永野　売れたい、お金持ちになりたい、モテたいとか、何をモチベーションにしていますか？

くっきー　若い頃は売れたいとか、おネエちゃんにモテたいとかあったけど、今はもう惰性、惰性です。

斎藤　あはははは！（笑） そんなことないでしょう。

くっきー　認められたいとかあります？

永野　自分はまったく売れていなかったので、一時期は「有名になりたい！」って気持ちがすごかったです。貧乏でも、ストイックにやりたいことだけやっていたら美しいですけど、さすがに20年近く売れないとそういう欲が出てきて。

くっきー　でも有名になったらなったでしんどいじゃないですか。有名じゃなく金だけもらえれば一番いいですよね。「MASKMEN」が爆売れしてDVDの印税だけで生きていけるんやったら、余裕でやめたります（笑）。

永野　それもわかります。顔バレて大変ですもんね。

くっきー　顔バレて、家バレて、中坊に石放られて、窓ガラス割れて。悪役時代のダンプ松本の実家みたいなことになりますよ。

一同　あはははは！（笑）

くっきー　だから今はもう「好きなことやりたい」ってだけです。永野さんもやりたいことやってるだけでしょ？

永野　そっちに戻りました。芸能界、思ってたのと違ったので（笑）。「ラッセン」のネタでバーっとテレビに出だしたときに、クイズ番組でずっとボケてたらフロアDみたいな人にマジギレされたことがあったんです。もちろんテレビとしてはそれが正しいんですけど、くっきーさんの言うように好きなことだけやってお金も入ってきたら最高ですよね。斎藤さんは好きなことやれてますか？

斎藤　僕、「ネクストブレイク」みたいな特集に13年くらい出ていたんです。

くっきー　なっげ！（笑）

斎藤　一緒に取材されていた俳優たちが売れていき、僕以外の周りがどんどん若返っていく。そして残り続けた僕は「ネクストブレイク」のベテランになってしまったんです（笑）。という話を以前バラエティ番組で話したら、月間MVPをいただきました。

永野　すごい！ いや、すごいじゃない！ 新しい話してくださいよ。

斎藤　こすり倒したやつです（笑）。でも2014年にドラマ「昼顔～平日午後3時の恋人たち～」（フジテレビ系）に出演すると、急に“セクシー男優”っていうイメージがついて。

くっきー　その言い方だとほぼAV男優ですやん（笑）。セクシー俳優ね。

斎藤　その称号を得てからはそういう取材ばっかりになりました。「壁ドンしてください」とか。

永野　確かに！ 斎藤さんの壁ドンはよく見ました。

斎藤　そのときは「本当の俺は違うんだ」と抗うより、「色が付くってこういうことなんだ」と楽しんでいこうと思って基本的に全部やらせていただいていました。ロッククライミングのように、1つ支点ができたんだからそこに思いっきり体重かけて、ぐっと体勢を変えたらまた別の場所まで登れるんじゃないかなって。それは映画を作ることだったり、お笑いの世界への挑戦だったり。

永野　僕も自分が20代で「ラッセン」ばっかりだったら「これは俺じゃない！」って思っていたかもしれないですけど、もう大人だったし、さっきも言ったようにいい加減売れたかったので（笑）。でもひたすら「○○より××が好き」を考えさせられて、スベって、ストレスかわかんないですけどすごい腸が張ってた時期とかありました。くっきーさんで言うと、今は白塗りを要求されることが多いですか？

斎藤　白塗りしすぎて肌荒れされてますね（笑）。

くっきー　いや、そうなんですよ。

永野　腸が張ったりしてませんか？

くっきー　でもね、顔マネやると、別ジャンルの客が増えるんですよ。それがすげえラッキーで。だからエサ撒いてる状態……撒き餌ですよね。

永野　うわ！ 嫌われますよ？

くっきー　うはははは！（笑）

永野　そんなポーズ取って「客に撒き餌だ」って。ひどい人！（笑）

くっきー　まあ、知ってもらうための宣伝でさあね。

斎藤　SNSの時代というのもくっきーさんにとって功を奏していますよね。

永野　ポリシーとして「これだけは守りたい」っていうことはありますか？

斎藤　僕は生まれながらに中身と外身が別だなと思っていて。数年前から、自分にコントローラーが付いている感覚で、本体の僕がこいつをどうやって面白く操作しようかっていう作業をしていますね。放っておくと、俳優としてもっと上を目指すというコースに行こうとしてしまうんですけど、根がそうじゃないので、コントロールしてみんなが思っていない方向に振り切ってみたり。“プレイ感”を自分に持つというのは課しています。

永野　僕はポリシー曲げたんですけど……。

くっきー　曲げとんかい！（笑）

斎藤　ポリシーがないってことですか？

永野　違う違う！ 一時期曲げちゃってて、今は戻したんです。さっきも話しましたけど、「ラッセン」をやりすぎて面白くなくなっちゃった瞬間があって。ニーズに応える勉強をしようとして無理したり、わけわかんない自称プロデューサーと飲みに行ったりしていたんです（笑）。でも元々そういう人じゃないし、なれないしなりたくないし、今年からは好きなことやろうっていう気持ちに戻ってます。

くっきー　逆に僕は今、社長とかと飲みに行って媚びへつらおうタイムですよ。

永野　え、今ですか!? 芸歴24年で？

くっきー　折れて折れて、テレビ局が用意したボケ全部言うて（笑）。芸人として一番シャバい状態。で、再来年くらいにポリシーを戻すっていう、ぴったり永野さんのうしろ走らせてもらってます。

永野　うわ、知らない間に僕が前走ってたんですね！ 死にたくなりますよ？ 最終的に。

一同　あはははは！（笑）

斎藤　くっきーさんが僕らと違うのは相方さんがいらっしゃること。そういうのってロッシーさんと話し合ったりされますか？

くっきー　話し合いはないですね。彼は何も言わず僕の背中についてきてくれるタイプなんで。

永野　ロッシーさんに気を使ってセーブする瞬間はないんですか？

くっきー　まったくないです。あいつ、僕の背中でまったく前見えてないですから。ずっと僕の肩甲骨見ながら走ってます。

永野　素敵な関係！（笑）

くっきー　肩甲骨であいつの人生を操ってる最中ですよ。