しゅんしゅんクリニックP×おばたのお兄さん×ひょっこりはん|正統派コンビという重圧から解き放たれた個性派ピン芸人の快進撃

自分にぴったりの芸名

しゅんしゅんクリニックPの「P」はなんの「P」?

──芸名がユニークというのも3人の共通点です。

座談会の様子。

ひょっこりはん 舞台に出ていって1個ボケて、「面白いことをする人ですよ」ってわかってもらうまでの工程がけっこう大変なんです。だから芸名はすごく大事だと思っていて。

しゅんPおばた わかる!

ひょっこりはん 本名が宮下聡なんですけど、めちゃくちゃ普通じゃないですか。最初から“変なヤツ”として見てもらいたい、かと言って名前でボケちゃうと自分の首を締める。そうやって芸名を考えるのと同時に「顔が変」っていうのをどうやって生かそうか悩んでいて、なんとなく「3、2、1、サトシー!」で顔を出そうかと想像していたら、急に「ひょっこり」っていう言葉が降ってきたんです。もう「これだ!」って全部がつながって、今のネタの原型ができました。

──おばたさんはどうやって芸名を考えたんですか?

おばたのお兄さん この名前はジャングルポケット太田さんの奥さんの近藤千尋さんがつけてくれました。実は、それとは別の場所で横澤夏子さんとスパイク松浦さんが「おばた、ピン名どうすんだろうね。“おばたお兄さん”とかいいんじゃない?」って話をしていたらしいんです。複数の人がそう言ってくれるってことは僕を表すいい芸名なんだなって思います。

──「しゅんしゅんクリニックP」という芸名は少し突飛ですよね。

しゅんしゅんクリニックP
しゅんしゅんクリニックP

しゅんしゅんクリニックP 僕は一応カッコいいと思ってるんですけど……。

おばたのお兄さん いや、めちゃくちゃダサいっすよ!(笑)

しゅんしゅんクリニックP 本名が宮本駿で、親からもらった名前だから「しゅん」は使いたくて。

おばたのお兄さん 真面目だなあ(笑)。

しゅんしゅんクリニックP 「しゅんしゅん」っていうのは当時の彼女に呼ばれていたあだ名で、医者要素も入れたかったので「ドクター」よりも柔らかい感じがする「クリニック」。で、「P」はオリエンタルラジオ中田さんに「疑問が残るような名前がいいよ」とアドバイスをいただいてつけました。「なんのP?」って聞かれたときに大喜利もできるってことで。

おばたのお兄さん へえー! なんのPなんですか?

しゅんしゅんクリニックP 「パワー」。

おばたひょっこり 「パワー」?(笑)

しゅんしゅんクリニックP 「しゅんしゅんクリニックパワー」でやらせてもらってます。

──しゅんPさんってちょっと変わった方ですか?

ひょっこりはん めちゃくちゃ変わってます。変態です。

おばたのお兄さん だって、医者から芸人になるって時点でおかしいですよ。(くまの)プーさん好きですし。

しゅんしゅんクリニックP プーさん好きはいいだろ! あ、プーさんの「P」でもありますね(ニッコリ)。

ひょっこりはん 今思いつくな!(笑)

おばたのお兄さん 一番びっくりしたのはしゅんPさん、ピンになってすぐに1時間で新ネタ8本おろす単独ライブを開催したんですよ。周りの全員言ってました、変態だって。

ひょっこりはん 考えられへんよな(笑)。

リズムネタってどう思う?

歌ネタやるなら「曲がいい」は大前提

──SNSが盛んな今、真似したくなるようなリズムネタがブームになる傾向にあります。みなさんはリズムネタや歌ネタについてどうお考えでしょうか?

ひょっこりはん 僕は「ひょっこり顔を出す」という軸があるので、リズムネタを作ろうとして作ったつもりはないのですが、“言いたくなる言葉”は大事なのかなと思います。今のネタを練っているときから「芸名を連呼する」っていうのは考えていて。「ひょっこりはん」ってみんなが言ってみたくなる気持ちいい言葉だと思うんです。

おばたのお兄さん でもけっこう、そういうのを避ける芸人さんも多いですよね。

しゅんしゅんクリニックP うんうん。僕はおばたの「小栗旬でPPAP」とかめっちゃいいじゃん、どんどんやりなよって思う派です。

左から、しゅんしゅんクリニックP、おばたのお兄さん、ひょっこりはん。

──しゅんPさんは最近「ヘイヘイドクター」で注目されています。

しゅんしゅんクリニックP 歌ネタをやるとなったら、とにかく「曲がいい」っていうのは大前提だと思っていて。音楽のジャンルでいうとハウスが好きなので、自分が歌ネタをやるんだったら全部ハウス的な曲にしたかったんです。BPMは130台くらい、4つ打ちで裏でツチャツチャっていうのは入れたいなと。

──こだわっていますね。

しゅんしゅんクリニックP MacのGarageBandっていう音楽制作ソフトにいくつかサンプルが入っていて最初はそれを組み合わせて自分で作ったんですが、単独ライブのときに曲もちゃんと豪華にしたかったのでひょっこりはんの元相方で今は構成作家をやっている南部(幸一)にアレンジし直してもらっています。

Laugh & Peace Musicのアプリで楽曲を試聴する3人。

ひょっこりはん それ聞いてから「ヘイヘイドクター」で笑えなくなりました(笑)。

──あはははは(笑)。そしてやはりダンスが特徴的です。

しゅんしゅんクリニックP ダンスも単純に自分がカッコいいと思えるものにしました。大学時代にダンスサークルに入っていて、そのときにやっていたロックダンスにヴォーグとかワッキングというダンスジャンルの動きを取り入れています。ヴォーグダンスってカッコいいけどちょっと面白いんですよ。たぶん今まで誰もネタでやっていないので、これは流行りそうだなと。

自作曲のこだわり

自分で作った曲なのにリズム速すぎて歌えない

おばたのお兄さん
おばたのお兄さん

──しゅんPさんの「ヘイヘイドクター」と「ぞうき歌」、そしておばたさんの「ジタバタオバタ」「戦隊応援戦隊ソングマン」が現在各種ダウンロードサイトで配信されています。おばたさんは曲をどうやって作っているんですか?

おばたのお兄さん 両方ともネタでやっているもので、「ジタバタオバタ」ができたときは「これで売れる!」って思いました。メロディはラフレクランのきょんさんも一緒に考えてくれて、歌詞に出てくるあるあるも半分くらいはいろんな人からパクって。パクってっていうか、いただいて(笑)。

──「歌ネタ王決定戦2018」の準決勝で「ジタバタオバタ」のネタを拝見しました。曲のテンポについていけていないおばたさんの姿がすごく面白かったです。

しゅんしゅんクリニックP まさか準決勝でも失敗してたんですか?

ひょっこりはん 1回も成功したところ見たことないよ(笑)。

おばたのお兄さん 自分で作った曲なのにリズム速すぎて歌詞を言い切れないんです。

──「テンポが速くて間に合わない」というネタではないんですか?

おばたのお兄さん いや、わざとじゃないんですよ。本気でやって間に合ってないだけで(笑)。もう1つの「戦隊応援戦隊ソングマン」は戦隊ヒーローを応援する戦隊ヒーローっていう設定が気に入っているんですが、ネタとして1人でやっても伝わりにくくて。だからこうやってダウンロードしてじっくり聴いてもらえたら笑っていただけるんじゃないかと思います。


2019年3月29日更新