北野武が監督し、自らビートたけしとして主演を務める映画「アウトレイジ 最終章」が10月7日(土)に全国公開される。これは第1作「アウトレイジ」、第2作「アウトレイジ ビヨンド」に続くシリーズ3部作の完結編だ。
このたび、お笑い、コミック、ステージ、音楽、映画の各ナタリーによる5ジャンル横断企画が始動。その先陣を切るお笑いナタリーには、アニキと舎弟のネタでおなじみのペンギンズが登場する。彼らに「アウトレイジ 最終章」の魅力はもちろん、ヤクザを彷彿させる自身のキャラクターの「ルーツ」だという本シリーズについて語ってもらった。
取材 / 遠藤敏文 文 / 成田邦洋 撮影 / 辺見真也
「アウトレイジ」シリーズを全作観ている
──今日はよろしくお願いいたします。
アニキ よろしく。
ノブオ よろしくな!
──インタビュー中はキャラにずっと入っていなくても大丈夫ですので(笑)。もともとお二人はこの「アウトレイジ」シリーズをご覧になっていましたか?
アニキ 僕は全作観てます。
ノブオ もちろん僕も観てます。ペンギンズのルーツになっていると言っても過言ではないです。
──このシリーズにどんな印象をお持ちですか?
アニキ だいたいほかの映画はアウトローを仰々しくヒーローに仕立てがちじゃないですか。切れ者で全部持ち合わせて。「アウトレイジ」にはそれがないので、リアリティがあって日常に近い。武さんの映画には哀愁が漂っていますし、美化したりカッコよく映そうというのがあまりないのが好きなところです。登場人物が全員その人なりにそれぞれやっている姿勢が男心をくすぐります。
ノブオ 仁義を軸に駆け引きをするじゃないですか。ほかのジャンルにはなかなかないサスペンスがあるし、自分の器の小ささに気づかされます(笑)。
──この世界にもし自分が入ったらと考えると「すぐにやられる役なんだろうな」と思ってしまいます。
ノブオ 僕だったら、走って逃げるだけかな(笑)。
アニキ 「どう生きたらその地位まで上りつめられるんだろう?」って考えさせられます。
最大の恐怖と最大のコミカル
──ではさっそくですが、先ほど試写でご覧いただいた「アウトレイジ 最終章」の率直なご感想をお聞かせください。
アニキ 基本的にたけしさんが演じる大友の生き方やこだわりが好きだったので、最後にどう終わるのかなと注目していました。義理堅さがカッコよかったです。
ノブオ しびれましたね! 終始ハラハラしました。もうちょっと余韻に浸りたいくらい。皆さんカッコよかったです。男の仁義の世界で、アニキがいっぱい出てきました。
──どのアニキがよかったですか?
ノブオ 大友のアニキもよかったし、(大森南朋演じる)市川のアニキも、大友のアニキに静かに付いてくる感じが大好き!
──この大友と市川の関係、お二人にちょっと似ていると思いませんか?
アニキ 最初のやりとりとか、そうですね。
ノブオ 市川のアニキは自分みたいにはウザくないですけど(笑)。さっき「アウトレイジはペンギンズのルーツになっている」って言っちゃいましたけど、「ノブオみたいなのはいないな」って思いながら観ていました。カッコよかったので見習いたいです。
──特に注目したキャラクターは、大友はもちろんだと思いますが、ほかにもいますか?
アニキ (西野を演じる)西田敏行さんです。大友と生き方のスタンスが違って、「どう牛耳っていくんだろう」という迫力や覚悟を感じました。きれいごとだけじゃ済まされない世界なんだなと。生き方がプロに徹している気がします。
ノブオ 僕は(花田を演じる)ピエールのアニキ(=ピエール瀧)が、「イメージとどう違う役柄で来るんだろう」と期待して観ていたら、どハマリでした。面白さと怖さを兼ね備えている。
──お笑い界からも、ネプチューンの原田泰造さんが出演されていますね。
アニキ そうなんですよ。楽しみにしていました。
ノブオ 唯一ノブオに近い存在で、似たにおいがあります。
──原田さんの表情も相当怖かったですね。
アニキ 怖かったです。普段あまり見られない表情でした。やっぱり演技がうまいなあと。
──そんな出演者の皆さんの顔は大画面でもじっくり観ていられる顔で、すごい迫力でした。
ノブオ “目力”が違います。西田さんは目であんなに演じる人だと初めてわかりました。オンとオフ、怒っているときと怒っていないときの目が違う。これから怒るんだぞ、という“フリの目”がすごい。今後のペンギンズに生かせるかな?
──西田さんや塩見三省さんは普段はすごく温厚で優しい演技をされますが、そんな方々が一番怖い部類ですもんね。演技の幅が広くて、ギャップが大きい。
アニキ 最大の恐怖と最大のコミカル、どっちもできるんです。
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身の毛もよだつ痛めつけシーンと笑い
- 「アウトレイジ 最終章」
- 2017年10月7日(土)全国ロードショー
- ストーリー
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元はヤクザの組長だった大友は、日本東西の二大勢力であった山王会と花菱会の巨大抗争のあと韓国に渡り、歓楽街を裏で仕切っていた。日本と韓国を股にかけるフィクサー張のもとで働き、部下の市川らとともに海辺で釣りをするなど、のんびりとした時を過ごしている大友。そんなある日、取引のため韓国に滞在していた花菱会の幹部・花田から、買った女が気に入らないとクレームが舞い込む。女を殴ったことで逆に大友から脅され大金を請求された花田は、事態を軽く見て側近たちに後始末を任せて帰国する。しかし花田の部下は金を払わず、大友が身を寄せる張会長のところの若い衆を殺害。激怒した大友は日本に戻ろうとするが、張の制止もあり、どうするか悩んでいた。一方、日本では過去の抗争で山王会を実質配下に収めた花菱会の中で権力闘争が密かに進行。前会長の娘婿で元証券マンの新会長・野村と、古参の幹部で若頭の西野が敵意を向け合い、それぞれに策略を巡らせていた。西野は張グループを敵に回した花田を利用し、覇権争いは張の襲撃にまで発展していく。危険が及ぶ張の身を案じた大友は、張への恩義に報いるため、そして山王会と花菱会の抗争の余波で殺された弟分・木村の仇を取るため日本に戻ることを決めるが……。
- スタッフ
監督・脚本・編集:北野武
音楽:鈴木慶一- キャスト
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大友:ビートたけし
西野:西田敏行
市川:大森南朋
花田:ピエール瀧
繁田:松重豊
野村:大杉漣
中田:塩見三省
李:白竜 -
白山:名高達男
五味:光石研
丸山:原田泰造
吉岡:池内博之
崔:津田寛治
張:金田時男
平山:中村育二
森島:岸部一徳 ※「アウトレイジ 最終章」はR15+作品
©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
- ペンギンズ
- 左 / アニキ(吉間洋平 キチマ・ヨウヘイ)
- 生年月日:1977年7月12日
出身地:埼玉県 - 右 / ノブオ(ナオ)
- 生年月日:1985年3月6日
出身地:埼玉県 - 2015年にコンビ結成。アニキとその舎弟ノブオのヤクザを彷彿させるネタで人気を博する。サンミュージックプロダクション所属。
2017年10月6日更新