ナタリー PowerPush - 磁石
単独ライブDVD「プレミア」完成 2人が語る舞台裏と2012年の野望
昨年2011年に年間最強漫才師決定トーナメント「THE MANZAI 2011」で決勝進出を果たした磁石。この年は、事務所の垣根を越えた“吹きだまり芸人”のユニットライブ「FKD48」で中心的な役割を担うなど、ライブシーンでも目覚ましい活躍を見せた。7月には新宿明治安田生命ホールで単独ライブ「プレミア」を開催。バリエーションに富んだ新作漫才5本のほか、突き抜けたキャラクターが次々に登場するコント3本を披露して客席を沸かせた。
この「プレミア」の模様を収録したDVDがいよいよリリース。本作では、漫才やコントはもちろん、テレビCMのパロディ映像や、母親へのドッキリ企画といった幕間映像も楽しめる。
お笑いナタリーでは磁石の2人にインタビューを敢行し、「プレミア」でチャレンジしたことや、2011年の活動状況などを中心に話を聞いた。
取材・文 / 遠藤敏文 撮影 / 中川有紀子
腐らないで毎月ちゃんとネタを作った
──さっそくですが、2011年はどんな年でしたか?
永沢たかし ネタ番組がだいぶ減っちゃったんで、やることがなくなった感はありました。ライブとかで頑張るしかないかなっていう1年だった気がしますね。「M-1」も終わって、2011年の最初のほうは「何しようか?」っていう感じでした。
──やっぱりネタ番組が減った影響は大きかったんですね。
永沢 そうですね。まあ腐らないで毎月ちゃんとネタ作ったり、単独ライブもやったりした結果、そこで作ったネタが「THE MANZAI 2011」の予選を通過したんで、結果としては良かったんではないかなと思いますけど。……まあ暇でした。けっこう暇だったよね?
佐々木優介 まあー、地獄でしたね。
──今回発売されるDVD「プレミア」には最新の単独ライブが収録されています。このライブで当初やろうと思っていたことは?
佐々木 もともとは、年に1回単独ライブやるのが定番みたいになってきたっていうのと、その前の年の単独ライブは漫才だけだったんで、コントをやろうかっていうくらいのスタートだったと思います。
永沢 特に「こんな感じのライブを作ろう!」というのはなかったんですけど、「歌いたいな」っていうのは僕の中にありました。
佐々木 なんか歌ってましたね、永沢さんは。なんかちょいちょい永沢さん歌いたがるんですよ。
永沢 トークライブとかでもあるんです。そんなにうまくはないんですけど、カラオケとかに友達と行くと楽しいじゃないですか。その延長線上ですよね。
佐々木 まあまあ、僕も止める理由もないなということで。
永沢 いや、止める人だと思うよ。止めなきゃいけない人だと思うよ。
佐々木 歌っていただいてるところの尺も稼げるんで(笑)。
永沢 単独ライブ長いからね。1個のネタ作るよりは歌作ったほうが早い。
佐々木 でもけっこう時間かかりましたけどね、歌も。もちろん歌以外にも、いろいろ盛りだくさん入ってるし、結果的にいい作品になったと思います。
──タイトルの「プレミア」はどこから?
永沢 やっぱりプレミア感を出したいというか。ライブで観ることは希少なことなんで。「プレミアチケット」とかも言われたりしますし。
佐々木 いや、ほんとはパチンコ用語です(笑)。何作品目からか永沢さんが「パチンコ用語で統一しよう」ってこだわってて。
永沢 なんの意味もないんですけど。
佐々木 まあでも2人ともパチンコ好きなんで。
永沢 パチンコだと、「プレミア」っていうのは珍しい演出のことです。出たら大当たり確定するような「プレミア」と、「ハイパーボーナス」っていうのでタイトルを迷ったんですよ。「ハイパーボーナス」だと、ちょっとパチンコすぎるなってことで「プレミア」にしたんですけど。「プレミア」ってわりと日常的に使いますもんね。
漫才をやりはじめた理由
──この「プレミア」にはコントと漫才の両方が収録されています。それぞれ作り方は異なるんですか?
永沢 そうですね。漫才はいつも2人でああしよう、こうしようって考えるんですけど、コントの場合はキャラクターものが多いんで、僕が「こんなキャラやってみたい」っていうイメージで作ってる感じですかね。
──では、コントの場合は永沢さんが台本を書いて佐々木さんに見せる感じですか?
永沢 そうですね。
──漫才はそこまでかっちり書かずに。
永沢 はい。2人でアイデアを出し合って作る感じですね。
──さきほど「歌を入れたかった」というお話がありましたが、ほかに今回チャレンジしたことはありますか?
永沢 2年前に出したDVD(「磁石 単独ライブ『大フィーバー』」)と繋がっている部分があるので、そのDVDを見ていると面白い部分があります。初見の人は笑えないとかじゃなく、初見の人が見ても面白いと思うんですけど。
──お2人がもともとコントではなく、漫才をやりはじめた理由を聞いてもいいですか?
佐々木 なんなんですかね。
永沢 そもそも佐々木は前に組んでいたコンビがあって、そこではずっとコントやってたんだよね。
佐々木 そうですね。ただ、そのコントも扮装するコントじゃなくて。
永沢 掛け合いみたいな。
佐々木 漫才コントみたいな感じだったんで。
永沢 なんで最初漫才やりはじめたのか……。ああー、周りにいなかったんですよ。
佐々木 ああ、それもあったね。
永沢 僕らコンビ組んだときに、ちょっとしたコントブームがあったんです。ラーメンズさんとか、バナナマンさんとか、おぎやはぎさんとか、面白い人たちがみんなコントやってたんですよね。漫才は流行ってなかったんですよ。ちょっとダサいくらいの感じで。じゃあ漫才やろうかって漫才始めたんですけど。そしたら「M-1」とか始まって、漫才やる人が増えてきて、なんか嫌な感じですよねぇ。
──あはははは(笑)。
佐々木 そうですよ。我々が先なのに。
永沢 タイムマシーン3号とか、流れ星とか、みんな最初はコントやってましたから。僕ら最初っから漫才やってて、だから……嫌だよね。
佐々木 やだ。生粋の漫才師ですよ。
永沢 僕ら、「キングオブコント」も出たことないですもんね。まあ、それは自信あるネタがないからなんですけど(笑)。
磁石(じしゃく)
左 / 佐々木優介(1980年3月31日、広島県生まれ)、右 / 永沢たかし(1979年12月28日、秋田県生まれ)。2000年にコンビ結成。「磁石のオールナイトニッポンモバイル」(ニッポン放送 / 火曜配信)、「テリー伊藤の日本縦断!ジモプリ発掘プロジェクト」(ひかりTV)などにレギュラー出演中。