絶対に役を離れないのがルール

──今回DVD化された単独ライブでも、コントの中で三村さんがセリフを言う相手を間違えたあとも素に戻らずにあくまでも役柄の中で対応されていたのが印象的でした。絶対に役から外れないというお2人のコントのこだわりについて聞かせていただけますか？

大竹　そこを突いてきた人、20数年で初めてです。

三村　たぶん今2人ともうれしいですよ。

大竹　今初めて取材で言われたことです。

三村　そこはねー、大事にしてるんですよ。

大竹　ああ素晴らしいですね。初めて気づいてくれたなっていうくらい。

三村　俺なんか特に配役が変わるだけで、基本的に喋りが“三村”なんですよ。苗字も全然違う役をやってるんですけど。だからこそ、役を離れちゃうとすぐ“三村”になっちゃうんで、絶対に役を離れないっていうのがデビュー当時からのルールでした。

大竹　そこだけ決めてました。何があっても役は離れない。アドリブ言っても、赤ちゃん泣いても、照明落ちてきても。

三村　役のままハプニングを対処する。

大竹　役のまま処理していくっていうのをずーっとやってきてるんで。そこはもう絶対的な唯一のルールというか。医者だったら医者のまま慌てて。本当は出てくるはずの車が出てこないとか、セットが倒れても、その医者のまま。よく若い人は素に戻って裏を言ったりしちゃうんですけど、それだと夢がないから。

三村　さまぁ～ずとして喋るときは普通に頭ひっぱたいたりするんですけど、おじいちゃんと若者のコントで、つい叩いちゃったことがあったんです。そのときもすげえ謝ったりしましたね。「すいません、お年寄りを」とか。「こういうことしちゃいけないと思うんですけど、あまりにも無謀なことするんで」とか、アドリブで弁解をするみたいなのもあったし。

大竹　俺も基本的に“俺”のままやってる。気持ちだけ入れてるんで。女の役でも俺、女の喋り方したことないです。

──そうですね。

大竹　でも「女に見える」って言われるんですよ。それは気持ちを入れてるから。

三村　俺も女の人として扱ってますから（笑）。

手元のボケは舞台じゃ表現できない

──今回のDVDにも収録されていますが、お2人が画面の外にいるVTRネタも人気が高いですね。

三村　あれは本人が出ないっていうのをなるべくベースにしてやってる。

大竹　コントの間のやつね。結局手元のボケとかって舞台じゃ表現できないじゃないですか。画面は唯一寄れるから本当は得なんですよ。違う手法のネタをやれたらいいなっていうところからやってるんですけど。あと、VTRって、本人が出てきたらそんなに面白くないんですよ。生で観てるぶん、Vで出てきても「生のほうでやれ」みたいな。

三村　「顔がよく見えるからVのほうがいい」って思われるのも違うしね。なにかと出さないほうがいいんです。

大竹　VTRは「手元でやれることないか？」っていう考え方で、ちょっとコントとは違う発想かもしれないですね。あと、Vはほとんど一発撮りです。だいたい1回目がいいんですよ。

三村　一発目超えられないんですよね。やっぱりちょっと計算入っちゃうというか。

大竹　ちょっとしたハプニング含め。

三村　だからそれを撮るカメラさんもわかってるんですよ、一発目が大事だって。

大竹　Vはけっこう面白いと思います。結局「あれが良かったね」って言われることも多いんで。それはそれで作品だから、どっちを評価されてもうれしいです。

──DVDは形としてずっと残るものですが、お2人は作品を形に残すということに対してどのような考え方をお持ちですか？

大竹　記念品ですよね。記録というか。なんでしょう、俺らのコントをみんなに知ってもらいたいのかな。VHSの頃から作らせてくれって言ってたんですよ。でも、うちの会社（ホリプロ）は、お笑いさんがいなくて例がないからなかなか作らせてくれなくて。ビデオは資料として若い頃から撮ってたんですけど、まあなくなっちゃうんですよ、全部。台本もなくなっちゃうから記憶の中にないっていうか。自分の中ではアルバム的な感覚がちょっとあるかもしれないですね。

三村　当時VHSを出せなかった頃のライブもいっぱいあるんで、そう考えると今は毎回DVDを出せてるからうれしいですよね。「あの頃のが残っていたらな」って今でも思うんです。完全に記憶から消えちゃってるネタってあるんで。そういう意味では売れようが売れまいが一応出してほしいよね、これからも。