地上波では流せないコント番組「インシデンツ」 | 「このチャンスを逃したら作れない」佐久間宣行が用意した驚きの“仕掛け”に迫る

佐久間宣行が手がける“地上波では流せない”コント番組「インシデンツ」の配信がDMM TVでスタートした。同番組には、さらば青春の光、ヒコロヒー、みなみかわ、アルコ&ピース、ザ・マミィら芸人や伊藤健太郎、筧美和子といった役者陣が出演。脚本にはオークラ、かもめんたる・う大、渡辺佑欣が参加し、通常のコント番組とは異なる驚きの展開も用意された。

お笑いナタリーでは、佐久間宣行にインタビューを実施。企画が生まれた経緯、各出演者の起用理由、一筋縄ではいかない展開に込められた意図や狙いなど、裏話をたっぷりと聞いた。また出演者のさらば青春の光、ヒコロヒー、みなみかわが同作の魅力を語るアンケートも掲載している。

取材・文 / 塚越嵩大撮影(P1・P2) / 井上恵美梨

佐久間宣行インタビュー

このチャンスを逃したら作れない

──今回の企画はどのような流れで立ち上がったのでしょうか?

最初に何かやりませんかとお話をいただいたとき、「DMM TVでやるんだったら」という基準で8本くらいの企画を持っていったんです。エロ系のものから新しい賞レースまで、いろいろな企画があったんですけど、DMMさんが反応したのが「地上波では流せないコント番組」でした。

佐久間宣行

佐久間宣行

──この企画を思いついたきっかけは?

DMM TVのバラエティ第1弾になるということだったので、ある程度はカマしたものをしなければという前提がありました。そんな中で、まだ自分がやったことないのが「地上波で触れられないものをコントに落とし込む」だったんです。このチャンスを逃したら作れないなと思っていたので、DMMさんがこの企画を選んでくれたときは「ラッキー!」と思いました(笑)。

──出演者はどのように決めていったのでしょうか?

メインのさらば青春の光は単純に俺が大好きだったから。最近の単独ライブは全部行ってるし、「彼らと何かやりたいな」という思いがずっとあったんです。「インシデンツ」でやりたかったものとさらばのコントが少し近かったこともあって、今回の軸になってもらいました。あとは「M-1」に出場したときの「ヒコロヒーとみなみかわ」のネタがすごく好きだったので、2人にも声をかけました。さらば、ヒコロヒー、みなみかわの4人がコアの部分を担っています。この中だとヒコロヒーと東ブクロの相性がすごくいいんですよ。奇しくも松竹と“辞め松竹”なんですけど(笑)。

──残りのキャストは、その4人の脇を固めていくイメージでしょうか。

そうですね。バイプレイヤーでキャラが被っていないのは誰だろうと考えてたときにザ・マミィを思いついて。あとはアルコ&ピース、ラランド、オードリー春日、かが屋、ゾフィー、峯岸みなみ、野呂佳代……と好きな人を呼びまくりました。役者の人も必要だなと思ったときに浮かんだのが伊藤健太郎さん。「今日から俺は!!」でキャラが強い役を演じられることは知っていたんですけど、舞台を観に行ったときにナチュラルな芝居がうまくて、「こんなにセンスがある人なんだ!」とビックリして、お声がけさせていただきました。

佐久間宣行

佐久間宣行

──脚本を担当するのはオークラさん、渡辺佑欣さん、かもめんたる・う大さんです。

今回のパッケージやメインの設定はオークラさんのアイデアです。渡辺さんはさらば青春の光と一緒にネタを書いている作家で、彼がいることによってさらばのラジカルさが出るなと思って入ってもらいました。実際に上がってきたコントが素晴らしくて、渡辺さん作のコントをどんどん増やしちゃいました(笑)。う大くんも絶対に入れたくて、結果的に「さらばとかもめんたるが融合したようなコント」が完成したと思います。

ヒコロヒーの演技が完璧だった

──実際に撮影した手応えはいかがですか?

あまり大きなことは言えないんですけど……「やったな!」と思えるものができました。DMMの方々もそう言ってました(笑)。

──驚きの展開も用意されてますよね。

あまりネタバレはできないですけど、第1話があんな終わり方ですから。「は?」と思う人もいるんじゃないかな。第1話の面白さと第6話の面白さはまったく別のものになっているし、途中で戸惑った人も最後まで観れば「そういうことか!」と納得できると思うので、ぜひ全部観てほしいです。

佐久間宣行

佐久間宣行

──第1話でいうと、ヒコロヒーさんの演技も地上波の番組ではなかなか見られない際どさがありました。

あのコントは「面白いけど大変そうだな」と思ってたんですけど、本読みの段階でヒコロヒーの演技が完璧だったので、少し時間を延ばしたんです。東ブクロとのコンビネーションもバッチリでした。これが一発目に撮ったコントで、この時点で「いいメンバーがそろったな」と確信しました。

──東ブクロさんが全裸になるコントもいろんな意味で際どかったです。

あのコントは渡辺さんが持ってきてくれたもので、台本を読んだ瞬間に「うわ、めちゃくちゃ面白いじゃん!」と興奮しました。ただ撮影はすごく大変でした。なぜ大変だったかは見てもらえばわかると思います(笑)。全体的なことでいうと、森田の力量も素晴らしくてビックリしました。彼が入ると、どのコントもビシッと締まるんですよね。

佐久間宣行

佐久間宣行

──ほかに収録で発見した、キャスト陣の新たな魅力はありましたか?

やっぱりアルピーは2人ともコントうまいなと思いました。そしてラランドのサーヤも抜群にうまい。サーヤと野呂佳代が対峙するコントがあって、そこの野呂もめちゃめちゃ面白いです。あとは伊藤健太郎くんの笑いのセンスがすごかった。

──佐久間さん自身が気付いたことや得たものは何かありましたか?

仕上がったものを見ているときに、ツッコミが強めだから日本のコントになってるけど、ツッコミがなかったら映画っぽくなるんじゃないかと思ったんですよ。全体の構造自体もある意味笑えるので、そこを視聴者にツッコませることで、世界でもゲラゲラ笑えるコメディになるかもという発見がありました。