「M-1グランプリ2020」|お笑い好き著名人5名が優勝予想!

ミルクボーイが第15代王者に輝いた「M-1グランプリ2019」から1年。過去最多エントリー数・5081組が出場した「M-1グランプリ2020」は12月20日(日)に決勝を迎える。ABCテレビ・テレビ朝日系で生放送される決勝に進出するのは、オズワルド、ニューヨーク、おいでやすこが、マヂカルラブリー、東京ホテイソン、アキナ、錦鯉、ウエストランド、見取り図の9組。彼らに敗者復活1組を加えた10組が第16代王者を目指す。

お笑いナタリーは前回大会に続き今年の「M-1」でも優勝、2位、3位となるコンビの三連単予想を、お笑い好きとして知られる著名人に依頼した。そのメンバーはDJ KOO、川谷絵音、ぱいぱいでか美、そして「M-1」公式YouTubeで「M-1大好きBOYZ」として共演している北島康雄(四星球)とライターの鈴木淳史の5名。決勝で爪あとを残しそうなコンビや敗者復活を勝ち上がりそうなコンビについても聞いている。彼らの予想を楽しみながら12月20日の本番を満喫しよう。

取材・構成 / 成田邦洋

DJ KOO予想

DJ KOO
優勝おいでやすこが
2錦鯉
3アキナ
爪あと残しそうウエストランド
敗者復活インディアンス / からし蓮根 / 金属バット

爆笑ピークを何度も積み上げMAXで下げに到達する構成は後味最高!!

今年の大会は初の決勝進出組に注目!! その中でも僕のイチオシ予想は!! おいでやすこが!! もともとピンでもそのスタイルと切り口は絶品で、こがけんさんのユラユラしたボケに小田さんのテンションの高い破壊力のあるツッコミがおみごとスギです!! 食らう度に笑いが増幅、グサグサ刺さる気持ち良さに会場はどんどん反応してしまう、爆笑ピークを何度も積み上げMAXで下げに到達する構成は後味最高!! 見終わった後の満足感は審査員の方々にも好印象で高得点を叩き出すと思います!! 準決勝でもみごとにハマって爆笑をさらっていました、今大会を期に2021はおいでやすこがのツッコミがハネる!!

錦鯉はとにかくストレート、手放しに何も考えず笑わせてくれます!! お二人のネタはホント見てるほうが気を許してしまうバカバカしさが最高!! 特に長谷川さんは今大会ナンバーワンの映えキャラ、他の芸人さんには絶対真似出来ない長年積み重ねて来たおバカギャグはハートを持っていかれますw 決勝のステージでもブレない個性とイリュージョンな世界は確実に優勝戦線に食い込んで来ると思います!!

アキナは笑いの数は圧倒的で、緩急のあるボケ×ツッコミは休む間もなく笑わせてくれる!! スタンダードなスタイルも動きある立体的なネタもアキナならではの確立された超絶技笑!! 秋山さんのフリ、ツッコミは山名さんの予想外のボケアンサーを強烈に活かし確実に笑いをとる!! そのバリエーションと流れはどこ(の順番)に入っても必ずハマり上位入賞は間違いない!!

ウエストランドはハイスピードで捲し立てる勢い、ザ芸人さんバリ出しな毒舌&悪態漫才なのだけど人間味のある井口さんのツッコミはナゼか憎めない親近感で笑ってしまう!! 準決勝でもネタの後半に向けテンションアップしていく流れは会場をひとつに巻き込んでいました!! 言いたいことを言いながら的確なラップバトルのようなターンは今大会でもしっかり爪痕を残してくれると思います!! 井口さん、上の歯、下の歯ともに前歯が2列ある!! スゲエ!!

敗者復活の予想は今回メチャ難しいです。前回は和牛が本気のネタで確実に上がって来ると予想出来たのだけど、今回タイプの違う3組がしっかり気になっています。

まずはインディアンス→ギャグの多さとめっちゃイリュージョンな展開はネタ中全てに笑いが詰め込まれてる(好みが別れるタイプなのか?)。笑いに対する貪欲さ、ポジティブパワーはブチ上がったらヤバい!!

からし蓮根→経験実力とも折り紙付き!! 準決勝でも笑いが多くギャグの散りばめもホント面白かった!! とにかく全てのネタにハズレがなく練り込んで作っていらっしゃるので前回の和牛同様しっかり勝ち上がり、狙って来ると思います!!

金属バット→見た目のインパクトもさることながら、ツッコミのペースがとても気持ち良く楽しい流れを作ってくれるので、このお二人もおさえておきたい!!

DJ KOO寄席に出演してくれたオズワルド「入れてないんかい!!」僕の予想を裏切って優勝してくれたら嬉しい DO DANCE!!

DJ KOO(ディージェーコー)
TRFのリーダー、DJ、日本屈指の盛り上げ番長。トータルCDセールスは2100万枚を超え、多くの人に今なお愛され続けている。現在はTRFの活動と共に「日本を元気に!笑顔に!」をモットーに、盆踊りとDJを融合させた“進化型お祭りエンタテインメント”で話題を集めている。そして、2020年8月よりDJ活動40周年に突入! HAPPY DO DANCE!!!

川谷絵音予想

川谷絵音
優勝東京ホテイソン
2おいでやすこが
3ニューヨーク
爪あと残しそうウエストランド
敗者復活金属バット

例年よりわかりやすくて爆発しそう

東京ホテイソン

ツッコミのキャッチーさは随一。今年は例年よりわかりやすくて爆発しそうなネタなので優勝予想です。

おいでやすこが

歌ネタのわかりやすさと派手なツッコミが印象的。今年は特にR-1のルール変更による自虐ネタの流れもあり、風が吹いている気がしました(※)。

ニューヨーク

お茶の間で流れて大丈夫なネタかどうかは判断が分かれますが、僕は好きです。そろそろ攻めたネタが上位にきて欲しい。今のニューヨークの勢いならありえると思いました。

ウエストランド

これまた悪口系のネタですが、井口さんのキャラはお茶の間向きだと思っています。というかこういうネタが僕は好きです。

金属バット

そろそろ決勝に行った金属バットを見たいです。お茶の間を絶妙な空気に変えて欲しい。ネタもキャラも僕は一番好きです。

ぺこぱの、全て肯定する自分たちのネタを敢えて崩していく作りのネタが準決勝では非常にエモかったです。お茶の間で親しまれる存在になったからこその葛藤をネタにする姿勢に感動しました。金属バットの次点でぺこぱが敗者復活候補ではあります。

ニューヨークが賞レース常連になってきて嬉しいのと、密かに毎年応援していた東京ホテイソンが決勝に進んだことが嬉しいです。今年も予想が大変難しかったです。その分ドキドキしながらオンエアを見たいと思います。

※編集部注:「R-1グランプリ2021」より参加資格が芸歴10年以内に変更され、おいでやすこがは2人とも出場不可能となってしまった。

川谷絵音(カワタニエノン)
indigo la End、ゲスの極み乙女。、ichikoroのボーカルおよびギターとして活動中。小籔千豊や野性爆弾くっきー!が参加するバンド・ジェニーハイのプロデューサー兼ギターでもある。indigo la Endのニューアルバム「夜行秘密」が2月17日発売。予約受付中。

ぱいぱいでか美予想

ぱいぱいでか美
優勝ニューヨーク
2錦鯉
3見取り図
爪あと残しそうウエストランド
敗者復活ぺこぱ

ここ最近の場を掴む力を得たお二人の最強感はすごい

ニューヨークは昔から面白かったけど、ここ最近の場を掴む力を得たお二人の最強感はすごい。以前は尖ってるイメージが先行してましたが、意地悪さと好感度が謎に同居し始めてて絶妙なバランス感覚があり安心して笑える。気持ちいいくらいの優勝を見せてほしいです!

錦鯉は今年一番お笑いファンの期待を一身に背負ってるように思います。私もそのうちの一人ですが、この先あと7年もM-1に出られる事実があまりにも面白すぎるので今年はひとまず2位にしました。体がボロボロになるまで出てほしいので。

見取り図は安定した面白さがあるので、リリーさんの落ち着き故に一見まともそうで実はかなり厄介なボケのキャラが場にハマれば最終決戦には必ず進めると思う。あの淡々としたボケに盛山さんのツッコミが好きなので2本目も見られますように!

ウエストランドは所謂「人を傷つけない笑い」から逆行してると思うんですが(笑)、ギリギリ怒られないラインで偏見と憎しみを笑いに変えてきた方たちなので、今回もなんとかギリギリ怒られないラインでお茶の間に久々の刺激を与えてほしいです。あと自分が主催のフェスに今年出て頂いたので、ぱいぱいでか美見る目あるな~って結果になってくれたら嬉しいです(笑)。

敗者復活は応援したい人がたくさんいるけど、実力だけでなく、人気も運も味方につけて這い上がってくるのがとてもかっこいい。今その3つを全て持ってるのはぺこぱ。個人的にはABCお笑いグランプリで優勝し、KOCは惜しくも出場辞退となってしまったコウテイを応援しています。コロナ禍が影響してるかはわかりませんが、掴みから何から変えざるを得ず、それでも尚面白かったお二人を決勝で見たい!

ヒコロヒーとみなみかわ、スプリングシュリンプ、YouTube全カットのTEAMTKC、そして決勝進出のおいでやすこがなど今年はユニットも豊富で楽しませてもらっています。何よりも今年もこんなに楽しい大会を開催してくれてありがとうございます! いろいろと配慮しなければならないこともある中で、日々面白さを追求する全ての芸人さんを尊敬しています。

ぱいぱいでか美(パイパイデカミ)
一度聞いたら二度と忘れられない名前と「言うほどでかくないがそこそこでかい」おっぱいを武器に、場所を選ばず大活躍。「有吉反省会」(日本テレビ系)レギュラー出演のほか、自身の楽曲の作詞作曲やライブ活動、楽曲提供、グラビア、コラム執筆などジャンルやメディアにとらわれず活動中。

北島康雄予想

北島康雄
優勝金属バット
2錦鯉
3おいでやすこが
爪あと残しそうウエストランド
敗者復活金属バット

M-1史上最も泥臭い年になるのでは

準決勝の混戦ぶり、今年は久々に敗者復活からの優勝も大いにあると思います。

強豪ひしめく敗者復活から金属バット。実力は言わずもがな、決勝の大舞台であの危険な漫才を見たい人は大勢いるはずです。M-1の出囃子で関東の地下芸人さんが登場する姿に今まで痺れてきました。そろそろ関西の地下出身からあの出囃子に乗って登場してもらいたいという願望もあります。そして金属バット優勝への最大の強みは、勝ち抜けるネタを2本以上持っているところ。M-1に数年に一度誕生するダークヒーロー。今一番その称号が似合うのは間違いなく金属バットだと思います。

ファイナリスト発表時に周りのコンビから多大な祝福を受けていた錦鯉。ここまで全部爆笑で勝ち抜いてきているお二人に、決勝は「錦鯉待ってました!」の空気なのか、「錦鯉?」の空気なのか、会場がどちらだとしてもそれが美味しく作用すると思います。ネタ前の煽りVTRも相当強いものになると予想できるのでかなり追い風が吹いているように感じます。

近年はやはり笑神籤が大きな鍵。どの出順でも、いきなりトップギアまで持っていくおいでやすこがの強さは驚異的。ピン芸人さんだからこその、小田さんのパワーと軽やかさを兼ね備えたツッコミは意外にM-1では珍しいスタイルではないでしょうか。こがけんさんの歌唱力や音楽的センスもバンドマン視点から見させていただいても素晴らしく、羨ましく思います。

ウエストランドの、もはやボケとツッコミの境界線がわからない漫才、人間としておもしろい漫才は大変魅力的です。例えツッコミでもワードセンスでもパッションでもなく、哲学を乗せたツッコミ。ボケ数に縛られないネタ構成。平場でもあの漫才のまま進むわけですから楽しみで仕方ありません。

以上のことから、M-1史上最も泥臭い年になるのではないかと予想します。

そのほか、準々決勝大阪で出順が続いていた藤崎マーケットとDr.ハインリッヒのラストイヤー2組。この爆笑のバトンリレーはとても感動的でした。ラストイヤーと言えば東京のインポッシブルのオチ「江戸が燃えている」も最高。改めて決勝戦だけがM-1ではないと思った年でした。来年はツートライブの快進撃に期待しています。

北島康雄(キタジマヤスオ)
コミックバンド・四星球(スーシンチュウ)のシンガー担当。四国出身・在住。

鈴木淳史予想

鈴木淳史
優勝ニューヨーク
2おいでやすこが
3錦鯉
爪あと残しそうウエストランド
敗者復活コウテイ

しゃべくりだけで巻き込み、優勝する姿が観たい

去年の「M-1」で1番手を引き、不本意な結果に終わるも、露出は増え、今年の「キングオブコント」準優勝と、今明らかに波に乗るニューヨーク。ふたりの何が良いって、悪意ある視点。わざわざ突かないでいいところを、わざわざ広げていく様は、心の底から本当に清々する。去年、松本人志氏の指摘により、物議を醸した笑いながらのツッコミ。個人的には、彼らのネタに、あのスタイルは似合っていると思う。不気味で不敵な笑みが、ネタの悪意や卑しさを倍増させるから。そして、コントに定評のあるふたりだが、今年はしゃべくりだけで巻き込み、優勝する姿が観たい。

日本人は判官贔屓が好きだ。当たり前だが、物凄く実力を持つ人が全く正当評価されない苛立ちや腹立ちや悲しさや虚しさで起きるのが判官贔屓。まさしく、おいでやすこが、錦鯉の2組だ。4人の芸歴は26年、21年(錦鯉)、20年、19年(おいでやすこが)。おいでやすこがに関しては、「R-1」の悲劇という後押しまでついてきた。そんな2組を何よりも全力で推すファンの力も偉大だ。後、1点追加するならば、おいでやす小田のタップダンスの様な華麗さとストンプの様な破壊力を持った地団駄を踏むツッコミは最狂すぎる。

教室の端で悶々と鬱屈していた奴らが社会に出て、学生時代に体育会系や軽音楽部でチャラかった奴らを打ち負かすのがカウンターカルチャードリーム。そういう意味では、ウエストランドには妬み嫉み僻み歪み全てがある。彼らの復讐劇は始まったばかりだ。

金属バットとコウテイが9組に選ばれなかった事に未だにショックを受けている。彼らの様に中指を突き立て、誰もやらない新しい笑いをぶちかます姿勢は、本来「M-1」には必要だと未だに信じている。敗者復活で勝ち上がる1組を選ぶのは苦渋の選択だが…、寒き野外の逆境を撥ね退ける勢いという意味ではコウテイだろうか。紅色のマオカラースーツを着たふたりが決勝を掻き乱す様を本当に期待している。

鈴木淳史(スズキアツシ)
雑誌ライター・インタビュアー。関西在住42歳。ABCラジオ「よなよな…なにわ筋カルチャーBOYZ」(毎週木曜22時~24時30分)パーソナリティ兼構成。