映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督による劇場長編第2弾「スペシャルアクターズ」が10月18日(金)に公開される。
「スペシャルアクターズ」は極限まで緊張すると気絶する売れない役者・大野和人と、旅館の乗っ取りを図ろうとするカルト集団との闘いを描いた、奇想天外な物語。和人を演じる大澤数人をはじめ、無名ながらもワークショップで発掘された個性豊かな俳優たちが熱演している。
お笑いナタリーはこの作品を宮下草薙に一足早く鑑賞してもらった。映画好きを公言する宮下は“クリエイター目線”を交えて熱弁。草薙は和人の気持ちがわかるという。勢いに乗る2人の「スペシャルアクターズ」評とは。
取材・文 / 成田邦洋 撮影 / 後藤壮太郎
シュワちゃんの映画を買い集めた
──お二人のうちでは宮下さんが映画好きだとお聞きしました。
宮下兼史鷹 そうですね。1カ月に稼いだ給料を全部使ってDVDを買っているような時期もありました。実家には余裕で1000枚くらいあります。
──けっこうな枚数ですね。
宮下 17歳くらいから働き始めて、大好きなシュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)の映画を全部観ようと思って買い集めたんです。そこから映画好きがよく観る「ショーシャンクの空に」や、スタンリー・キューブリックの作品、最終的にはヤン・シュヴァンクマイエルとかマニアックなところに手を出したりしました。
草薙航基 映画館でバイトしてたんだよね。
宮下 そう。映画館でバイトをして、休日は1日中そこで映画を観ていました。
──草薙さんはいかがですか?
草薙 僕はずっとあんまり映画を観ていなくて、映画館もこないだ12年ぶりくらいに行って、宮下と「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」を観ました。宮下に「これ面白いよ」っていうのを教えてもらったり、DVDを借りたりして最近は観るようになりました。
宮下 草薙に最初に貸したのが「ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!」です。
──ネット配信などは観られますか?
宮下 Netflixで「ストレンジャー・シングス」を観ました。ただ、映画をDVDのようなメディアとして所有しておきたい、という欲求がすごくあって。ネットで観ちゃうと、観たものをさらに買わなきゃいけない。コレクター心理というか、「僕は持ってるぞ」というマウントを取りたいんです(笑)。
──では、そんな中でも特に好きなジャンルの作品は?
宮下 ジャンル問わず観てきましたけど、僕が一番好きなのはシュワちゃんの「ターミネーター2」です。王道のエンタテインメント映画がすごく好き。凝り固まったセンスを見せるものよりはアクションがいいです。
草薙 僕は「チャーリーとチョコレート工場」が一番好きです。あと福士蒼汰くんのことが一時期すごく好きだったので、少女マンガ原作の映画も、宮下に「とにかくカッコいいから観て!」って薦めていました。
「カメ止め」をクリエイター目線で観る
──「スペシャルアクターズ」は上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」に続く劇場長編第2作としても話題の作品です。お二人は「カメ止め」をご覧になりましたか?
宮下 観ました。そのとき、すでにめちゃめちゃ話題になっていたので、情報を入れないようにしてまっさらな気持ちで観て、「映画好きが好きになりそうな映画だな」と感じました。僕、映画を観るときに、ちょっと斜に構えた見方にはなるんですけど「自分が監督をやるんだとしたら、こんな映画を撮りたいな」というのがあって。「カメ止め」を観たときも「その手があったか!」と思って。
──クリエイター目線なんですね。
宮下 はい。クリエイター目線で。
草薙 どの目線で話してんだよ!(笑)
宮下 「こういう発想があったんだ」と。無名の役者さんを使って、予算も限られて大がかりなプロモーションができない中、発想ひとつで勝負している感じが、監督に対して「カッコいいな」と思いました。
草薙 僕はまわりの人間が全員観ていて、宮下も観ていたし、若手の芸人がみんなTwitterで面白かったと書いていたので、我慢できなくて観る前にネタバレを全部聞いちゃったんです(笑)。それでも、いざ観たときに、めちゃめちゃ面白くて、ドキドキしながら観ました。
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