNDER5 AWARD 2024」

フリー、アマチュアを含め所属事務所問わず芸歴5年目までの芸人が出場できる賞レース。ピン、コンビ、トリオなどの形式、漫才、漫談、コントといったネタのスタイルは自由。優勝賞金は100万円。今年の決勝では、ニューヨークがMCを務め、笑い飯・哲夫、佐久間一行、NON STYLE石田、ナイツ塙、かもめんたる・う大、チョコレートプラネット長田、マヂカルラブリー・野田クリスタルが審査員を担当する。

「UNDER5 AWARD 2024」決勝

日時:2024年6月23日(日)19:00開場 19:30開演
会場:東京・ルミネtheよしもと
FANY Online Ticketにてオンライン配信無料で視聴可能。

<出演者>
Aブロック:伝書鳩 / マーティー / キャプテンバイソン
Bブロック:ライムギ / 清川雄司 / 家族チャーハン
Cブロック:ぐろう / ツンツクツン万博 / 例えば炎
審査員:笑い飯・哲夫 / NON STYLE石田 / ナイツ塙 / かもめんたる・う大 / チョコレートプラネット長田 / 佐久間一行 / マヂカルラブリー・野田クリスタル
MC:ニューヨーク

決勝は無料配信!視聴はこちらから

銀シャリ橋本&ナイチンゲールダンス・ヤス インタビュー

「THE SECOND」と同じテンションで観ていました(笑)

──橋本さんは2003年デビュー、ヤスさんは2017年デビューと芸歴が離れていますが、普段から交流はあるのでしょうか?

橋本 劇場で会うことはあるけどガッツリしゃべったことはないかな?

ヤス 何度か共演したことがある程度ですね。でも橋本さんのことは上京前から知ってましたし、なんでもできる天才というイメージです。

橋本 僕からするとヤスは怖い人という印象(笑)。芸人界隈では「1年目からすごく尖ってる奴がいる」みたいな噂はあったので。

ヤス 尖ってました、実際。

橋本 若手は尖ってていいと思う(笑)。昔は大阪の若手芸人もみんな尖ってた。

左から銀シャリ橋本、ナイチンゲールダンス・ヤス。

左から銀シャリ橋本、ナイチンゲールダンス・ヤス。

──今回は賞レースで優勝経験のあるお二人が芸歴5年目以下の“超若手”による大会「UNDER5 AWARD」をどう見ているかお聞きしていきます。昨年、この大会が始まると知ったときはどんな印象でしたか?

ヤス 僕が所属している神保町よしもと漫才劇場では「何これ!?」みたいな雰囲気でした。新しい大会が始まったときに特有の、警戒する感じ(笑)。ただ他事務所も交えて同じ世代で戦えるのはチャンスでしかないので、僕は単純にいいなあと思いました。

橋本 「ABCお笑いグランプリ」の出場資格って今は芸歴10年以内なんですけど、昔は「ABCお笑い新人グランプリ」という名前で結成5年以内だったんですよ。その頃の関西の若手では「5年目までに芽が出なかったら辞めなきゃいけない」みたいな雰囲気があったので、そのときのようなヒリヒリした戦いを今の若手たちがやるようになるんかな、どんな感じになるんやろうなというワクワク感がありました。

──橋本さんは去年、決勝の配信チケットを自分で買ってご覧になったんですよね。

橋本 はい。テレビに出ている芸人のネタは大体わかるじゃないですか。もっと若手の「これ、どういう発想で作ってるの!?」と思わされる“元素”のようなネタが見たかったんです。最初は「粗削り感も含めて楽しめます」みたいな青田買い感覚の賞レースかと思ったんですけど、実際はそんなレベルを余裕で超えていて衝撃的でした。これは取材だから言っているわけじゃなくてマジ! 恐怖すら感じました。粗削り感がまったくなくて、いつの間にか「THE SECOND」と同じテンションで観ていました(笑)。

ヤス 決勝まで来るとネタの完成度が高いのは前提。そこに若手特有のフレッシュさとエネルギッシュさがプラスされています。全員の目がキラキラしていて、その顔を見てるだけで眩しくていいんですよね。

金魚番長は吉本の劇場が生み出したお笑いマシーン

──昨年の第1回大会を具体的に振り返っていければと思います。優勝は当時5年目の金魚番長でした。

ヤス 大会が全体を通してすごく盛り上がっていて、金魚番長にいたっては1回売れた人みたいなウケ方でした。客席も「待ってました」感があって。ダークホースのあくびぼうやとキャプテンバイソンの衝撃や勢いもすごかったんですが、金魚番長が勝ちきりました。

橋本 金魚番長は伝統的な吉本の芸人という感じやなー。吉本の劇場が生み出したお笑いマシーンというか、プラス・マイナスくらい技術に長けていて盤石。的確にヒットを打っていく感じは令和ロマンに通じるものもあるのかな。

ヤス 少ない舞台数でああいうタイプの芸人に勝つとなったら、相当な才能がないと難しいですよね。「THE SECOND」はベテランなのでうまいのは当たり前なんですけど、5年目までだと舞台数がうまさをかなり左右する。その点、金魚番長は膨大な舞台数が生み出したマシーン(笑)。ただ1つ苦言を呈するとしたら、優勝コメントを求められたときに自分たちが持ってる“くだり”をやりすぎて、結局どういう人なのかがわからなかった……。

橋本 やり取りが仕上がりすぎてるがゆえの弊害ね(笑)。

ヤス 1回だけでも普通のコメントをしてほしかったです(笑)。

ナイチンゲールダンス・ヤス

ナイチンゲールダンス・ヤス

ナイチンゲールダンス・ヤス

ナイチンゲールダンス・ヤス

──ほかに印象に残ったコンビは?

橋本 準優勝のキャプテンバイソンは初めて見て「めっちゃおもろいやん!」と衝撃的でした。予選にヤバい奴らがいるという噂だけは聞いていたんですけど、エグかったです。コントのルールに則ってない感じは天竺鼠の雰囲気も少し感じました。それでいて「フリーのKing Gnuです」みたいなポップなくだりとかも挟んでくるじゃないですか。尖っているだけじゃなくて、「そっちもできんねや!」と。どう考えても今後くると思います。

ヤス 見た目もシュッとしてますよね。しゃべってみるとすごくいい奴らだし。

橋本 3位のあくびぼうやも、キャラもんと思いきや、しゃべりがめちゃめちゃ面白い。正直いかついです。あとハマノとヘンミもめっちゃ面白かった。「管楽器が熱いって、なんなんその設定!?」っていう。

ヤス 橋本さんは設定を重視して見ているんですか?

橋本 コントは設定かな。でも全組のネタに発見があった。ファイナリストは全員名前を覚えておかなあかんなと思いました。のちに「UNDER5の歴代ファイナリスト、ヤバない?」みたいなことになりそうです。

準決勝の63組、気になるのは

──今年の準決勝には63組が勝ち残りました。メンツを見た印象は?(※この取材は準決勝直前の5月30日に実施)

橋本 空前メテオおるやん! 空前って5年目以下なんですか!? ヤバ!

──「ytv漫才新人賞」で優勝したばかりですよね。

橋本 ぐろうもおる! ぐろうは初めて見て衝撃を受けたときからずっと面白くて、今でも尊敬してるんです。僕は、ぐろう、ぎょうぶ、三遊間が“大阪三羽ガラス”だと思っているんですけど、賞レースではネタのチョイスに苦戦して優勝を逃しているような気がしていて。ぐろうはこの前の「ytv漫才新人賞」でも目の前で同期の空前メテオに優勝されて、2位に終わっていますから。この2組が激突するのは個人的に熱いです。

ヤス 僕らが「ツギクル芸人グランプリ」の決勝で戦った群青団地がいますね。ネタ面白かったなあ。

橋本 「ツギクル」で見た群青団地のネタは衝撃的やったなあ。ほんでキャプテンバイソン、ツンツクツン万博、梵天、骨付きバナナとかもおるんや。

ヤス すげー! どうなんの、これ。

橋本 僕、人間横丁もめっちゃ好きなんです。ますだおかだ増田さんと若手芸人のラジオ漫才を聴く「『究極のラジオ漫才』探求プロジェクト」(NHKラジオ第1)という番組でビックリしたコンビ。ネタがなんだか哲学的なんですよね。「M-1」の決勝もありえるんじゃないかと思っています。

銀シャリ橋本

銀シャリ橋本

銀シャリ橋本

銀シャリ橋本

ヤス 劇場でめっちゃウケてるのをよく見るのは、家族チャーハン、兄弟、定点計画とかですね。

橋本 家族チャーハンは「ネタパレ」(フジテレビ系)でよう見ますね。江頭くんのほうがもともと役者志望なんじゃなかったっけ? いっぱい舞台に出ているやろうし、金魚番長と同じ肝の座り方をしてる感じがするなあ。

ヤス 見た目はダークな感じなんですけど、ボケの内容はどんな人にでも伝わる感じ。昼寄席では、この芸歴にしてちゃんと最初にツカミをやってます。

橋本 あっ、昼寄席ある!? それは強いなあ。昼の寄席に出ているかどうかはけっこうデカいんですよ。老若男女にウケるネタ、初見のお客さんにウケる技術を育てられるので。

ヤス ほかに注目しているのは、同じく吉本所属の青いデルタというトリオ。NSC時代に「キングオブコント」準々決勝まで勝ち進んで、その期の首席候補と言われていたんですけど、最後の「大ライブ」でほかのコンビに優勝されちゃって。実力も芸人評価も高いトリオなのに、なかなか結果が出なくて、本人たちもすごく悔しがっているはず。フラストレーションが溜まってると思うので、ここらで爆発してもらいたいです。悔しい思いをしている芸人は強いですから。

橋本 そんな中、ここまで残ってる学生芸人もすごい。去年の「M-1」でベストアマチュア賞だったナユタは強いやろうなあ。

ヤス グレープカンパニーのレインマンズも、もともとは学生お笑いのエリート。学生芸人って大学で4年間お笑いやっているので本当は「UNDER5+4」なんですよ(笑)。そこの有利さはあるかもしれないです。