永野と高城の共犯関係
──「永野と高城。」で披露された1つひとつのネタは永野ワールド全開、といった感じでしたが、その世界に違和感なく高城さんが溶け込んでいて驚きました(参照:地底からのラブコールで“親友”に、永野&ももクロ高城「また会いましょう」約束)。
永野 実は、そういうふうに感想を言っていただいて初めて気がついたんですけど、僕としては最初かられにちゃんをゲストのように扱うつもりは1ミリもなかったんです。なぜかわからないんですけど、「別にできる」と思っていて。
──2人が対等なレベルでやれると思っていた、むしろやれないという発想がなかった?
永野 そういう感覚です。普通に「2人でやろう」って。ただの挑戦企画になっちゃうのはつまらないじゃないですか。アイドルが永野のネタできるかな?とか。
佐々木 ネタ自体も高城に寄せようとはしなかったですね。そうすると永野のとんがったところが消えちゃうから。高城が対応できるか試しにやってみたら、本当にすんなり入ってきた。
永野 挑戦企画だとしたら、アイドルがやらなそうなエグいネタをやらせて、「そんなこともやるんだ」ってファンと一緒になって喜ぶこともできたんでしょうけど、まったくそういうつもりはなかった。れにちゃんと僕が共犯関係というか、ヤバいネタを一緒に提示していこうっていうノリだったのがよかったと思います。
──ただ、やっぱり永野さんのネタは特異なので理解して演じるのは難しいと思うのですが、高城さんご自身としてもすんなり入れたという感覚はありましたか?
高城 永野さんのネタだからこそ、すっと入れたのかなって思います。セリフややり取りがカッチリ決まっているコントだったら、たぶん「ここでこう言わなきゃ」「間をちゃんとしなきゃ」って、いろんなことを考えて空回っていたと思うんです。でも永野さんのネタはほとんど台本がないから、稽古の中で2人で作っていくところから始められました。もちろん最初はまったくやり方がわからなかったので戸惑ったんですけど、どうすればもっとよくなるかっていうのは永野さんがリードして教えてくれたので、回を重ねていくごとに楽しいなって思うようになりました。
佐々木 2日間4公演やって、「昨日ウケたのに今日はウケないね」とか、お笑いが水物であってちょっとした間や呼吸の違いでお客さんの空気が変わるということに高城が気づきだしたんです。それがより楽しさを助長したのかなと最終日を観ていて思いましたね。お前らラストの回、3時間やってたからな?(笑)
永野 本当にヘロヘロになりました。ネタがカッチリ決まっていないから瞬間、瞬間で反応しながらやっていて、れにちゃんも相当大変だったと思います。
高城 ももクロのステージで踊るよりも疲れました。
永野 ずっと脳を回転させてないといけないから、感覚がどんどん研ぎ澄まされていくんです。
高城 脳トレだよね(笑)。
永野 そうそう。脳トレライブでした。
ウケたときは「よっしゃ!」
──「永野と高城。」のお客さんを「奇人」と命名していましたが、やはりその多くは紫色のTシャツを着た高城さんファンでした。永野さんはやりにくさも感じましたか?
永野 最初はやっぱり「れにちゃんがお笑いに挑戦」っていう物珍しさでみなさんチケットを買ったと思うんですけど、「そこじゃないぞ」っていう姿勢を最初の1、2本のネタで示せたので、お客さんもびっくりしたと思います。もちろんほとんどれにちゃんのファンなんでしょうけど、僕らが仲間になって「このネタどうだ」ってファンに攻撃的でいられたのは自分としても面白かったですね。
──ももクロのライブとは反応が違いましたか?
高城 会場の雰囲気からして全然違いました。ももクロのライブのように一緒に盛り上がるっていうよりは、ネタをしっかり観てくれているので。アイドルとしての私じゃなくて、高城れにという1人の人間として、いろんな面があるんだよって知ってもらえたんじゃないかなと思います。
永野 れにちゃんも僕も、佐々木さんもそうだと思うんですけど、「楽しいのが一番大事」っていう考え方なんです。ジャンル関係なく「面白いことがしたい」っていうモチベーションで動いているところがあるので、「永野と高城。」は楽しかったよね。
高城 うん。今まではアイドル、女優、お笑いってジャンルで勝手に分けて考えていたんですけど、全部通じているものがあると気づけたのが「永野と高城。」でした。
──ネタを一緒に作った分、ウケたときの快感も大きかったと思います。
高城 自分の発言や行動でわーってウケたときは、心の中で「よっしゃ!」「きたきた!」って思っていました。すごい調子に乗っちゃう(笑)。
永野 あはははは(笑)。「浜辺で九州を自主的に守る人たち」というネタで、れにちゃんの博多弁が関西弁みたいになって笑いが起こったこともあったんですけど、その笑いはやめようって佐々木さんと話したんです。「コントに挑戦したけど失敗しちゃった、でもかわいい」っていうのは全部なしで、攻めまくって。それはれにちゃんも「よし!」ってなるよね。
高城 「よし」ってなった。
──確かに「浜辺で九州~」の高城さんは神がかっていました。
永野 もともと僕が1人でやっているネタなんですけど、もはやれにちゃんのネタになりましたね(笑)。あのネタだけで2、30分やってましたから。アドリブもすごかった。
高城 お笑いライブって自分が演じたものに対してすぐに反応が返ってくるし、回ごとに反応も違って、説明するのが難しいんですけど初めての体験でした。
佐々木 スリリングだよね。
永野 余白がある分、“人(にん)”が出ますよね。だから「永野と高城。」は生々しい。生の感情が炸裂するので。
──高城さんのこれまでの人生そのものがパフォーマンスに出ている。
永野 それも乗せないと、あんなふうにはできないと思います。ただその役のフリをしてるだけじゃないですから。
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魂ぶつけすぎてよそよそしい“親友”
- 永野 / 高城れに「エキセントリックコミックショー 永野と高城。」
- 2018年6月20日発売 / EVIL LINE RECORDS
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[Blu-ray Disc]
5184円 / KIXM-326 -
[DVD2枚組]
4104円 / KIBM-730~1
- 収録内容
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- 前説
- パラパラの練習をする女と尻の穴から拳が抜けなくなった男
- OP VTR
- スピード違反で点を引かれた後かっぱ寿司に来てあんまり食べられないカップル
- ナンパしている人に背後からささやく2人組
- 無理矢理「ヨーデルおじさん」という人のファンになって同世代とセンスの差別化を図ろうとする若者
- 尻の穴から拳が抜けなくなった男 多山昭一の恋(VTR)
- パチンコをしている人たちの頭をなでるのが生きがいな兄妹
- 歯が無いれにちゃん こんにちは!
- ネタに入る前に銃社会について語るモノマネ芸人
- 事件の手がかりとなる謎のディスクを見せびらかすだけ見せびらかして颯爽と消える人
- ストイックにペース配分を考えて逃げるパンツ泥棒とストイックにペース配分を考えて追いかける被害者
- 【エキセントリック人物図鑑】亮太とさくら(VTR)
- 【エキセントリック人物図鑑】美川田憲一(VTR)
- 【エキセントリック人物図鑑】米原幸一(VTR)
- エキセントリックトークショー
- ヨーデルおじさん(VTR)
- 膝を擦りむいた話ばかりするキャバクラ嬢
- ももクロのコンサートの最後のお辞儀であーりんの力が強すぎて気分が悪くなる有安杏果と高城れに
- 最近バラエティ番組で見なくなったタイトルコール選手権
- 【泣けるコント】バッティングセンター
- 浜辺で九州を自主的に守る人たち
- 【エキセントリック人物図鑑】柳木雅彦(VTR)
- 【エキセントリック人物図鑑】塚本侑子(VTR)
- 【エキセントリック人物図鑑】園田たけし(VTR)
- 【道徳コント】 ギャル男をビンタして死に行く老夫婦
- 仕事に行く途中に駅でイヤリングを落としてしまったけど時間がなかったのでそのまま仕事に向かい その夜 家に帰って来た時にどうしてもイヤリングが気になって風呂上がりに探しに行ったけど 1時間以上探しても見つからないからあきらめて家に帰る途中の“高城れに”
- 【れにちゃんがご機嫌になるコント】めちゃくちゃ可愛い転校生
- 天使の声が出せるので出します
- 綺麗な心を持つ人にだけ見える謎の妖精
- ENDING VTR
- 出演者挨拶
- ボーナストラック
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- 喉に餅がつまった新沼謙治 -大人の事情編-
- 映像特典
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- ノンフィクション劇場 永野が語る「永野と高城。」
ライブ情報
- エキセントリックコミックショー 永野と高城。2
- 2018年7月14日(土)、7月15日(日)、7月16日(月・祝)
1部14:00開場 14:30開演 / 2部18:00開場 18:30開演
東京・恵比寿 ザ・ガーデンホール
- 高城れに(タカギレニ)
- 1993年6月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に結成されたももいろクローバーZの最年長かつオリジナルメンバーで、担当カラーは紫、キャッチフレーズは「ももクロの鋼少女」。2015年3月9日に愛知・名古屋CLUB QUATTROでももクロメンバー初となるソロコンサート「高城の60分4本勝負」を行った。以降1年に1回のペースでソロコンサートを実施している。2017年6月にはお笑い芸人・永野とお笑いライブ「永野と高城。」を開催。2018年7月に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで「永野と高城。2」を行う。
- 永野(ナガノ)
- 1974年9月2日生まれ、宮崎県出身。映像ディレクターの清水康彦とタッグを組んで制作したDVD作品「Ω」を2016年5月にリリース。2018年6月、清水康彦、斎藤工、金子ノブアキと共に結成した「チーム万力」名義で短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)2018」にショートフィルムを出品する。TOKYO MX2「ブレイク!」(火曜)、日本テレビ系「PON!」(水曜)などにレギュラー出演中。