お笑いナタリー Power Push - 「黒い十人の女」
「笑わせることが目的」バカリズムは名作映画をどうリメイクしたのか
「先生になっちゃったからね」みたいになるのが嫌
──「黒い十人の女」の制作が発表されたときに周りの反応はありましたか?
なんにも言われなかったです(笑)。
──意外とそうなんですね。
ドラマって芸人の知らない世界だから、本当に何も言われないですね。 放送が終わったあとに、共演者の方から「観てました」とか「あのドラマ好きでした」とか言われることはありますけど。
──確かに1クールの連続ドラマで脚本を担当するのは2作目ですからね。
いや、でも「2作目やるってなかなかだよ!?」とか思うんですけど(笑)。
──毎回、反応してほしいですよね(笑)。
「現役の芸人が連ドラ書いてんだぞ! おかしなことだぞ、これ!」っていう気持ちはあります。もちろん最初に連ドラの脚本やるってなったときは「え、連ドラやんの!?」って少しは言われたんですけど、今回はもう普通に「あー。脚本家さんですね」って。いや違う違う……みたいな(笑)。
──そんな芸人さん、ほかにいないですもんね。
そうなんですよ。いないんです。
──それにしてもバカリズムさんのオールマイティさには驚かされます。常に新ネタも披露していて、脚本も書いて、大喜利もやって、ロケにも行って。すべてをやり尽くしているというか。
やり尽くしているっていう感覚はないですけど(笑)。でも、もっとお笑いをがんばらないとなって思います。お笑いをちゃんとやってるからこそ、こういう脚本の仕事をやらせてもらえるわけで、お笑いをおろそかにしてると書く資格もないですから。「脚本・バカリズム」って名前が出ますけど、芸人としてある程度がんばってきたから、バカリズムという名前を認識してもらえる。「あぁ、先生になっちゃったからね」みたいになるのが嫌なんです。両方、それぞれのプロとしてちゃんと評価されることをやりたいですね。
──では最後にお笑いナタリー読者へメッセージをお願いします。
十股の不倫のドラマではありますけど、笑えるようにはなってますし、そもそも独身の僕が書いているくらいなので、もっと広い間口でいろんな方に楽しんでいただけるんじゃないかと。男の人も女の人も不倫の話だと敬遠せず全員に観てもらいたいです! でも不倫の話とか大好きな主婦の方とかも観てもらえたらと(笑)。
キャラクター紹介
- 風松吉(船越英一郎) / ドラマプロデューサー
- テレビ局勤務のドラマプロデューサー。妻のほかに9人の愛人がいる。今がよければいいという性格で、自分というものがない空虚な男。何か言われてもあまり気にせず、現状に不満もない。
- 神田久未(成海璃子)
/ テレビ局の受付嬢 - 松吉と付き合って半年の愛人。不倫をやめなければいけないと思っているが、やたらタイミングのいい松吉からなかなか離れられない。テレビ局の受付として働く普通の女の子だがキレると怖い。
- 木曜ドラマ プラチナイト「黒い十人の女」読売テレビ・日本テレビ系 2016年9月29日スタート 毎週木曜23:59~24:54
あらすじ
テレビ局の受付嬢をしている神田久未(成海璃子)は、ドラマプロデューサー・風松吉(船越英一郎)と不倫関係にあった。いけないことだとわかりつつ松吉から離れられないでいる久未にある日、1本の電話がかかる。その相手は松吉の妻と思われる女性だった。彼女と会う約束をした久未は翌日、指定されたカフェに向かい、待ち合わせ相手の佳代(水野美紀)と出会う。涙ながらに不倫を謝罪する久未だったが、佳代からは予想外の言葉をかけられることに。ここから松吉と愛人たちによる泥沼の恋愛模様が幕を開ける。
スタッフ
原作:和田夏十(映画「黒い十人の女」 監督:市川崑)
脚本:バカリズム
演出:渡部亮平
音楽:兼松衆
チーフプロデューサー:中村泰規
プロデューサー:汐口武史 / 河野美里
主題歌:CIVILIAN「愛/憎」
キャスト
船越英一郎 / 成海璃子 / トリンドル玲奈 / 佐藤仁美 / 佐野ひなこ / MEGUMI / 水上剣星 / 新田祐里子 / 水野美紀